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インタビュー

T.T彩たま・神巧也(前編):「会社員」からプロ転向 日本代表への夢

2020年12月22日 13:00配信
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近年、日本が飛躍的に力をつけ、世界一の座にも手が届きつつある卓球。

試合では、スピード、回転、コースの変化を組み合わせ、戦術を練り、その勝敗には、メンタル面も大きく影響する。選手たちは、わずか直径40mm、重さ2.7gのボールに人生をかけ、それぞれの物語を紡いでいる。

この連載コラムでは、さまざまな選手たちにインタビューし、そのプレーや人間性の魅力に迫る。

初回は、実業団でプレーする「会社員」からプロ選手に転向し、世界ランキングを急上昇させたTリーグ・T.T彩たまの主将、神巧也選手。

(聞き手・文=山﨑雄樹)



<前編>

―Tリーグ、3rdシーズンが開幕しましたが、チームと自身の状態はいかがですか。

神選手(以下、「」のみ)「4試合が終わってチームとしては2勝2敗で、もう少し勝てる試合もありました。自身としては、なかなか苦しい出足のシーズンです。コロナの影響で8か月試合がなくて、皆一緒ですが試合勘がすごくなくなっています。復帰した後も、元々持っている腰のヘルニアは再発してしまって、9月はほぼ1か月間、練習できませんでした。治ったと思ったらまた駄目になって、思うように練習できませんでした。でも、今は、すごくよくなってきています」


―昨シーズンはリーグ最多勝、後期MVPも獲得し、Tリーグでも飛躍のシーズンでしたし、2019年3月に314位だった世界ランキングも44位まで上がりましたね。

「そこまで自分自身は強くなったという感覚はなかったです。それよりも、コートに立って、勝つことに夢中でした。勝つことに夢中になっているからこそ、練習の量も内容も試合から逆算しての行動を、ただただやっていました。練習というより『作業』と言った方がいいかもしれません。その作業がすごく楽しかったです。

世界選手権代表最終選考会の決勝で3対0から(森薗政崇選手に)逆転負けしたり、Tリーグの最終戦で(琉球アスティーダに)敗れてプレーオフを逃したり、結果として、駄目なときもありましたが、どんどん次の大会がやってきました。国際大会、Tリーグ、スウェーデンリーグ、アジア選手権などがあって、サイクルが速かったです。

去年は試合ばかりをしていたという感じで、試合勘もものすごくありました。勝つことも負けることもありましたし、調子の波もありましたが、ずっと第一線に立ち続けていたので。戦況や、その場での判断、決断、実行力など、勝負勘が自分のなかで、すごく精査されていきました」


―シチズン時計の正社員だった実業団選手からプロへの転向を決断した理由は何ですか。

「勝負したいという思いがありました。日本代表になることが一番の大きな夢です。

もちろん、実業団にいたら日本代表になれないというわけではありませんが、一歩踏み出して、何かを変えないといけないという気持ちもありました。世界選手権やオリンピックの日本代表に入ることが、自分の人生を変えることでもあると思いますし、そこに立った人でないと見えない景色があると思います」


―迷いはありませんでしたか。

「もちろん、迷いはありました。ラケット1本で生きていくということはリスクもあります。この間、腰を怪我したときは、歩くのも辛かったので、正直に言うと『引退かな』という思いが、頭をよぎったこともありました。入社したときは、引退しても会社で働くということを考えていたので、真逆の方向ですね。ただ、世界ランキングを上げるためには、ワールドツアー(ランキングポイントが付与される国際大会)に出場することに重きを置かなければなりませんでした。『コンフォートゾーン』という言葉がありますが、自分が心地良い場所から一歩はみ出してしまうと、心地良くないゾーンになってしまいますが、目標を達成するために、そっちの方に行くべきだと思いました」


―生活は変わりましたか。

「とんでもなく練習量が増えたわけではありません。でも、コロナの前の話になりますが、試合ばかりで1年の半分ぐらいは海外にいました。家にいない、暇な時間がまったくない状態でした。国際大会に14大会出て、Tリーグは20試合に出て、全日本選手権、世界選手権1次選考会、2次選考会、スウェーデンリーグも5、6試合に出ました。本当に時間がなかったです。暇な時間は限りなくゼロでした。『あー、暇』という時間は一瞬たりともありませんでした」



―大切にしていることはどんなことですか。

「卓球から逆算しての生活です。あすは練習や試合があるから、きょうはこういう行動をしようという生活リズムです。起床も食事も、リフレッシュももちろん大事です」


―プロ卓球選手の収入の仕組みを教えていただくことはできますか。

「メインはTリーグで、T.T彩たまからの報酬が、年収の6割から7割を占めています。

卓球メーカーのYASAKAさんとも契約させていただいています。スポンサーさんにもお世話になっています。あとは、スウェーデンリーグにも行っていたので、そこからのサラリーと、ワールドツアーの賞金などです」


【プロフィール】

神 巧也(じん たくや)

1993年3月2日生まれ。青森県黒石市出身。8歳(小2)のときに父・智昭さんと兄・一也さんの影響で卓球を始め、名門・青森山田中学・高校から明治大学に進む。大学4年生の2014年度全日本選手権で準優勝。大学卒業後の2015年4月から約4年間、実業団のシチズン時計でプレーし中心選手として活躍、2018年度後期日本リーグではチームを23年ぶりの優勝に導いた。2019年1月に退社、TリーグのT.T彩たまに加入。主将を任された2019-2020シーズンには、リーグ最多の13勝を挙げ、後期MVPを獲得。2019年に東京で行われたチームワールドカップ(団体戦)では日本代表に選ばれる。世界ランキングは45位(2020年12月現在)。戦型は右シェークハンド両面裏ソフトのドライブ攻撃型。得意なプレーはサーブからのフォアハンド攻撃。


【著者プロフィール】

山﨑 雄樹(やまさき ゆうき)

1975年生まれ、三重県鈴鹿市出身。小学生、中学生と懸命に卓球に打ち込んだが、最高成績は県4位、あと一歩で個人戦の全国大会出場はならず。立命館大学産業社会学部を卒業後、20年間の局アナ生活を経て、現在は、フリーアナウンサー(圭三プロダクション所属)として、Tリーグ(dTVチャンネル・ひかりTV・AmazonPrimeVideoなど)や日本リーグ(LaboLive)など卓球の実況を担当。

また、愛好家として、40歳のときにプレーを再開し、全日本選手権(マスターズの部・ラージボールの部)に出場した。

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