展望
牡馬クラシック最終戦!ソールオリエンスら注目馬を診断
2023年10月17日 11:40配信
今年の菊花賞はダービー上位馬が揃って出走。いまの時代は2000mの天皇賞秋を選ぶケースも多いだけに、貴重な一戦と言えよう。
1番人気はソールオリエンスだろうか。セントライト記念は2着だったが不利もあったし、あくまでプレップレースということで問題のない内容だ。出せる上がりタイムに限界はある馬なので、距離が伸びて全馬の上がりがかかるようになるという意味では3000mという条件も悪くないだろう。
ダービー馬タスティエーラはぶっつけ本番を選択した。いまの時代に前哨戦を使わないことは珍しい話ではないが、菊花賞上位人気馬がぶっつけ本番というのは前例そのものが少ない。血統的にも母方はスピード色が強いだけに3000mは微妙。能力でこなす可能性もあるが、ダービー馬といっても簡単な競馬ではない。
メインの前哨戦である神戸新聞杯はスローペースとなり、そのぶん残り600mからのラップが10秒7、10秒9という極端なことになった。勝ったサトノグランツは似たような展開の京都新聞杯も勝っており、今回も展開次第では強みを発揮する可能性がある。狭いところを突いて来ることができるのも武器のひとつだ。
神戸新聞杯2着のサヴォーナ、3着のファントムシーフは前から競馬を進めてスローペースをうまく利した。ただファントムシーフは上がり33秒台になると分が悪い馬なので、自分を不利にする逃げを打ってしまった面もある。菊花賞ではレースの中盤を緩めてスタミナ温存をはかりつつ、後半は全員でロングスパートする形に持ち込みたい。ハービンジャー産駒なので、距離延長そのものはプラスだろう。
神戸新聞杯は当時の4着以下だった馬にも巻き返しのチャンスがありそう。その筆頭格はダービー3着・神戸新聞杯5着のハーツコンチェルトだ。もともと能力は評価されていた馬だが展開が向かなかったり進路が開かなかったりと、どうにも運の悪い馬。しかしダービーでは能力を出し切り、勝ち馬とタイム差なしの3着に健闘した。ハーツクライ産駒は菊花賞で過去[0-1-0-15]と分が悪いが、展開が向いたとは言えない神戸新聞杯でも0.1秒差まで来ているあたり、やはり能力の絶対値は高い。
重賞出走歴がないまま菊花賞に挑戦するのがドゥレッツァ。新馬戦3着のあと4連勝で前走は準オープンの日本海Sを制した。好位をとったレースでも上がり最速となるほど末脚のしっかりした馬。重賞初出走で菊花賞を勝った馬はグレード制導入以降だとメジロデュレン(1986年)、メジロマックイーン(1990年)の2頭のみ。21世紀初の例となれるかどうか、注目だ。
text by 須田 鷹雄