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【現地レポート】日本の次は世界が舞台だ!——RIDDLE ORDERが国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 2」で見事優勝

2024年8月3日 12:00配信
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『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 2」のプレーオフ準決勝戦・決勝戦が、7月27日(土)〜28日(日)に開催された。FENNEL(FL)、RIDDLE ORDER(RID)、Sengoku Gaming(SG)の国内の強豪チームが白熱した試合を見せ、会場を大いに盛り上げた。

▲空は快晴。まだできたてほやほやの美しい会場。絶好のeスポーツ日和であることは間違いない

実のところ国内リーグである「Challengers Japan」における東京開催は初。会場の「有明GYM-EX」は東京五輪でも使用された施設で、そんな施設がeスポーツの会場へと変貌したのである。

今回はそんな本大会の様子を、余すところなくレポートするとしよう。

猛暑の中、会場の熱気も最高潮!


この日の最高気温は36度、路面に陽炎が浮かぶほどの猛暑となった。そんな中、有明に降り立つのはチームのユニフォームやグッズを身にまとったたくさんのファン。開場は12時からだったが、チームのグッズを目当てに早くから来場するファンも多かった。

夏・冬問わず、筆者はさまざまなイベントに足を運んだことがあるが、eスポーツのイベントは基本的に会場がすこぶる快適だ。これは選手たちのプレー環境を整えるためでもあるのだろうが、半袖だとむしろ寒いくらいの室温に救われる。外が辛くなったらここに逃げてくればいい。

▲ステージをぐるりと囲むような観客席。距離も近く、選手たちの生の声もよく聞こえてくる

▲おなじみのパネル。推しチームの前で記念撮影!

▲初日にはトロフィーが展示されていた。もちろん本物

ついに試合開始! 初日からはじまる激戦


初日に行われた準決勝のカードはSG vs FL。ステージは凹の形状になっており、中央の凹みから選手が入場。左右にある各チームサイドに座り、向かい合うような形で対戦する。

▲FLのEuler(おいらー)コーチとSGのmltdwn(めるとだうん)コーチのフィストバンプで幕が開ける

▲試合前の準備を進めるmisaya選手。どちらも負ければ敗退、緊張感が伝わってくる

試合は第1マップはFL、第2マップはSGが獲得し、1:1と拮抗した状態だった。だが第3マップからは、前半のリードを生かしきりそのままFLが13-6の大差で勝利。続く第4マップも序盤から怒涛の8ラウンド連取を受け、多少は巻き返したもののそのままFLの勝利に終わった。

▲SGは武器も不利なラウンド。かろうじて作り出した1vs1だったが、惜しくもSyouTaに敗れた(https://www.youtube.com/live/xz3batCQAXg?t=22867

▲Main Stage敗退寸前だったあの時から、オフラインにまで駒を進めたFL。第4マップを無事に白星で終え、喜びをメンバーと分かち合った

▲お互いの健闘を称え合うグータッチには、胸が非常に熱くなる

選手と生でふれ合える! コミュニティエリアを散策してみた


今回も「コミュニティーエリア」と呼ばれる各チームの出展ブースやフードトラックなどが集まったエリアが用意された。汗が滝のように出るほどの暑さのなか、特にMURASH GAMING(MRG)やRIDDLE ORDER(RID)のブースには長い長い列ができた。

両チームとも、プレーオフには初参加。当然ブース出展もはじめてだったため、こぞってファンが訪れることとなったのだろう。

▲テントから溢れるほどの長蛇の列! RIDブースではロゴを模したうちわも配布されたが、特徴的なそのデザインは会場でもよく目立つ

▲「完売 アザス ムラゲ」——MRGブースは13時ごろには既に完売

もちろんスポットクーラーが用意されたり、冷たいフードが販売されていたりと対策はされていた。それでも余りある暑さに、皆ハンディーファンやうちわなどで思い思いの暑さ対策をしていた。

▲フードトラックではかき氷も販売されていた。気分は夏祭りだ

▲昨年のSplit 2も暑かったが、今回はそれとは比にならないくらい過酷だ。初日には来場者が熱中症で倒れるなどしたが、救護所も用意されており万全の体制だ

なお、このエリアでなんと日本ハムの新製品「BOOST NOODLE」の試食が行われた。タイパ重視の栄養食、その正体はパウチ型のラーメンだというから驚きだ。

▲販売価格660円がなんと無料配布! ゲームを長時間プレーしながらもラーメンを食べたいとの発想からたどり着いた、タイパ追求型ラーメンだという

▲味は魚介豚骨風味で、パウチから吸うように食べる。かなりこってりとした味付けで、麺(こんにゃく麺)やチャーシュー、メンマまで入っている。食感はラーメンっぽくはないが、全然イケる味だ

