JRA-VANコラム
小倉競馬場で代替される中京記念を分析する
近年は中京競馬場以外で代替されることの多い中京記念。昨年は本来の中京芝1600mで開催されたが、今年は2021、22年と同じ小倉競馬場の芝1800mで行われる。この一戦をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析したい。
過去10年の人気別では、1、6番人気が複勝率60.0%で、5番人気が同40.0%。2021年は1→6→5番人気、22年は6→10→1番人気と、小倉代替時の好走馬6頭中5頭がこの1、5、6番人気から出ているため、信頼できそうなデータだ。単勝オッズでは7.0~16.9倍が【6.5.4.34】で複勝率30.6%。人気が割れていて入れ替わりもありそうな場合は、単勝オッズも参考にしたい。
年齢別では5歳馬が【6.7.4.44】と好走馬の半数以上を占め、連対率21.3%とかなり優秀。表1で好走確率が高かった1番人気は5歳馬にかぎれば【1.0.2.0】と複勝率100%だ。また5、6番人気の5歳馬は【3.4.0.4】で連対率63.6%と、こちらも人気順を考慮すれば相当な好成績を残している。なお、今年は3歳馬の登録はない。
ハンデ別では57.5キロ以上の重ハンデ馬が【1.0.0.14】の不振。好走したのは10年前・2014年のサダムパテック(58キロ)で、ここ9年は好走馬が出ていない。昨年から全体的に斤量が重くなっているためこの57.5キロという線引きは今後変わってくる可能性がある点に注意したいが、重ハンデ馬が苦戦していることは覚えておきたい。
今年の登録馬の前走は3勝クラス、オープン特別、中央G3、中央G1のいずれか。この中では中央G1組が【2.4.2.23】で複勝率トップの25.8%を記録している。好走した8頭は安田記念、ヴィクトリアM、NHKマイルCと、いずれも東京芝1600m戦に出走していた。好走馬数が多いのはオープン特別組で【6.5.3.61】同18.7%。
表5は小倉で代替された2021、22年の1~3着馬とその前走である。前走は安田記念とマーメイドSが2頭ずつ。表4で記したように前走G1なら東京芝1600m出走馬というデータが小倉でもそのまま当てはまっている。安田記念では大敗していても巻き返し可能だ。
一方、過去10年でも好走馬が3頭しかいなかった前走G3(表4)にあたるマーメイドS組は、小倉代替時ならではの注目馬として警戒したい(G3組の残る1頭は前走エプソムC)。なお、この2年にかぎると米子S組は【0.0.0.7】と相性が悪い。
【結論】
エピファニーやアルナシームに注目
中京記念は5歳馬の好走が多いレース(表2)で、特に1、5、6番人気の馬がいれば積極的に狙いたい。ハンデ戦のため人気順を読むのは難しいが、5歳勢で1番人気があるとすれば今年の小倉大賞典を制したエピファニー(58キロ)、5~6番人気ならアルナシーム(57キロ)だろうか。ハンデ(表3)も考慮すると後者がより有力だ。
ほかに5歳馬では人気こそ下位になりそうだが、昨年の本競走(中京)優勝馬で今年の小倉大賞典3着という小倉実績もあるセルバーグ(57キロ)にも要注意。過去10年のうち8回は5歳馬が馬券に絡んでいるため、5歳馬なら1、5、6番人気にならなかったとしても1~2頭は馬券候補に入れておきたい。
その他では、表5から安田記念組やマーメイドS組に注目。今年の安田記念組はエルトンバローズ(59キロ)とカテドラル(58キロ)、マーメイドS組はタガノパッション(53キロ)。ハンデも加味すると3頭の中ではタガノパッションが上位だろうか。前走のマーメイドSこそ15着大敗も、小倉コース【0.1.4.2】複勝率71.4%と穴候補としてはおもしろい存在だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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