展望
アーモンドアイが牝馬三冠に挑む!2歳女王ラッキーライラックは調整に不安
2018年10月9日 11:15配信
アーモンドアイが秋華賞で牝馬三冠に挑む。桜花賞・オークスの内容からして、能力の違いは明らかだろう。血統から春には不安視されていた距離についても、オークスの2400mをこなした以上2000mは当然守備範囲。桜花賞までは後ろに構えて末脚に賭けるスタイルだったが、オークスでは前残りを警戒してか道中6番手につけた。それでいて、上がり2位の馬たち(2~4着馬)が上がり3ハロン33秒9だったのに対し、アーモンドアイは33秒2。まさにエンジンが違うという印象だ。
今回リスクがあるとしたら、オークスから直行という点だけだろう。一応直前の調教をチェックする必要はあるが、基本的にはこの馬1頭とその他全員という構図だ。
そのようになったのも、2歳女王ラッキーライラックが調整に順調さを欠いたためだ。本来はローズSを使う予定だったが、右後脚の球節に腫れが見られたということで大事をとって同レースを回避。秋華賞に直行することとなった。その回避自体は大きな問題ではないと思われるが、三冠のかかった強力なライバルに立ち向かううえで、予定のローテーションを消化できなかったのはやはり痛い。
ラッキーライラックに強みがあるとしたら位置取り。アーモンドアイより前でレースを進められるのは確実なので、京都芝内回りコースの特徴を生かして粘りこみを図りたい。
コースを生かしたいのは、ローズSの勝ち馬カンタービレも同様だ。ローズSでは正直展開に恵まれた面もあったと思うが、それでも阪神芝外回りコースで4角先頭から粘り込めたことは収穫。京都内回りで同じようなラップを刻めれば上位食い込みが狙える。
逆に、ローズSで展開に恵まれなかったのは差し・追込勢。そんな中でサラキアは、最後よく伸びて2着に入った。同馬の全姉サロニカはエルフィンS勝ちなどマイル前後の距離で活躍したが、母サロミナはドイツオークス馬で、本来はもっとスタミナのある血統だ。消耗戦に近い展開になり、先行馬が潰れる一方でレースの決着タイムが速いというような形になれば、この馬にとって大きなチャンスとなる。今回はいったん乗り替わりを決めたモレイラ騎手が前週に騎乗停止となってしまい予定が狂ったが、誰が乗っても上位食い込みの可能性はある馬だ。
アーモンドアイやサラキアと同じシルクレーシングの所属馬で、こちらも名牝の産駒なのがプリモシーン。母モシーンはオーストラリアでVRCオークスを筆頭にG1を4勝した馬。これまでマイル戦にこだわって使われてきた馬なので2000mの距離がどうなのかという問題はあるが、血統の字面自体は中距離まで守備範囲にしてもおかしくないもの。こちらも展開次第では浮上がありうる。
text by 須田 鷹雄