激戦から一夜、SGの選手たちに突撃インタビュー


▲左からArt(あーと)コーチとmisaya(みさや)選手。撮影の際に「真剣な表情で」とお願いした結果だ

決勝戦の28日(日)、筆者はSGのブースを訪れた。敗北から一夜明けた彼らは、何を語ってくれるのだろうか。ブースにいたmisaya選手とArtコーチに話を聞いた。

——今日、ファンの方とは話されましたか?

misaya:はい!

——どうでしたか?

misaya:温かいです。

Art:なんでも許してもらえます。

——どんな声を掛けられましたか?

misaya:「ナイストライ」「来年頑張ってね」とか。

Art:「来年コーチやるんですか?」「次は選手をやるんですか?」って聞かれます。

——そのファンの声にどのような言葉で返していますか?

Art:コーチ面白い。『VALORANT』がうまくなって楽しい、って言います。

misaya:僕は冗談で「就職します」って答えてます。

——(笑)。ちなみに今後のSplit 3に向けての展望はあるのでしょうか。

misaya:同じメンバーで出るかはわからないですけど、(チームとして)出ることには出ます。

いったんオフして、目標を設定してそこに向かえたらと思っています。熱自体は残っているので、これからも続けていきたいと思っています。

——試合を終えた率直な感想もお聞かせください。

misaya:やりきれなかったというか、もっと「いばにんマップ」にフォーカスできたら良かったなと思いますね。「いばにんマップ」だけ本当に負け続けて——例えば、ロータスとか。

Art:ロータスは絶対に勝てる自信があって、選手も結構自信を持ってくれていたので。もちろん練習ではいっぱい負けたけど、その分だけ勝てる自信はありました。


——FLは強かったですか?

misaya:FLはもちろん強かった。強かったですけど、それ以上に僕たちが悪かったです。

——課題はどこにあったと考えていますか?

Art:ゲームプランですね。ゲームプランがいろいろごっちゃになっちゃって、「やれることは多い」けど「できることは少ない」みたいな状態でしたね。

——特に最終マップでは、0:8まで追い詰められる場面がありました。あの時タイムアウト後に3:9までなんとか持ち直したと記憶しているんですが、そこではどのような話をしたのでしょうか。

misaya:僕はマクロの展開はずっと見えていて、ただ見えていたけどなぜかうまくいかなくて——。そのタイムアウトでコーチから、直接的なコミュニケーションが入って変わりましたね。

——直接的っていうのは、戦術面のことですか?

misaya:そうです、超戦術的なテコ入れですね。

——逆に勝利した第2マップの「アビス」はどうでしたか?

misaya:アビスはめっちゃ自信があって、スクリムでもほぼ無敗でしたね。Relife(りらいふ)コーチの理論にハマって進行できていたので、それが良かったのかなという印象です。

——この決勝戦、どちらが勝つと考えていますか?

misaya、Art:FLです。

——その理由は?

misaya:今までのジンクスです。

Art:さすがに勝ちます。ジンクス、カルマ、運命力。

misaya:逆にここで、ジンクスを打ち破ってRIDが勝ったらすごいですね。

——最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

misaya:いつも応援ありがとうございます。本当に皆さんの応援で生きられているし、みなさんがいなければ僕はもう就職して、その後無職になってると思うんで、これからも応援よろしくお願いします。

Art:本当にいつも応援ありがとうございます。チームからのサポートやファンの方々の声援がなければ、きっと僕はもち詰め工場で働いていたと思います。皆さんに支えられているからこそ、その分これから勝って恩返しをしていきたいと思っています。頑張ります。

▲「おちゃらけバージョン」も撮影させていただいた。ファンサービスの良さでは優勝かもしれない

大波乱の決勝戦——さまざまなトラブルを乗り越えながら挑んだ、Ascensionへの道


さて、迎えた決勝戦。準決勝を勝ち進んだFLと、それを待ち受けるRIDという構図だった。会場溢れるのは、黄色いユニフォームを身にまとったRIDファンの姿がたくさん。警告色だからか、暗い会場内でもよく目立つ。

