展望
昨年2着のディープボンドが悲願達成か?菊花賞馬タイトルホルダーが立ち向かう
2022年4月26日 11:25配信
ディープボンドは昨年の天皇賞春で2着。勝ったワールドプレミアは菊花賞馬、3着のカレンブーケドールは消耗戦のオークスを2着に粘った馬で、ステイヤー3頭による見ごたえのある一戦だった。そこでの2着は価値が高いし、有馬記念2着、阪神大賞典1着は単純に能力の高さを示している。能力の絶対値も長距離適性も備えた馬で、今回の主役にふさわしい存在だ。
タイトルホルダーは菊花賞馬。60.0秒→65.4秒→59.2秒という見事な緩急をつけた競馬で、横山武史騎手の手腕が光った。父の横山典弘騎手がセイウンスカイで制した菊花賞を思い出したファンも多かったことだろう。前走の日経賞も13秒台のラップを2つ続けて最後の脚に繋げており、今回もどれだけ中盤までの消耗を避けるかがカギ。うまく運べばディープボンドを封じるところまでありうる。
テーオーロイヤルはダイヤモンドSの勝ち馬。3400mの重賞を勝ってきたのだから長距離適性は確かだが、あとは能力の絶対値が足りるかどうか。ダイヤモンドSの勝ち馬が同年の天皇賞春に出走したケースは1984年のグレード制導入以降通算で[0-1-2-24]。やはりハンデG3とG1の間にはクラスの壁がある。
アイアンバローズはステイヤーズS、阪神大賞典と長距離の別定G2で連続して2着。それまでは重賞で掲示板に載れなかった馬だが、成長の跡を見せている。長距離馬は本格化が遅いことも多く、本質的にステイヤーと考えるとこの馬の戦績は説明がつく。好位で競馬ができる、いわゆる「自分で競馬が作れる馬」である点を生かしたい一戦だ。
シルヴァーソニックは母エアトゥーレが短距離~マイルで活躍した馬だが、本馬は明らかに長距離に適性がある。ステイヤーズSと阪神大賞典がともに3着で、当時先着された馬がいるので今回勝ち切るのはなかなか難しいかもしれない。ただキャリアを通じて6着以下が1回しかないという安定味のある馬なので、上位争いに顔を出す可能性もある。
マカオンドールは阪神大賞典4着で、これも大崩れは少ない馬。脚質には自在性がある。速い上がりの競馬にも持続力勝負でも好走できる対応力の幅広さも魅力の馬だ。重賞だと3,4着止まりなのでこのメンバーに入ると少し苦しい面はあるが、雨が降ると格上タイプとの差は少し縮まりそうだ。
ヒートオンビートの母マルセリーナは桜花賞馬だが、半兄ラストドラフトもヒートオンビートも明らかに距離があったほうがよいタイプ。5歳春でもまだ成長途上という感じでG1レベルの戦いはまだ厳しいかもしれないが、それでも母がクラシック馬という血統のポテンシャルがいつかは開花するはずだ。
text by 須田 鷹雄