展望
アーモンドアイ、G1・7勝目へ視界良好の理由 ドバイ帰国組のあの馬にも注目
2021年9月7日 09:50配信
今年のヴィクトリアマイルは、アーモンドアイの参戦でにわかに注目度の高いレースとなった。
そのアーモンドアイは、ドバイワールドカップ開催が中止となり、ドバイターフからこちらへ目標を切り替えたもの。UAEまでのカラ輸送は正直痛いが、向こうでの輸送待ちの間も最低限の運動はしていたし、帰り便のフライトは順調なものだった。検疫を経ての参戦となるが検疫期間のほとんどは天栄トレーニングセンターでの通常の調整と実質的には同じもの。ノーザンファームも自信がなければこれだけの馬を使ってはこないだろう。
同じドバイ帰国組では、ラヴズオンリーユーも参戦してきた。ただこちらは参戦が意外な面もある。2歳時には白菊賞でマイル勝ちがあるが、超のつく消耗戦だったオークスを勝っているあたり、本質的には長めのところが向いているはず。春は牝馬限定G1となるとここしかないのでそれゆえの選択だが、一歩間違うと大敗のリスクもある。逆にマイルでも好走できるようなら能力の高さを示すことになる。
ノームコアは昨年の優勝馬だが、1,200mの高松宮記念を使って大敗してきた後というのは少し気になるところ。もともと2,000m前後の距離を使っていた馬。負けた競馬でも良い方向への刺激になればよいが、速いペースを経験したことで折り合いにマイナスとなる可能性もある。あとは左回り巧者ぶりを生かして1年前の自分にどこまで近づけるか。
ダノンファンタジーはローズステークスを勝ってはいるものの、チューリップ賞までの快進撃を考えるとその後の成績は物足りない面がある。ただ、半年の休み明けで阪神牝馬ステークスを使ったのは、いかにもヴィクトリアマイルから逆算したという印象。その阪神牝馬Sは馬体重プラス22キロという最近あまり見ない前哨戦モードで臨んだが、それでも0.4秒差の5着しているあたり、やはり力はある。あとは予定通り本番に向けて状態を作れたかどうかだ。
プリモシーンは昨年がダービー卿チャレンジトロフィー2着からヴィクトリアマイルも2着だったのに対し、今年はダービー卿の時点で5着とやや躓いてしまった。ただハンデ戦で実力馬が負けるのはよくあること。この馬は左回りの芝1,600mというのが明らかなだけに、前走負けてなお本番好走の可能性は残る。
阪神牝馬ステークス2着のスカーレットカラーは当時の勝ち馬サウンドキアラが不在のため、同組最先着馬としての参戦になる。一時は1,800~2,000mでの好走が続いていたし有馬記念から一気に1,600mへの距離短縮だっただけに、この距離も走れることを示したのは大きい。あくまで伏兵だが上位食い込みかあってもおかしくない。
text by 須田 鷹雄