展望
連覇狙うタイトルホルダー、不安材料と対抗馬は?
2023年4月25日 09:40配信
最近の競馬は「筋金入りのステイヤー」が少なくなり、能力の絶対値が高い中距離タイプが菊花賞や天皇賞春を制することも多い。ただ今年は能力も適性も高い馬がいるので、人気薄馬にとっては好走が難しい年になるかもしれない。
タイトルホルダーは有馬記念で9着と大敗し、凱旋門賞遠征のダメージが残っているのかと心配された。しかし今年初戦の日経賞を快勝し、復活をアピール。菊花賞と昨年の天皇賞春を勝っている身でもあり、死角は少ない。あとは他馬に邪魔されず自分向きのベースを作れるかどうかだけだ。皐月賞(2着)以外は1着か大敗という馬なので悪いシナリオになったときの大崩れはあるが、逆にうまくいけば勝ち切れる。
アスクビクターモアは昨年の菊花賞馬。日経賞では出遅れてなにもできずに終わったが、あのレースはノーカウントにしてもいいだろう。菊花賞は番手から3分2秒4(3000m)で勝っており、スタミナ能力の高さをうかがわせている。タイトルホルダーの直後につけてうまくつつくような競馬をすると面白いかもしれない。
ジャスティンパレスは阪神大賞典を勝って本番の優勝争いに絡んできた。ホープフルSでは2着しているがその後のG1は菊花賞の3着が最高で、大一番になっての強さが今回は問われる。ボルドグフーシュを除くと前走は相手関係が楽だった感もあるが、しっかり着差をつけて勝ってきた点は評価できる。
ボルドグフーシュは菊花賞→有馬記念→阪神大賞典と2着続き。ただ、どこかで捲るという手段を持っているのはこの馬の強みだ。16ハロンすべてがタイトなラップになることはありえず、どこかは緩む。そのチャンスで一気に前にとりつくことができれば面白い。自由なタイミングで動けるように、枠順は少し外めがよいかもしれない。
シルヴァーソニックは昨年スタート直後の落馬で競走中止となってしまったので、今年は結果を出したいところ。連勝の勢いもある。ただ、ステイヤーズSに出走した馬がG1で馬券に絡んだのは2012年の天皇賞春・ビートブラック(1着)が最後で、その前は2008年有馬記念のアドマイヤモナーク(2着)。長距離適性に特化したタイプは最近のG1ではなかなか結果が出ないので、そこは気になる。
ディープボンドは昨年の2着馬。長距離適性は間違いないのだが、最近はバテていないのに勝負どころで置かれるシーンが目につく。年齢的なものだとしたら今回も厳しいが、なにかのきっかけで変わってほしいものである。ディアステマは今回の展開を決めうる一頭。ハナにこだわる馬ではないので前走に続きハナを譲るかもしれないが、この馬が突っ張ってくるとタイトルホルダーも慌てることになりかねない。
text by 須田 鷹雄