JRA-VANコラム
【ヴィクトリアマイル×過去データ分析】過去10年で前走1着馬が0勝!?

昨年は単勝2万馬券が飛び出したヴィクトリアマイル。今回の分析では前走の距離に注目し、過去10年の出走馬を「前走同距離」「距離延長」「距離短縮」に分け、それぞれのグループにおける有望馬へとつながるデータを紹介したい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

まずは「前走同距離」から。過去10年の出走馬延べ172頭の約半数にあたる85頭がここに該当し、そのうち63頭が使った前走阪神牝馬S(※1400m開催の15年は後述の「距離延長」に含む)が主流のローテーションとなっている。なお、阪神牝馬S以外の1600m重賞から臨む馬が複勝率35.7%となかなかの成績を収めているのだが、今年は当てはまる登録馬がいない。

続いて、阪神牝馬Sに限ったデータを確認しておきたい。前走着順に関しては、阪神牝馬Sで10着以下だった馬が過去10年のヴィクトリアマイルで好走した例はないため、ひとケタ着順には入っておきたい。また、前走4角通過順は3~4番手だった馬が好成績。さらにデータを細かく見ていくと「前走阪神牝馬Sで4角3~7番手から1~9着」だった馬が【3.2.3.12】と優秀な成績を収めており、昨年激走したテンハッピーローズもここに含まれている。

「距離短縮」の場合、タイム差が参考になりそうだ。前走1着馬はタイム差を問わず【0.1.0.13】、0秒0差の僅差負けだった馬も【0.0.1.8】と、前走から一転して苦戦に陥っている。また、0秒6差以上負けていた場合、20年のアーモンドアイ、21年のグランアレグリアを除くと【0.0.0.8】と、歴史的名牝の2頭以外では巻き返した例がない。となると、これらを除いた前走0秒1~0秒5差負けが「距離短縮」における主なターゲットとなりそうだ。

「距離延長」の好走例は4頭おり、うち3頭の前走は高松宮記念、残り1頭はサウジアラビアの1351ターフスプリントを走っていた。この4頭はすべて前走で6着以下に敗れており、しかもそのうち3頭は10着以下からの大幅な巻き返し。その一方で、前走1~2着馬は合わせて【0.0.0.10】と好走例がない。このとおり、「距離延長」でヴィクトリアマイルに出走するケースでは、「前走同距離」や「距離短縮」以上に前走着順が連動しないことを念頭に入れておきたい。

最後に、レースを問わない前走着順別成績をチェックしておきたい。上記の表2~4からも読み取れるが、過去10年のヴィクトリアマイルで前走1着馬は0勝。対して、前走6着以下が計6勝を挙げている。複勝率に関しては前走2~5着の数値が比較的高いものの、レース全体の傾向として前走着順を鵜呑みにしすぎないほうがいいかもしれない。
【結論】
今年も波乱の可能性は十分にありそう
今年のヴィクトリアマイルには23頭がエントリー。「前走同距離」が10頭を数え、うち9頭の阪神牝馬S組が今年も最大勢力となる。このうち、データ的な有望馬「前走阪神牝馬Sで4角3~7番手から1~9着」に合致するのはアルジーヌ、ビヨンドザヴァレー、ソーダズリング。ほかにタガノエルピーダも当てはまるが、本校執筆時点では除外対象となっている。
「距離短縮」の場合、前走0秒1~0秒5差負けがデータ的によく、合致するのはクリスマスパレード、ミアネーロ、アリスヴェリテ、シンリョクカの4頭。前走1着のクイーンズウォーク、シランケド、アドマイヤマツリ、前走1秒1差負けのステレンボッシュは、距離短縮馬としては強調しづらくなった。
「距離延長」となる4頭のうち、好走実績がある前走に当てはまるのは前走1351ターフスプリントのアスコリピチェーノ。マイル実績抜群の同馬が、前走1着馬が勝てない過去10年のジンクスを乗り越えられるか、注目したい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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