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【インタビュー】Aace「俺これ、いけるわ。ゲームわかったわ!」——RIDDLE ORDERがFENNELを制し、日本一へ! トラブル続きの中、魅せた大逆転劇の理由とは

2024年7月29日 13:36配信
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『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 2」のプレーオフ準決勝戦・決勝戦が、7月27日(土)〜28日(日)に開催された。FENNEL(FL)、RIDDLE ORDER(RID)、Sengoku Gaming(SG)の国内の強豪チームが白熱した試合を見せ、会場を大いに盛り上げた。

対戦の結果、3:2という接戦で見事RIDが勝利。さまざまなトラブルに見舞われ、2マップを先取されるなど非常に苦しい戦いだった中、見事日本一の座とAsencionへの切符をつかんだ。

今回は、試合直後に行われたRIDの選手・コーチへの合同インタビューの様子をお届けしよう。

▲優勝トロフィーを掲げるRIDの選手たち

▲左からyatsuka(やつか)
選手、Caedye(かえで)選手、JoxJo(じょじょ)選手、Aace(えーす)選手、Seoldam(そるだむ)選手、Vorz(ぼるず)コーチ

トラブルを乗り越えた大逆転劇


——見事、Split2優勝を果たしました。今日の試合の感想と振り返ってみてのコメントをお聞かせください。

Aace:最初の2マップから微妙な感じで始まって、残り3マップどうするかという感じでしたね。でも3マップ目のハーフタイムくらいから、敵のことを一気に巻き返せて本当にうれしかったです。楽しかったです。

Caedye:1マップ目にはミスピックがあって、試合にも負けてしまって僕はもう気分が落ちてた部分もあったんですが、チームメンバーがみんな鼓舞してくれて最後は「やってやるぞ!」という気持ちでプレーできました。本当に勝ててよかったです。

JoxJo:1マップ目も2マップ目も落として、「今日はちょっと運が良くないな」って思う瞬間もあったんですよ。そこで「強い」ということの意味を考えた結果、「俺らはこのスタイルじゃない。今まで俺らが強かったのは、個人プレーじゃなくてチームプレーだ。だからこそ、自分のプレーに集中しよう」と思いました。

大会なので緊張したり、いろいろと良くないこともありましたが、「この3マップ目が勝てたら、俺の運が生きる」とみんなに伝え、その結果すごく頑張ってくれたのでとても良かったです。


Seoldam:本当に良くない流れのまま2連敗してしまったのですが、そこからみんなひとりひとりが声を出して、みんながキャリーしたり、全員が頑張ってくれたのがこの結果だと思います。

優勝まで来るのはムズイかなと思ってたんですが、全員が頑張って勝利することができて本当に良かったです。

yatsuka:自信があったヘイヴンを落としちゃって、さらに2マップ目もそれを引きずってそのまま落としちゃって、結構苦しい展開だったんですが、3マップ目からは「俺らなら勝てるよ」というコールで息を吹き返したかのように頑張ってくれました。

Vorzコーチ:JoxJoが話していたように、「今日は運がないなあ、どうすれば勝てるかなあ」とふたりで話し合ったシーンもありました。負けるかもと思った——とは言いたくないんですけど、正直そんな感じのメンタルの時もありました。なので今日は本当に勝ちきれて良かったです。

今日のトラブルの半分くらいは自分に責任があります。勝ったからこそ言える話ですが、こういう時こそ気を引き締めないとなと思いました。次は絶対にやらないようにします。

——勝利後に対戦相手のFLの選手たちと健闘を称え合うシーンがありました。元チームメイトでもある彼らと、どのような会話を交わしましたか?

▲試合が終わったあと、真っ先にRIDの選手が駆け寄ったのは反対側のFLサイドだった

JoxJo:試合が終わったあとは、さすがに疲れるし、「お疲れ」とか「お前強かったね」とか、あとは「お前の分まで頑張る」とか、そんな感じで話しました。

僕はもう最初からFLと決勝で当たりたいと思っていて、FLがオフラインまで上がってほしいって僕は何回も何回も伝えました。「アセンションに向けて俺らはマジで頑張るしかないよ」って言ったような気がします。

——やはりFLは強かったですか?

