展望
勢いをつけてきたソダシ中心 展開次第でユーバーレーベン持ち味発揮も
2021年10月12日 11:48配信
桜花賞馬とオークス馬が揃い、盛り上がりそうな今年の秋華賞。桜花賞馬ソダシはオークスで大敗したものの、札幌記念で古馬勢を下し、再び勢いをつけてきた。おそらく今回1番人気に推されるだろう。
オークスの敗因は距離だけでなく展開的なこともあったのだろうが、2000mのほうがベターであることは間違いない。不安のない距離のほうが積極的な競馬をしやすいし、いわゆる「自分で競馬が作れる」という長所を生かしたい。
ユーバーレーベンは勝ち切れない競馬が続いていたが、オークスで新馬戦以来の勝利。オークスは先行勢全滅、上位は差しタイプのみという結果で、展開とこの馬の持ち味がうまくマッチした印象だ。今回は距離短縮に加え内回りコースということで、元の惜敗キャラに戻ってしまう可能性もある。ただ京都内回りの秋華賞では上位人気の差し馬がそれなりに届いていたので、全く見せ場が無いということもなさそうだ。
オークス2着のアカイトリノムスメもオークスからの直行を選択した。間にレースを挟まずオークス→秋華賞と使った馬は秋華賞創設以来通算37頭いるが、その成績は[5-0-1-31]。同一年度に複数頭が3着以内に入ったことはない。ここ3年はこのローテから勝ち馬が出ているが、アーモンドアイ、クロノジェネシス、デアリングタクトなので個体としての能力の問題だったかもしれない。ユーバーレーベンと2頭でオークスの再現というの以外にハードルの高いものになる。
ローズSはやや低調なメンバー構成にも見えたが、勝ったアンドヴァラナウトはここまでパーフェクト連対で底を見せていない。しかも父がキングカメハメハで祖母にエアグルーヴという大舞台向きな、スケール感のある血統は魅力だ。春クラシックに出ていないぶん、一気に世代の構図をひっくり返してもおかしくない。
ローズS組では3着だったアールドヴィーヴルもまだ見限れない存在だ。オークス出走時(5着)が馬体重422キロという馬だけに、トライアルは余裕をもった仕上げだったはず。本番に向けての上昇余地がどれだけ残っているかは分からないが、その度合いによってはアンドヴァラナウトとの序列が変わってきてもおかしくない。
ファインルージュはオークスで11着と良いところがなかったが、ソダシ以上に距離がこたえたと思う。紫苑Sの4コーナーで上昇していくときの脚は見事で、春よりも積極的な競馬ができたことは本番につながりそうだ。紫苑Sは本番に結び付かない時代が長かったのだが、重賞に昇格してから出走馬のレベルが向上。重賞昇格後の5年のうち4回は連対馬を出しており、16年はワンツーを決めた。
text by 須田 鷹雄