展望
クロノジェネシス、引退レースで“グランプリ4連勝”の偉業達成なるか
2021年12月21日 11:00配信

今年の有馬記念はクロノジェネシスが勝って有終の美を飾るか、エフフォーリアが勝って年度代表馬に名乗りをあげるか、その点が注目となりそうだ。
クロノジェネシスは昨年の覇者。昨年に比べると相手関係はやや厳しいかもしれないが、この馬のG1実績を考えると当然ここでも有力ということになる。以前は牝馬の引退戦というとファンが不安視したものだが、最近はアーモンドアイやグランアレグリアのように、むしろ後のことを考えずに思いっきり調教・競馬ができるメリットのほうが目立つ。昨年は鮮やかな捲りだったが、今年はどんな戦法で来るのかも注目される。
エフフォーリアは古馬と初対戦だった天皇賞秋で優勝。コントレイル、グランアレグリアを倒しての勝利だけに価値のある勝利だ。その天皇賞秋はかなり上がりの速い競馬で今回は趣旨の異なる適性を要求されるが、稍重で全体時計も上がりタイムもかかった皐月賞を勝っている馬だけに問題はないだろう。距離もはじめての領域となるが、ダービー2着はバテたという感じの競馬ではなかった。差しに回ってよし、先行してよしで、枠順に合わせた競馬ができるのが強みだ。
タイトルホルダーは菊花賞で鮮やかな逃げ切り。菊花賞のラップ構成が見事すぎただけに今回同じことをするのは大変だが、展開を握れることは確かなので、悔いのない競馬に繋げることだけはできる。菊花賞は3番枠だったからこそあの競馬ができたという面もあると思うので、今回も内枠が欲しい。中山芝2500mはそもそも内枠有利だが、この馬の場合は特に切実なところだ。
ステラヴェローチェはG1のタイトルこそないが、それに近いレベルにはある。菊花賞の3000mはやや長すぎた面があるかもしれないので、2500mへの短縮はプラス材料だ。追い込みに近い差し脚質なので自分で競馬を作れない弱みはあるが、操縦性に優れているのか気が付くと良いコースを伸びていることが多い。前が止まってくるような展開ならばこの馬にも出番がありそうだ。
ディープボンドは凱旋門賞こそ良いところのない大敗だったが、本質的にはスタミナが豊富で道悪適性が高い。今回の有力馬には決め手で勝負できる馬が多いので、そういう馬たちが苦しむ消耗戦や重・不良馬場になると相対的にこの馬が浮上しそうだ。
アカイイトはエリザベス女王杯の内容をどこまで信じてよいか難しいところだが、昨年のサラキアや2017年のクイーンズリングのように、気が付けば2着というようなことはありえなくもない。アリストテレスはAJC杯勝ちがあり、中山適性が高かったというシナリオに期待したいところだ。
text by 須田 鷹雄