展望
ディープボンド、アリストテレス、カレンブーケドール…最強ステイヤーに輝くのはどの馬か?
2021年9月7日 09:40配信
![](/keiba/img/column/2021050209021211/img_2021050209021211_1.jpg)
フィエールマンが引退したのち、確固たる主役が不在となった長距離路線。新興勢力の台頭があるのか、すでにGI好走歴のある馬が勝つのか、そこが今年の天皇賞春を見るうえでのポイントになる。
既に実績があるということでは、2019年の菊花賞馬ワールドプレミアが代表的な存在だ。スタミナに関しては疑いようのない存在である。ただ、3歳暮れの有馬記念3着あたりまではよかったが、その後の成績がいまひとつなのは事実。菊花賞当時の相手関係がやや楽だった感もあり、ここで本質的なレベルを問われることになる。
昨年の菊花賞でコントレイルに対しあわやの場面を作ったアリストテレスもGI好走歴と長距離適性の両方を持っている馬。ただ、阪神大賞典で7着と大敗してしまった。その前のアメリカクラブジョッキークラブカップを不良馬場で勝っているので、道悪そのものは言い訳にならない。悪い馬場で競馬をしたことによるダメージがあるとしたら今回も心配だ。力は確実にあるので、どれだけ立て直してくるかが鍵になる。
カレンブーケドールは勝ち切れないまでも2019年ジャパンカップ2着など古馬GIのいちばんレベルの高いところで好走を続けてきた馬。抜け出すとふわふわするところがあり一方で決め手がないので惜敗が多くなるが、長距離戦は全員の決め手がにぶるぶんだけ、この馬がいつもの競馬をできれば勝ち切れる可能性はある。2019年オークスの内容を見ても、スタミナは確実にある。
2016年のダービー馬マカヒキもここへ向かってきた。既に8歳。4歳以降は勝利が無く完全に手詰まりの状態だが、それだけにこういう極端な条件を試すのもよいだろう。見せ場を作ってほしい馬である。
新興勢力でいちばん注目を集めそうなのが、阪神大賞典を勝ったディープボンド。5馬身差の圧勝だった。その圧勝が長距離適性・阪神適性(今年は天皇賞春も阪神開催)ゆえのものなのか、重馬場ゆえのものなのか、その評価が難しい。重賞勝ちがありダービー5着、菊花賞4着の馬なので当然一定以上の能力はあるが、古馬のGI常連に対してどれだけやれるのか、ここで真価が問われることになる。
ディアスティマは条件戦で2連続の圧勝、特に前走の松籟ステークスは今回と同じコースを逃げ切ってきた。天皇賞春の逃げ切りは簡単なことではないが、京都で実施してきたこれまでのレースではビートブラックやイングランディーレのように、人気薄の馬が展開を味方につけた例もある。好位へいきそうなウインマリリンなどもそうだが、位置取りと展開が噛み合ってくると怖い存在だ。
text by 須田鷹雄