展望
戦国模様の有馬記念!かなりの馬にチャンスあり!
2022年12月20日 13:08配信
いまの日本でいちばん強い馬は誰か、と問われて即答できる競馬ファンは少ないだろう。有馬記念も戦国の様相、かなりの馬にチャンスがある。
イクイノックスは天皇賞秋を勝っての参戦。その天皇賞秋では32.7秒という速い上がりタイムをマークした。ダービーでは2着に敗れたものの上がりは最速を出している。問題は、その強みが中山芝2500mで生きるかどうかということ。父キタサンブラックは有馬記念馬だが、父とはちょっと違った特徴の持ち主なのでコース替わりはリスクになりうる。中山でも皐月賞2着はあるが、油断はできない一戦だ。
タイトルホルダーは昨年の有馬記念で5着に敗れているが、当時はパンサラッサにハナを譲る形だったし、同馬がいた影響で最初の1000mがかなり速かった。やはりこの馬は自分で展開を握ったほうがいいし。今回は他に逃げ候補がブレークアップくらいしかいない。一方で気になるのが状態。凱旋門賞は馬場が馬場だっただけに、ダメージが残っていないか最終追い切りまで注目したい。
ジェラルディーナはついに良血開花という感じのエリザベス女王杯優勝だった。中山でオールカマー勝ちもあるし、牡馬相手でもパフォーマンスが落ちない馬でもある。母ジェンティルドンナは2014年の有馬記念馬。母は好位からの抜け出しだったがこの馬は差しに回りそう。好走のためには差し馬向きの流れは必要になる。
エフフォーリアは昨年の勝ち馬だが、当時はダービー以外すべて勝って6戦5勝で臨む形だった。ところが今年は大阪杯9着、宝塚記念6着と苦しんでいる。かなり慎重に調整されてきたので状態は心配だが、ノーザンファームの馬だけに休み明けそのものについてはそこまで心配する必要はないだろう。それより不安はやはり近走成績。前走で6着以下だった馬は有馬記念の過去10年で[0-4-3-68]と勝っていない。その傾向を覆せるか。
ヴェラアズールは一気に本格化してジャパンカップまで制してしまった。後ろからレースを進めて速い上がりを使うという点ではイクイノックスと同じグループで、この馬のほうがより長い距離に向くという印象。最後確実に伸びてきそうだが、あとはそれで届く展開になっているかだろう。
ボルドグフーシュは前走の菊花賞を含め6戦連続で上がり最速をマークしているが、そのうち33秒台は1回だけ。いわゆる「ナタの切れ味タイプ」で、瞬発力だけを問われると分が悪い。菊花賞のように、早めに捲るというのも一案だろう。ディープボンドは昨年の2着馬。ちょっとズブくなっている印象はあるが、スタミナの絶対値はこの馬が一番。消耗戦になれば今年も出番がある。
text by 須田 鷹雄