展望
実績馬vs上がり馬の争い シュネルマイスターとイルーシヴパンサーに注目
2022年5月31日 11:00配信
今年の安田記念は、実績馬vs上がり馬という構図になりそうだ。
実績馬の総大将はシュネルマイスター。昨年の安田記念は3歳馬の立場で挑み3着。その前走のNHKマイルCは強烈な差し脚で優勝しており、東京芝1600mが合うことは間違いない。マイルCSでは2着に敗れたがこれは勝ち馬がグランアレグリアで相手が悪かった。ドバイターフ8着とはじめて大敗した直後のレースという点だけが気になるが、得意コースでの復活を期待したいところだ。
上がり馬タイプの代表はイルーシヴパンサー。連勝でクラスの壁を駆け上がって前走で重賞制覇というのは、2015年のモーリスを彷彿とさせる。とにかく終いの脚が強烈な馬で、東京新聞杯の上がりは33.1秒。これまでの成績が示す通り東京でこそ良さが出る馬。長所を生かすためには良馬場でレースをしたいところだ。
ソングラインは2月にサウジアラビアで行われた1351ターフスプリントに優勝。ただ距離としては1600mがベストだろうし、牡馬相手の重賞でもNHKマイルC僅差2着、富士S優勝など実績がある。ヴィクトリアマイルでは5着に敗れたが、展開が向かず追い込みきれなかったという印象。差しが届く流れならこのメンバーでも好走可能だ。
セリフォスはNHKマイルC4着からの参戦。3歳馬の挑戦はこれが9頭めで、ここまでは[1-0-2-5]。斤量差があっても容易な戦いではない。しかも負けたあとのレースだけに楽観視はできないが、朝日杯FSでドウデュースの僅差2着した馬なので地力はあるはず。ダイワメジャー産駒がこのコースのG1と好相性なのもプラス要素だ。
サリオスは2~3歳時の輝きを考えると、近走の内容には正直不満が残るところ。ただ香港マイルで3着しているように全く力を発揮できなくなったわけではないし、重馬場で15着だった高松宮記念にしても着差は0.6秒差。いきなり復活Vは難しいにしても、秋に向けてきっかけをつかむレースをしたいところだ。
ファインルージュはヴィクトリアマイルの直線で不利を受けいったん後退しながら、盛り返して2着。能力のあるところを示した。G1での勝ち運がないタイプのようにも見えるが、牡馬相手でもやれるだけの能力はある。東京芝1600m適性もここ2走で十分に確認できた。
レシステンシアはヴィクトリアマイルでよく粘り3着。緩急のあるレースが苦手なだけに1200に特化していくのかと思いきや1600mでも好走できたのは収穫だ。脚質とレースは違うが、かつてストレイトガールが1200mの馬と思われつつヴィクトリアマイルで再三好走したケースもあり、この条件でも侮れない存在かと思う。
text by 須田 鷹雄