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eスポーツスクールからプロに選ばれるには何が必要か 〜「KONAMI eスポーツスクール 合同トライアウト」で聞いてみた【岡安学のeスポーツってなんだろう? 第11回】
KONAMI eスポーツスクール (現・KONAMI eスポーツ学院) が、2023年1月に参加している生徒を対象に合同トライアウトを実施しました。
合同トライアウトは「DetonatioN FocusMe」「SCARZ」「TEQWING e-Sports」の3チームが実技確認や面接を行い、チームの一員(練習生)として迎えるかどうかの判断をするものです。今年で2回目となります。
今回、2月に実施されたトライアウト二次審査の面接を取材する機会をいただき、実際にその中から2名の合格者が選ばれました。「eスポーツチームが求めるのはどんな人材なのか」をスクール側、チーム側の双方に取材してみました。
プロになるための直接的なチャンス「トライアウト」とは
KONAMI eスポーツ学院に通っている全生徒がトライアウトに参加しなくてはいけないという義務はなく、辞退することも可能です。
実際、トライアウトに参加したのは生徒全員ではなく、何人かは最初から希望していませんでした。希望を出していた一人の選手は独自でプロチームとの契約を勝ち取り、トライアウトを辞退していました。
KONAMI eスポーツ学院に限らず、eスポーツ科のある高校やeスポーツ専門学校などで学んだとしても、必ずプロチームに入れるわけではなくプロチームとのつながりができるわけでもありません。
そういった点では、トライアウトという形でプロチームとの接点ができ、場合によってはチーム入りできるので、生徒にとってみれば最終目的につながりやすいシステムだと言えます。
実際のトライアウト二次審査は、学生一人に対して各チームのスカウト担当者が質問する面接形式で行われました。
プロチームにとっての「KONAMI eスポーツ学院」トライアウトのメリット
プロチームとしても、大会や配信などを見て有望な選手をスカウトするだけでは、選手の人となりや人間性などまで推し量ることは難しく、トライアウトによる情報量の多さと直接本人の意見を聞くことで深掘りができる良い機会となっています。
ちなみに、トライアウトに参加している3チームは、KONAMI eスポーツ学院に講師やスタッフとして関わっており、トライアウト時の面接だけでなく、通年の活動や行動を見続けています。
DetonatioN FocusMe統括本部長の木皿儀剛氏は、「今のeスポーツを目指す人と直接コミュニケーションをとることで、どういう需要があるかをダイレクトに感じ取ることができます。また、スカウトと比べると情報量の多さが違うので、トライアウトでしかできないことだと思っています」と、その価値を語っています。
実際、SCARZ総監督の遠藤直弥氏も、「トライアウトで重視するポイントは、ゲームの腕前よりも人柄や人物像のパーソナリティが多くを占めている」と言います。「パーソナリティが判断の7割を占めますね。課題にどうやって取り組んでいるのか、ゲームの能力に伸びしろがあるのか、人生経験も重要です。チーム競技なので、チーム競技の部活をやってきた経験は重視しています」
昨今のプロシーンでは、腕前がありながらも発言や行動によって活動を制限せざるを得なくなったり、プロシーンからの退場を余儀なくされたケースがありました。そういったことにならないように、選手の素養を重視する傾向は今後益々強くなっていくと考えられます。
「SCARZ」「TEQWING e-Sports」の選出理由
今回のトライアウトでは2名の合格者が出ました。一人はSCARZの練習生として登録される金戸凪さん。『VALORANT』部門で活躍するプレイヤーです。
もう一人がTEQWING e-Sportsに練習生として登録される平林武蔵さん。『フォートナイト』部門で活動するプレイヤーです。
選出理由について、SCARZ総監督の遠藤氏によれば、「どのように挑んでいきたいのか、将来どうなりたいのか、そのためにどんな努力や取り組みをしてきたのかなど、本気度が伝わってくるかで判断させていただきました。練習生となった後は、実際のプロの練習がどのように行われているかを実際に見て、吸収してほしいと考えています」
「SCARZが求めている選手像はプロとしての実力面はもちろんですが、技術だけでなく人間性やスポーツマンシップを身につけて日々の練習や大会、チームの目標に取り組める人材です。マナーや礼儀、文化的な理解を身につけて競技という枠にとらわれず、世界で活躍する心構えを持って活動してほしいですね」と練習生へ期待を寄せています。
TEQWING e-Sports代表の加藤氏も「現段階の実績だけでなく、本人のやる気や仲間が付き合っていきたいと思える人柄などに注目しました。学生だけのコミュニティと社会人のコミュニティでは、技術面・生活面でのリテラシーなど求められるレベルが変わってきます」と言います。
「何か事故を起こしてしまった場合も、自分だけでなくチームや業界全体にも影響することがあることを念頭に社会性を身につけてほしいですね。ゲームのテクニックの研鑽も受け身で教わるだけでなく、自分なりに考える力を養い、チームメイトと一緒に成長できるようになってほしいと思います」と語り、学生とプロ選手の違いに言及し、成長に期待を持っているようでした。
eスポーツのプロを目指す学生にスクールができること
二人の練習生を輩出したKONAMI eスポーツ学院の石原靖士室長は今回の結果について、こう述べています。
「2名の合格者を出せたことは大変喜ばしいことだと思っています。練習生に合格したお二人はこれがゴールではありません。ここで掴んだチャンスを活かせるかどうかは自分次第です。有意義な一年を過ごしていただきたいと思います」
「金戸さんと平林さんはそれぞれの競技を真摯にプレイし、実力の高さもトップクラスと言えました。しかし、プロチームの方々はゲームの実績・実力だけでなく、普段の通学や授業への取り組み姿勢を見ていたのではないかと感じます。KONAMI eスポーツ学院では第一学院高等学校との提携で高校の学び・卒業資格を得ることができます。音楽やスポーツ、クリエイターの活動と学問を両立させるようにeスポーツの才能を伸ばし、挑戦する手段としてダブルスクールとして活用していただければと存じます」
「1年制度となっているのも、キャリアハイのピーク年齢が若いeスポーツにおいて、早い挑戦とジャッジに有効だと考えております。夢半ばで諦めざるを得ない場合もあるでしょう。その場合も路線変更に柔軟に対応することができると考えています」
eスポーツに限らず、学校と就職先や夢を実現する場が地続きになっていることは滅多にありません。それだけに子どもを見守る親の立場からすると、eスポーツ系の高校やeスポーツ専門学校への進学は必要以上に不安を抱いてしまうことでしょう。
KONAMI eスポーツ学院のトライアウトは、通っている生徒すべてをプロの世界へと導いてくれるものではないですが、それでもまったく未知数の状態と比較すれば道筋が見えてくるのではないでしょうか。KONAMI eスポーツ学院では、入校検討者向けオープンキャンパスも実施中とのこと。この活動がeスポーツにおいて、一つのエコシステムとなり定着してほしいところです。
合同トライアウト|KONAMI eスポーツ学院
https://www.konami.com/ginza/school/tryout.html
KONAMI eスポーツ学院(旧esports 銀座 school)
https://www.konami.com/ginza/school/
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