JoxJo:オフラインでの落ち着きがすごくて、チームとしての動きができていたと思います。それが僕らが2マップ取られた要因なのかなと思ってます。流石に強いと思います。

「ゲームわかったわ」——仲間を盛り上げるためについた”うそ”


——Split2から、JoxJo選手が加入しました。JoxJo選手について、チームとしてどのような恩恵があったのか、なにがすごいのかというのをコーチ目線でお聞かせください。

Vorzコーチ:これは皆さんもわかる通り、まずはIGLがすごいということですね。

あとは技術的な面とかいろいろあるんですが、一番は若い選手たちがプレーしやすいような環境作りができることです。もちろん100%できているかといわれればそうじゃないかもしれないんですが、そのいい点も悪い点も含めて若い選手が伸び伸びできる雰囲気になるというか。

特に試合中は選手たち5人でしか話せないので、個人個人がポテンシャルを発揮できるような戦い方や取り組み方ができるということが、一番リスペクトしているところです。

▲試合中、絶えず喋る続けるJoxJo選手。観客席からもコールが聞こえるほどだ

——4マップ目のアセントでは、5:0の厳しい状態からタイムアウトを経て怒涛の巻き返しを見せました。この時のタイムアウトでは、どのようなことを話し合ったのでしょうか。

Vorzコーチ:メンタル? みたいなこと言ってたっけ?

yatsuka:「最初、FENNELは〜」みたいな。

Vorzコーチ:あっ、そうだそうだ!

最初は基礎的なアセントの戦い方を伝えたりしました。ただ、あの時から選手たちがノッてきて、タイムアウト中に俺が喋る時間なんてないくらいにみんなで会話し始めてましたね。実はあまりしゃべってなかったかも知れないです。

——特に後半からペースを掴んでいたような印象があるのですが、そうなった要因やその中でチームでどんな声を掛け合っていたかなどをお聞かせください。

Vorzコーチ:ラウンドが取れてきたタイミングでテックポーズがあったんですが、僕たちはMain Stageからテックポーズに当たる機会が異常に多くて、「またかよ」みたいな感じでイライラが出ちゃったりして。でもイライラしていても勝てないので、いったん冷静になって「ネガティブな話はやめてポジティブな話をしよう」みたいなことを言ったと思います。

あとは……何したっけ、ハグとかしてたっけ?

Caedye:円陣?

Vorzコーチ:ああ、そうそう。円陣もしました。「もうやるしかねえ」みたいな感じで、ここがみんなの心が決まった瞬間でしたね。

あとは、Aaceが「俺これ、いけるわ。ゲームわかったわ!」とか言って、「俺とJoxJoに任して」って試合中のコールをめっちゃ頑張ってて。なんかAace……来てるらしいです、ちょっとインタビューしてあげてください(笑)

——ではAace選手、その時のエピソードをぜひお聞かせください。

Aace:試合中に「気付いた」って言ったのは、別になんにも気づいてなくて(笑)

(一同笑い)

Aace:そもそもスクリムの時から、勝てるときにチームが「待って! ロジックわかった」って言うんですよ。

みんなあの時マジで落ち込んでたので、元気を出すために「これわかったわ」っていったんうそついて、俺がとりあえずめっちゃ喋って指示するっていうのをやっただけでした。そしたら勝ってたんで、やっぱりコールが大事だったんだなと実感しましたね。


——選手たちがいったん控室に戻るくらい非常に長いテックポーズがありましたが、このことについて試合にどのくらい影響があったと思いますか?

Vorzコーチ:今日は1マップ目のトラブルがあったせいで、自分だけかも知れないですけど、いつも以上に「ヤバいかなぁ……」みたいに感じていましたね。

結局、オフライン大会ではメンタリティが重要というか、技術面よりそっちの方が大事になる場面もあるので、選手たちの顔や発言からいつもよりかはちょっと効いてるな思ったところもありますね。

——このテックポーズで、なにかメンタルが切り替わった面もありますか?