▲お馴染みの応援ボードは、会場内で書くことができる。みんな絵がうまい

▲JoxJo~その血の運命(さだめ)~

だがしかし、RIDを襲ったのは度重なるアクシデントだった。第1マップの「ヘイヴン」では、RID側のピックミスが判明。リメイクになるだろうと勘違いしたメンバーが適当に選んだエージェント構成になってしまったとのこと。お互いの構成が画面に表示されてしまったために、このまま試合は続行に。

▲3コントローラー構成という、もはやランクでもあまり見かけない構成に会場がどよめいた(https://www.youtube.com/live/QWsVg5Pbvyo?t=7347

▲適当な構成ながら意外にもRIDは健闘! しかし、試合を決めたのはFL TENNN(てん)のACEだった(https://www.youtube.com/live/QWsVg5Pbvyo?t=10163

続く第2マップもFLが連取し、もう後がないRID。迎えた第3マップの「バインド」では、ほぼ互角の戦いを見せていた。しかしそんな中、試合中盤に長時間にわたるテックポーズが発生。原因はクライアントの表示エラーだった。スタッフたちが懸命に解消に努めるもうまくいかず、選手たちはいったん控室に戻ってしまうほどだった。

▲テックポーズ中、オフライン会場限定で行われたプレゼント企画。この場を繋ぐために大御所キャスター陣が立ち上がり、会場をさらに盛り上げた

▲なんとOooDaさんや岸大河さんから直接手渡し!

無事に試合が再開したのは、約1時間以上が経ったころだった。RIDはMain Stageでも長時間のテックポーズを経験した、なんとも運が悪いチームだ。その後の展開も、押して押されての状況のなかFLにリードを広げられ、あと数点で敗北というところまで追い詰められた。

しかし状況を変えたのは、Aace選手の3vs1クラッチだった。第18ラウンド、絶体絶命の状況の中から冷静に一人ずつ敵を撃ち倒し、見事にラウンドを獲得した。

▲劣勢であることに変わりはないが、チームの流れが大きく変わる決定打ではあっただろう(https://www.youtube.com/live/QWsVg5Pbvyo?t=23243

▲第3マップはRIDが逆転勝利。誰もが予想を裏切られた瞬間だった

第4マップは、オーバータイムの末にRIDが勝利。同点にまで追いついた彼らは、その勢いのままに最終マップの「アイスボックス」で暴れまわる。FL側も粘りに粘るものの、その逆転劇に歯止めをかけることはできなかった。

▲観客を煽り、味方を鼓舞。圧倒的ムードメーカーのAace(えーす)選手

▲逆風を押しのけ、歴史に残る大逆転で日本一に輝いたのはRID!

▲会場に飾ってあった優勝トロフィーが、ついに彼らの手に渡った瞬間である

▲「アイコンにしたいから撮って」と観客に要求するAace選手。はじめはひとりだったが「やっぱりこっちがいい!」とCaedye選手を呼び止めた

———

ついに日本一の座に輝いたRID。彼らのSplit 1での成績は、驚くことなかれ「オープン予選落ち」であった。そんな彼らがアセンションへの切符を掴んだのは、JoxJo選手というキーパーソンの加入が非常に大きい要因であろう。

日本一を3回も経験した彼の、卓越したプレースキルと経験に裏打ちされたIGLは、もはや世界レベル。最強のフィジカルと最強のブレーンを兼ね備えた、最強のチームが爆誕してしまったかも知れない。より結束の強まったRIDにとって、これは大きな自信につながる結果になるだろう。

そんな最高の試合を間近で観戦できたことに、今はただ誇らしく感じる。過去のChallengers Japanの4大会にはすべて足を運んでいるが、やはり日本一が生まれる瞬間というのは見ていて目頭が熱くなる。

このようなオフラインならではの高揚感と熱狂は、実際に行ってみないと伝わることはないだろう。だがその熱量のうち、ほんの一部だけでもお伝えできていれば幸いだ。

ちなみにだが、見事優勝したRIDに対し、試合終了直後の合同インタビューが行われた。会場の撤収時間が迫る中、本当にギリギリまで生の声を聞かせていただいた。まだご覧になっていない方は、ぜひこちらも併せて読んでいただきたい。

関連記事:
【インタビュー】Aace「俺これ、いけるわ。ゲームわかったわ!」——RIDDLE ORDERがFENNELを制し、日本一へ! トラブル続きの中、魅せた大逆転劇の理由とは


撮影:まいる
編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

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