展望
連覇を狙うフィエールマン、キセキはスタートがカギか
2021年9月7日 09:50配信
京都競馬場が改修に入る前、最後の天皇賞春。「筋金入りのステイヤー」にとっては年に一度の機会だけに、ここへ向けメイチの仕上げをしてきそうだ。
昨年の覇者フィエールマンが連覇を狙う。昨年は道中折り合いを欠きながら進出する感じだったが、それでも押し切ってしまったあたりにスタミナの豊富さと能力の高さを感じる。昨秋の凱旋門賞はひどい大敗で心身へのダメージが心配されたが、有馬記念で4着できているのだから、もう大丈夫と考えていいだろう。今回はレース間隔がひらいた形での出走だが、ノーザンファームの休み明けはもはや不安材料ではないというのは、昨年のG1でさんざん証明された通りである。
もう1頭のタイトルホルダーであるキセキは、阪神大賞典で大出遅れのうえ7着。2018年の日経賞で大暴走したり、なにかとメンタルにややこしさを抱えている馬ではある。気がつけば菊花賞以来1着がなく、そろそろ結果を出したいところ。大失敗したレースの直後だからといって守る競馬になるのではなく、この馬の持ち味である先行力とスタミナを生かしたいところ。そのためにもスタートは決めたい。
ユーキャンスマイルは菊花賞3着、ダイヤモンドS1着、阪神大賞典1着と長距離重賞の実績豊富。天皇賞秋やジャパンカップでも掲示板に載っており、能力は保証されている。あとは展開的に届くかどうか。良い脚は使う馬だが、自分から競馬を作れるタイプではないのでどうしても結果は展開次第ということになる。いままでより早い仕掛けだとか最初から決め打ちのイン狙いとか、1着を取るためにはなにか戦略が必要だ。
ミッキースワローはレース内容が安定している。3歳時の菊花賞でも6着と大きくはバテていないのだが、それ以降3000m以上のレースを使っていないように、自身は2000~2500mあたりがベスト。極端にスタミナを問われることになると苦しい。逆にスローから上がりだけの競馬になればチャンスがある。
メイショウテンゲンは逆に、距離があってこそのタイプ。母メイショウベルーガもフレンチデピュティ産駒の中でもかなり距離をこなすほうだったが、そこへディープインパクトが配合されてステイヤー色が強まった。ここまでの成績を見ると能力の面でG1上位が可能かどうかは微妙だが、適性はある。少しでもスタミナに不安のある馬が全部バテてしまうような、泥仕合的な消耗戦になると浮上しそうだ。
トーセンカンビーナは京都コース2戦2勝(2200mと2400m)、距離延長の阪神大賞典で2着と侮れない存在だ。条件戦で何回か負けているが、それも距離不足やキレ不足だったと考えれば、ここで想像以上の走りを見せる可能性がある。
text by 須田 鷹雄