Vorzコーチ:テックポーズだけでなく、さっきの一連の流れ含めて、ちょっと切り替わったのかなとは思います。

運命を変えた3マップ目・バインド


——今日の試合は緊張されましたか?

JoxJo:僕は緊張はしないタイプなので、俺らが何をすればいいのかだけを考えていました。

——他のメンバーについてはいかがでしたか?

JoxJo:結構みんな緊張していましたね。最初のマップから連続で落として「これはもう、僕が怒らないと」と思って、2マップ目が終わった後に強く言いました。


——3マップ目のバインドでは、8:11まで追い込まれた場面もあったかと思いますが、その時はチーム全体としてどのような雰囲気だったのでしょうか。

JoxJo:始まる前にも話したんですけど、バインドで勝てたら何とかなると思ってました。マジで流れは来ていると思っていたので、みんな「3マップ目に勝ったら絶対勝てるよ」という気で毎ラウンド毎ラウンド頑張りました。

そこから流れが変わったというか、ちゃんと自分たちの強みが出せたなと思っています。

——Aace選手にお聞きします。バインドの18ラウンド目では、チームの運命を変えるようなクラッチを見せていました。その時の気持ちを教えてください。

Aace:あの時、多分敵は俺のことをAショートとかにいると思っていたので、「これは勝てるな」って。まあ当然のように勝ったって感じですね(笑)。

——あの2キル目は完全に決め打ちだったのでしょうか。

Aace:多分そうかもしれないです。ランプに敵がいると思って、フリックするときに木箱を撃ったらたまたま敵が死んで「えっ、なんでだろ」って感じでした。

▲実はたまたまだった凄まじい2キル目。絶体絶命の状況の中、奇跡の1on3クラッチを魅せた(https://www.youtube.com/live/QWsVg5Pbvyo?t=23243

——Seoldam選手は本日、NORTHEPTION時代を思わせる生き生きとしたプレーが試合で見られたかと思います。このRIDに加入してから、ご自身の中ですごく成長できたなと思うことはありますでしょうか。

Seoldam:いろいろ大変なこともあったと思いますが、みんなも自分のことを信じてくれていますね。

一応、自分がデュエリストになった理由は、JoxJo選手から「デュエリストが向いてる」と言われたからです。Split1は自分がIGLをしながらイニシエイトしていたんですが、Split2からはJoxJo選手が入ってから、僕をデュエリストに変えてくれて。

みんな自分のことを信じてくれてるし、僕もやりたいことがあったら、コールして自信を持ってやれるようになったりして、本当に良かったと思います。


——最後にVorzコーチへお聞きします。Ascension Tokyoへの進出が決定したわけですが、どこか注目している選手やチームがあればお聞かせください。

Vorzコーチ:まず注目しているチームは、タイの「FULL SENSE」っていうチームですね。ちょっと昔負けたことがあって(笑)。

あとは、元Bleed Esportsのjuicyをはじめとした若い選手の多い、Disguised(DSG)っていうチームとかですかね。ちょっとあまり把握はしていないです。

——このAscensionがどのような展開になるか、現時点での予想をお聞かせください。

Vorzコーチ:難しいなぁ……。優勝したいです、だとちょっとアレですよね?

——そうですね(笑)。

Vorzコーチ:試合ごとに、それぞれ選手たちがちゃんと仕事をして、そしてキャリーして、優勝したいです。

——大丈夫です。ありがとうございました!

———

過去にさまざまなチーム・選手にインタビューしたことがあるが、誰もが共通して言っていたことはやはり「メンタル」についてであった。エージェントのピックミス、テックポーズ、そして後がない2連敗——さまざまなトラブル続きで、この決勝戦は非常にタフな試合だっただろう。そんな中見事RIDは、自身の「メンタル」との勝負に打ち勝ったと言えるだろう。

JoxJoという最強のIGLを抱え、この優勝を気にチームの結束はさらに強まっただろう。次にRIDが挑むはパシフィック——そして更に世界の舞台だ。ここからどのくらい彼らの躍進劇が見られるのか、今後も注目したいところだ。



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撮影:まいる
編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

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