展望
クラシック最終戦は混戦模様?上がり馬タイプの台頭に注目
2022年10月18日 10:24配信
今年は天皇賞秋に進む3歳馬が多く、春クラシック組が若干手薄な印象もある菊花賞。そのぶん上がり馬タイプの台頭があるかどうかが注目だ。
ダービーから直行という馬はおらず、ダービー組で当時の最先着馬というとアスクビクターモア。ダービーは先行した馬たちが軒並み沈み差し・追い込み馬が上位を占めた一方で、この馬だけが道中2番手から3着に粘った。血統的には距離が伸びてさらによさそうな印象もある。先行タイプなので京都でなく阪神で施行されるのはちょっとマイナスかもしれないが、それでも上位争いは必至だろう。
そのアスクビクターモアをセントライト記念で負かしたのがガイアフォース。1勝クラスからいきなりセントライト記念を勝ったのは隠し持っていた地力のあらわれか。ここまで5戦3勝2着2回と全く崩れていない点も魅力だ。いかにもスタミナタイプという感じではないが、すっと好位を確保する競馬センスを生かせばここでも好勝負は可能。小倉でレコード勝ちしているような馬なので、馬場状態としては良馬場でやりたい。
もうひとつのトライアル、神戸新聞杯はジャスティンパレスが制した。ホープフルS2着のあと皐月賞9着、ダービー9着と春クラシックでは苦戦したが、一気に復活の印象だ。溜めて弾ける感じの馬ではなく、ある程度位置をとって進めたいところ。先にご紹介した2頭も同様なので、枠順は重要なファクターになってくるし、長距離戦といえども今回はそれぞれスタートを決めたいところだ。
神戸新聞杯の負け組では、3着だったボルドグフーシュと5着だったヴェローナシチーが本番に向け上積みがありそう。ボルドグフーシュはこれで5戦連続上がり最速をマーク。といっても「時計の額面が速くはない上がり最速」なので、長距離戦で差し馬向きの流れになったときにはちょうど合いそう。ヴェローナシチーは神戸新聞杯ではじめて馬券の対象から外れたが、それまでは7戦すべてで3着以内だった堅実派。父エピファネイアは自身が菊花賞馬であることに加えて種牡馬としても産駒は長いところに適性がありそう。スタミナ色の強い菊花賞になると有利だ。
ドゥラドーレスは2勝クラスを勝ったばかりだが、こちらはキャリア5戦すべて3着以内、かつ上がり最速だ。最近は2勝クラスから菊花賞で勝ち負けするのは意外に厳しいが、今年は春クラシック上位馬が少ないぶんだけチャンスはありそう。母の父ハービンジャー、母の母の父ダンスインザダークと長距離種牡馬が血統表にいるのは心強い。2勝クラス組では札幌芝2600mを連勝してきたディナースタも一発を狙う。2勝はともに捲りでの勝利。今回もペースの緩んだところで勝負を仕掛けてくる可能性がある。
text by 須田 鷹雄