展望
ブレイディヴェーグ、日本調教馬として初の事例となるか
2023年11月7日 14:28配信
今年のエリザベス女王杯はちょっと珍しい形の1番人気馬が現れそうだ。ローズS2着のブレイディヴェーグである。秋華賞に出走していたらリバティアイランドを負かしていたかもしれないというほどの器で、キャリア4戦だけにまだ伸びしろを残している可能性もある。エリザベス女王杯に3歳馬が出走できるようになって以降、3歳馬の成績は[8-9-5-108]。前走が秋華賞でない馬は[1-1-1-25]だが、勝ったのは外国馬のスノーフェアリーである。もしここで優勝すると、日本調教馬としては初の事例になる。
牝馬三冠に出走していた馬では、ハーパーがここに臨んできた。三冠では4,2,3着。リバティアイランドがいたので惜敗続きとなってしまったが、「G1級」の器であることは間違いない。ハーツクライ産駒は京都の秋GIでは成績がいまひとつなのだが、エリザベス女王杯についてはリスグラシューの優勝例があるので、気にする必要はないかもしれない。
昨年の覇者ジェラルディーナはその後勝ち星に恵まれていない。ただ3着だった有馬記念を含め、牡馬相手のG1を中心にした強気のローテーションを組んできたためでもある。前走のオールカマーでは6着だったがこれはステップレースとして割り切った一戦とも考えられる。G2の負け組がエリザベス女王杯で好走するケースはけっこうあり、ここで復活ということも十分考えられる。
ディヴィーナは前走で府中牝馬Sを勝ってきた。昔はあまり本番に結びつかなかった府中牝馬Sだが、G2に昇格してからは出走馬のレベルが上がり、エリザベス女王杯での好走馬も出るようになってきた。本馬はヴィクトリアマイルで2回負けているが、エリザベス女王杯への出走ははじめて。母ヴィルシーナは2012年の2着馬、父モーリスを含めた血統からも距離延長は不安材料とは限らない。
サリエラはサラキアやサリオスの妹という超良血馬。デビューからとんとん拍子できたが、前走の新潟記念で1番人気7着とはじめて躓いた。ただこのレースは本馬を含め4頭が上がり3ハロン33秒台を出し、34秒1も3頭いるという、レース全体の上がりが速すぎて各馬の差がつかない競馬。どんな形でも速い上がりが使える馬なので、他馬との差が出せるレースになればこの馬がアドバンテージを得られる。
ルージュエヴァイユも上がりの脚で勝負するタイプ。前走府中牝馬Sと3勝クラス勝ち時の2回、32秒台もマークしている。展開待ちだが、一芸を持つタイプゆえの怖さがある。
ライラックは昨年のこのレースで12番人気2着と激走。前走府中牝馬Sで10番人気3着と久々に好走した。新馬は1番人気で勝った馬だが、その後馬券に絡んだレースは5,6,12,10番人気。予想できない激走をいきなりしてくる馬だ。
text by 須田 鷹雄