JRA-VANコラム
超レアケース!? シンガリ人気馬が重賞で連日激走!
先日のダイヤモンドSはミライヘノツバサがメイショウテンゲンとの際どい競り合いを制して重賞初制覇を果たした。勝ったミライヘノツバサは16頭立ての16番人気で、単勝オッズはなんと325.5倍だった。同馬は過去に日経賞2着やアメリカジョッキークラブカップ3着の実績があったのだが、今回は全くと言っていいほど人気がなかった。いくらハンデ戦とはいえ、これほど高額の単勝配当はなかなか出ない。
ダイヤモンドSの翌日、フェブラリーSでも大きな配当が飛び出した。勝利したのは1番人気のモズアスコットだが、2着に16番人気のケイティブレイブが突っ込んだのだ。同馬も過去にJBCクラシック(京都ダート1900m)などを勝っており、実績的にはメンバー中上位だった。しかし、このレースでは大きく人気を落とし、シンガリ人気という低評価だった。
こうして重賞で連日、最低人気の馬が激走するという事態が起きた。おそらくこうしたケースはめずらしいだろう。そこで今回はJRAの平地重賞において16番人気以下で3着以内に入った馬を調べてみることにした。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
2010年以降のJRA平地重賞を対象に調べた結果が表1。10年と約2か月の間に17頭の馬が好走していた(2015年ターコイズSでも16番人気ダンスアミーガが2着となっているが、G3格付け前の新設重賞だったため集計から除外した)。今年のダイヤモンドSの前は19年のショウナンアンセムが該当。高松宮記念で17番人気ながら3着と激走した。19年はこの1頭だけだった。18年も日本ダービーのコズミックフォースのみ。17年と16年は該当馬がいなかった。
一方、14年は5頭もの馬が該当。12年も4頭が16番人気以下で好走した。こうしてみると年によって頭数にバラつきがある。今年はわずか2か月の間で2頭も好走馬が出ているが、異例のハイペースとまでは言えないようだ。
表1に該当した17レース(17頭)をグレードで分けるとG1が8、G2が1、G3が8だった。1年間のグレード別のレース数は基本的にG3>G2>G1だ。よって、16番人気以下の激走率はG1が最も高い。G1が行われる舞台は18頭立てが可能なコースが多く、実際に頭数も揃いやすいことが影響しているのかもしれない。
さらにこの17レースを様々な角度から調べてみた。まず、馬場状態は良馬場が多い。道悪になることでとんでもない馬が突っ込んでくる確率が上がるということはなさそうだ。着順の内訳は3着が11回と最も多い。やはりこれだけ人気薄ともなると、力が足りなかったり不調だったりと、見込み薄と考えられる原因がある。連対まで到達するのは大変だろう。
性別は牡馬が14頭に対し、牝馬が3頭。この3頭の牝馬はすべて牝馬限定戦で好走した。牡馬との混合戦で激走したケースはない。
年齢は3〜7歳まで。2歳限定戦では超大穴は望みにくいようだ。騎手は三浦皇成騎手と江田照男騎手が2回登場している。江田騎手と言えば異名は「大穴男」。さすがというべきだろう。
斤量は58キロから52キロまで。51キロ以下の超軽量馬の好走はなかった。ただ、8つのG3のうち6つがハンデ戦だった。別定戦に比べるとハンデ戦の方が大穴を期待できる。
馬番は二けた番が7頭。その内5頭が東京競馬場のレースで好走した。広々としたコースの方が枠順の不利を受けにくい可能性はある。
最後に16番人気以下で好走した17頭の前走成績もチェックしておく(表2参照)。基本的には前走着順が悪い馬が大半。だからこそ人気を大きく落としている。そんな中、コズミックフォースは前走プリンシパルS1着、タガノブルグは前走橘S1着だった。3歳限定のG1においては、こうした戦績の馬でも超大穴になるケースがあることを覚えておきたい。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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