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【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】リーグ戦100試合出場に隠された「技術」

2017年9月5日 12:00配信

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(C)NECスポーツ

1.トップリーグ第3節、ある記録が生まれた

今週末も、トップリーグ第3節が行われ、各地で熱い戦いが繰り広げられた。

今回は、試合の中で達成された「とんでもない記録」について豆の眼力で解説していきたいと思う。

過去の【豆の眼力】記事はこちら

2.17-18シーズンで4選手が達成「リーグ戦100試合出場」

臼井陽亮 選手(C)NECスポーツ

その記録というのがリーグ戦100試合出場である。

達成した選手がNECグリーンロケッツ所属のHO臼井陽亮 選手(背番号2)をはじめ、豊田自動織機シャトルズ所属のPR川俣直樹選手(背番号1)、

ヤマハ発動機ジュビロ所属のFB五郎丸歩選手(背番号15)の3選手だ。

なおトヨタ自動車ヴェルブリッツ所属のHO上野隆太選手(背番号15)は開幕戦で同記録を達成しているため、

17-18シーズン3節目にして4人もの選手が大台に達した。

これは今年で14年目になるトップリーグにおいて、彼らを含めまだ69人しか達成していない記録なのだ。

3. 「リーグ戦100試合出場」…記録の凄さ

毎年コンスタントに出場していれば自動的に達成できるように見えるこの記録。

実は「とんでもない」記録であることを解説したい。

トップリーグは、2003年創設時は12チームで行われていたが現在チーム数は16となり、

リーグ期間中は約10数試合(W杯期間中やその他対戦方式変更時も含む)を行うことになる。

開幕戦に達成した上野選手を含めた4選手の年齢はいずれも32歳。

トップリーグ初出場から数えて10年目にあたる年齢でこの記録を達成したのだ。

10年間で100試合出場を達成するためには、毎年リーグ戦10数試合を常に戦い続けなければならないということになる。

この国内最高峰リーグにおいて、毎試合の体へのダメージは相当のものである。

さらに年齢を重ねるとダメージからの回復が遅くなるという問題もでてくる。

しかし、そんな中で彼らが試合に出場し、質の高いプレーを続けることができている要因の一つに、

「ケガをしない」という重要な要素があるのだ。ここで言うケガとは試合の出場が困難になるような大きなケガ。

そのようなケガをしないというのは「技術」であるといっても過言ではない。

(C)NECスポーツ

4.「不屈の精神力」がカギに

やはり、ケガをしないということは並外れたボディーバランスと、強靭な肉体は前提だろう。

しかし、カギになってくるのは、「不屈の精神力」ではないだろうか。

大学時代共に切磋琢磨した五郎丸選手は顎を骨折し、完治していないにも関わらず試合に出場していた。

本来は試合に出場できないようなケガでも、「不屈の精神力」でカバーしたのだ。

ケガをしたままプレーを続けることには賛否両論があり、私もケガを精神力でカバーすべきだとは決して思っていない。

ただ試合に出ると決めた以上はケガをも問題にしない、「不屈の精神力」は一流の技術と呼ぶべきものである。

さらにその「不屈の精神力」を支えているのは周りの高度な医療体制であることにも触れておきたい。

5.ケガをしないことで生まれる「プラスのサイクル」

また、ケガをしないことはプラスのサイクルを生み出す素となる。

ケガをしないことで、より多く練習ができ、その練習の数だけより多くの学びがあり、学びの数だけ成長できるのだ。

ケガをしないことで生まれる、この地道な積み重ねが記録へと繋がり、ひいては仲間の信頼やチームの力となっていく。

今シーズンに記録を達成した4選手はその積み重ねを実践し、記録として証明してくれた。

6.次節も「豆の眼力」で観戦を

彼らに続き、次はどの選手が100試合の大台に到達するのか。

記録だけでなく、その裏に隠された見えない技術についても豆の眼力で、注目するのもまた違った楽しみがあるかもしれない。

ちなみに、早稲田大学で私の同僚であったNECグリーンロケッツの臼井選手は、

試合前に「ぁあー!!」と奇声を発するルーティンがある。

是非、「温かい眼力」を持って見守ってあげてほしい。

文:首藤甲子郎

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