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新たな挑戦をさせてくれるチーム。それが「SCARZ」だ【SCARZ EU Apex Legends部門選手インタビュー】
6月13日(日)未明にビッグニュースが飛び込んできました。なんと、日本のeスポーツチームSCARZが母体となる欧州のeスポーツチームSCARZ EUが『APEX Legends』の大会EMEAにて優勝したとの一報です。
欧州の大会で日本のeスポーツチームが優勝することはまさに快挙です。しかも、SCARZ EUは発足してから3カ月程度のフレッシュなチーム。メンバーは以前のチームメイト3人がそろっており、いずれもトッププレイヤーであることから、好成績を残せるだけの実力はあると見られていました。しかし、それでも短期間で結果を出したことは見事のひとことではないでしょうか。
そんな大活躍のSCARZ EUに話を聞く機会を得ました。中心選手であるrpr選手とmande選手、そしてSCARZのオーナーである友利洋一氏にSCARZ EUの発足や今回の大会についての話を聞いてきました。
新しいことにチャレンジさせてくれる——それがSCARZ
——SCARZ EUに参加するきっかけは何だったのでしょうか。
rpr選手(以下rpr):自分自身が新しいことにトライしたいと思っていたんだよ。SCARZ EUは新しく発足するチームだからタイミング的にはぴったりって感じ。以前所属したチームを脱退してからEUや北米などのチームからも誘いはあったんだけど、そこでは、自分の考える新しいことができるとは思えなかったんだよね。また、オーナーの友利さんを始めスタッフが素晴らしかったことかな。
mande選手(以下mande):SCARZのスタッフは本当に素晴らしいよね。友利さんとは1対1で対話もさせてもらったんだけど、こちらの話もしっかり聞いてくれたよ。
友利洋一氏(以下友利):少し補足させていただきます。
我々SCARZというか、私個人の思いというのもあるのですが、eスポーツチームを運営する者として本場である海外志向が強くありました。
そして、日本から新しいことを発信できればと考えていました。なので、日本のチームが海外でチームを持つことは異例中の異例です。それらの観点から、彼らは我々が新しいことをするチームだと共感してくれたのだと思います。また、私はずっと海外のeスポーツシーンを観てきており、選手に憧れと尊敬の念を抱いております。その気持ちがスタッフに通じたのか、選手を心からリスペクトし、大事に扱ったのが、伝わったのかと思います。
——なるほど。実際にSCARZに入って今までの参加したチーム、欧州の他のチームと比べて、違う点がありますでしょうか。
rpr:SCARZはとにかくやりたいことをやらせてくれるチームだね。これまでにいくつかのチームでこちらから要望を出したことは何度かあるんだけど、そのほとんどが、やらせてくれなかったなぁ。SCARZ EUは発足したばかりのフレッシュさがあるし、優しく近代的なチームだと思うよ。
mande:クールで、モダンで、ヒップホップなチームかな(笑)。本当にほかのチームとは違う良さがたくさんあるね。
rpr:そんなSCARZだからこそ、チームに対して我々もできる限りの貢献はしていきたいと思っているよ。我々が活躍することでSCARZが有名になれば、さらに多くのスポンサーもつくことになるからね。
今回の優勝はその貢献のひとつになったんじゃないかな。『APEX Legends』は日本でも人気のタイトルと聞いているし、SCARZの本拠地である日本に対しても知らしめることができたと思う。ただ、今回の優勝はあくまでもいくつもある大会のひとつとして考えている。今後も多くの大会で勝ち抜き、多くの人に知ってもらうわないとね。
mande:そうだね。SCARZのブランド価値はもっと高めていかないと。EUでもっと有名にしていきたい。それが選手もチームもSCARZに関わるすべての人の成功に繋がるわけだからね。
——ちなみにSCARZに入る前は、SCARZのことは知っていましたか。
rpr:まあ、入団の話がくるまでSCARZのことは知らなかったと言うのが本当のところ。SCARZからオファーがきたあと、SCARZについて調べて見たら、多くのスポンサーがついていて、数多くのファンがいることもわかった。
そこからはかなり興味を持ったね。また、SCARZは日本が本拠地のチームであることも知り、我々がプレイしている『APEX Legends』がより日本で広められればいいなって。日本のこと自体にも今まで以上に興味を持ったよ。
——日本のどんなことに興味を持たれたんでしょうか。
rpr:日本の文化として、アニメやマンガだよね。父親が東京の剣道の道場で剣道を習っていたこともあり、剣道、刀、脇差しなども馴染みがあるんだ。あとは日本茶と桜が好きだよ。以前、寿司を作ったことがあるんだけど、かなり下手だったなぁ(笑)。
mande:私も寿司やマンガかな。あとは盆栽ですね。
rpr:日本に行ったらラーメンと寿司が食べたい。日本の伝統的な庭園も見たい。桜の花見もしたいので、桜の季節に行きたい。あとは秋葉原。秋葉原はクールなストリートだよね。マンガ、アニメ、eスポーツなど、街中にあふれているところを見てみたい。あと私の日本のイメージは「東京リベンジャーズ」に影響されているかも(笑)。
mande:寿司とラーメンは必須だよね。東京のナイトタウンはイルミネーションなどで美しいと聞いているし、富士山や桜も見てみたい。
勝つために必要なことは常に平常心を保つこと
——かなり日本に詳しいですよね。ちょっとSCARZの方に話を戻しますが、発足3カ月程度で優勝したことについてはいかがでしょうか。
