展望
G1馬出走もコンディションに不安で混戦模様か 上がり馬タイプに注目
2023年3月21日 15:08配信
G1馬の出走はあるものの、いずれも絶対的な存在ではない今年の高松宮記念。人気も拮抗しそうだし、幅広い馬にチャンスがありそうだ。
ピクシーナイトは2021年のスプリンターズSを制してこのカテゴリのチャンピオンとなったが、香港での落馬事故に巻き込まれ1年以上の休み明けとなってしまった。長期休養は確かにマイナスだが、短距離戦のほうが仕上がり途上でも通用しやすい傾向はある。地力でなんとかしたい一戦だ。
ナランフレグは昨年の勝ち馬だが、極端な追い込み馬なのでどうしても安定的なパフォーマンスは出せない。今回も展開と進路次第ということになるが、スプリンターズSでも3着しているように、自分に良い形になったときの強さはある。
グレナディアガーズは昨年以降の成績が芳しくはなく、ここでG1馬(朝日杯FS)の輝きを取り戻したいところ。ベストの1400m、他馬に対しハンデを与えない条件の阪急杯で大敗してしまったので今回はなかなか厳しい戦いだが、フランケル産駒の大一番での強さを見せてくれる可能性は残っている。
G1馬がこのようにそれぞれ万全ではないぶん、上がり馬タイプが注目を集めそうなのが今年の高松宮記念。筆頭はナムラクレアだろう。函館スプリントSを勝ったときは3歳牝馬の斤量50キロが勝因と考えられていたが、前走のシルクロードSでは56.5キロ(牡馬の58.5キロに相当)で優勝。斤量を克服するとともに、本番と同じコースの中京芝1200mで勝てたのは大きい。今回は4回目のG1挑戦にして最大のチャンスだ。
アグリは4連勝で阪急杯を制覇。もともと2歳の春から評価は高かった馬で、やっとその素質が開花してきたという印象だ。連勝は1400mと1500mでのものだが、血統的には1200mも対応できるはずだし、1400mで見せているスピードも十分に豊かなものだ。
メイケイエールは香港スプリントで5着。オーストラリアの名手ジェームズ・マクドナルドが騎乗したが、折り合いが楽でない馬の大外枠はさすがに厳しいものがあった。今回はこの馬に乗り慣れた池添謙一騎手に戻る。G1に縁のない馬だが、そろそろなんとかしたいところだ。
トウシンマカオはシルクロードSで4着に敗れたが、その前の京阪杯では上がり33.0秒の末脚を使って優勝。馬場状態と展開次第では再浮上もありうる。ビッグアーサーとの親子制覇を目指す。ウインマーベルはスプリンターズSで2着。シルクロードSは59キロを背負い7着だったが、今回は定量の58キロ。前走の敗因が他馬とのハンデ差なのか、それとも斤量の絶対値に対する対応力なのかが今回のポイントになりそうだ。
text by 須田 鷹雄