展望
春のクラシックで上位争い演じたヴェロックス、有力馬不在の混戦を抜け出すか!?
2021年9月7日 10:29配信
ダービー馬不在の菊花賞は最近では珍しくないことだが、今年は皐月賞馬かつ神戸新聞杯勝ち馬であるサートゥルナーリアも不在。さらにセントライト記念勝ちのリオンリオンも回避となってしまった。上がり馬タイプの馬にはチャンスのある菊花賞となりそうだ。
人気はやはりヴェロックスだろう。神戸新聞杯は一瞬折り合いを欠いたし、サートゥルナーリアとは序盤の位置取りでもう勝負がついてしまった格好だった。それでも2着を確保するあたりは能力のあらわれ。リステッドレース2勝の一方でまだ重賞未勝利だが、皐月賞2着ダービー3着という圧倒的な格上馬。悲願のタイトル奪取も近そうだ。
ニシノデイジーはデビュー戦以来手綱をとってきた勝浦騎手からルメール騎手に乗り替わりとなることで話題となっている。皐月賞あたりの不振に比べると、ダービー5着と夏休みを挟んでのセントライト記念5着はそこまで悪い内容ではない。ただ、初手の位置取りが以前よりはかなり後ろになっており、その点がどうか。最近の菊花賞や天皇賞春(同じ競馬場で200m長い)は後ろから外を回る形だと厳しい。まずはどんな枠順を引くか。そしてどんな位置で競馬ができるかが課題となる。
レッドジェニアルは今回のメンバーでは貴重な重賞勝ち馬(京都新聞杯)。4着に終わった神戸新聞杯は、超スローからの上がり勝負に全く対応できなかった。向正面でヴェロックスに内をすくわれたのも、敵を利したという意味ではマイナスだったろう。正直ここでヴェロックスを負かすシナリオはイメージしづらいが、上がり馬の実力より春勢力のほうが上だった場合にはある程度の好走が可能かもしれない。
神戸新聞杯3着のワールドプレミアはここまで大きく崩れていないことと血統的なポテンシャル、そしてキャリアが浅く伸びシロを残していることが魅力。3000mをこなすスタミナ自体も持ち合わせていそうだが、気性面の問題もあり、どの程度折り合いをつけ、なおかつ悪くない位置を取れるかが課題となる。
上がり馬タイプではヒシゲッコウが注目を集めそう。7月に勝った阿寒湖特別は、2001年にマンハッタンカフェが勝ったレースであり、それがまた上がり馬としての期待を高めている。プリンシパルS3着でオープンのレベルでも通用することは証明しており、3000mという条件への適性が他馬よりも高いのであるとすれば、勝つところまでいっても不思議ではない。
ホウオウサーベルも期待したい上がり馬。もともと馬っぷりの良さは2歳時から評価されていた。2月の敗戦のあときっぱり春を諦めて本格化を待ったのが正解。前走阿賀野川特別は圧勝だったし、馬を見ても長距離にはかなり適性がありそうだ。
text by 須田 鷹雄