rpr:新チームと言っても、前のチームとロースターは一緒だったからね。このメンバーはすでに2年以上一緒にプレイしている仲間だから、すでにシナジーがある。それがプライドでもあり、プレイに反映していい結果に繋がったんだよね。本当にいい友人であり、いいチームメイトだね。
mande:rprが言うように、我々は長くやってきた実績と経験がある。それに加えてSCARZのスタッフの支援が大きく、それが優勝に繋がったと思うよ。
——今回の大会の印象はどうでしたか。
rpr:多くのファンが見てくれて、我々もファンもみんなが興奮するような大会だった。そんな大会で活躍できたのは、うれしいし、存分に楽しんだよ。
mande:これまでに出場したどの大会よりも、プレッシャーを感じた大会だった。そのプレッシャーをはねのけ、活躍し、優勝できたのは良かった。決勝と準決勝は特に緊張したね。優勝が目に見えてくるようになっていから、緊張の度合いが増してきた感じ。
——大会で注意していること、心がけていることはなんでしょうか。
rpr:今回の大会限定ではなく、どの大会もなんだけど、常に平常心を保つことを心がけているかな。何か不測の事態が起こっても、平常心でいられればすぐに改善し、切り替えて行動することができるんだよね。
常にポジティブでいること。プロ選手でいるにはさまざまなことを身につけ得る必要がありけど、この平常心はそのひとつであると考えているよ。平常心を大会で維持し続けるには、普段からの練習や準備が必要なので、プレイ中は常に意識したほうがいいね。
——試合が混戦すればするほど、平常心は失われて冷静な判断ができなくなりますもんね。そういった意味でも平常心を保つことは大事だと感じました。最後に日本のファンにコメントをお願いします。
rpr:これからも応援よろしくお願いします。SCARZ EUを大きくしていくことに尽力するからね。
mande:今回の優勝で終わることなく、この成績を維持していきたいね。日本に訪れることになったら、みなさんに会いに行きたい。
——ありがとうございました!
日本のeスポーツプレイヤーに足りないものはプロという自覚
——ここからはオーナーの友利さんへの質問となります。SCARZ EUを展開しようとした目的と経緯はなんでしょうか。
友利:チームと言う形にできたのは、ご縁があったとしか言いようがないですね。日本でeスポーツチームの運営、特にシューティングゲームのチームを率いていたこともあり、英語圏での活動はいつかやってみたかったことでした。
やはりFPS=NAもしくはEUであることは間違いないと思います。ちょうどrpr選手やmande選手が所属していたチームが、eスポーツ全般から手を引いた形となり、所属が決まっていない状態でした。そこで話を聞いて貰ったところ、EUや北米のチームにはない魅力を感じてもらい、一緒に成長していきたいと思って貰えました。
——選手達が言っていたやりたいことをやらせてくれると言うことに繋がるんですね。
友利:そうですね。彼らは要望を出すだけでなく、チームのためにどうすればいいのかというのを常に考えています。
EU選手の意識の高さには驚かされます。チームに入ってすぐに選手個々の配信を行うことがあったんですけど、その時に「スポンサーロゴを用意してくれ」って言うんですよね。自分たちの配信に載せるから。チームに入ったからには、チームを大きくし、スポンサー企業には貢献したいと思っているんです。プロ意識の高さは本当に感服する思いです。
——早くも優勝したことは、ある種、予定外だったのではないでしょうか。
友利:実力的には優勝できるだけのパフォーマンスを示せるとは思っていましたし、優勝できると考えていました。しかし、実際に優勝するとなると、もう達成したのか!と言う驚きはありましたね。
そのおかげでいろいろ考えていた展開も全体的に前倒しする必要も出てきました。
——うれしい悲鳴ですね。
友利:まさに、それです。
今後の展開としては、SCARZ EUを足がかりにグローバル展開はさらに進めていきます。将来的には『APEX Legends』以外のタイトルであったり、EU以外の地域であったり、いろんなもの、いろんな場所に進出していきたいですね。
でも、その話はまだまだ先のことです。優勝できたとは言え、発足から3カ月。まだまだSCARZのブランディングもできていません。彼らがいっていたように、数多の大会のひとつで優勝したのにすぎないわけで、今後も気を抜かずSCARZ EUに注力していきます。とりあえずEUは彼らに任せておけばいいという確信は得られました。
——SCARZ CUPも開催されましたね。
友利:そうですね。念願の冠大会の開催で、準備は大変でした。
ここでも選手たちの力が大きかったですね。海外の有力チームが何チームか参加してくれたのですが、これもrpr選手を中心に、選手らが誘ってくれたことで参加が決まりました。チーム主催の大会を成功させるために、試合に出て活躍するだけでなく、そういった裏方的な仕事もやってくれています。それもこれもチームやスポンサーへの貢献ととらえており、プロ意識の高さの表れだと思います。
——ありがとうございました!
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日本のFPS、TPSのeスポーツシーンに欠かせない存在となったSCARZ。今回の海外進出や川崎に拠点を置いた地域密着など、次々と新たな挑戦をし、eスポーツ業界を牽引しています。それもこれも友利氏のeスポーツへの熱意があってこそ。独立系eスポーツチームのフレキシブルさや身軽さを生かして、挑戦をし続けて欲しいところです。次に何をするのか、今から楽しみです。
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