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インタビュー

木下アビエル神奈川・張本美和(前編):Tリーグ初優勝と今シーズンの意気込み~15歳のトッププレーヤーとして~

2023年9月13日 09:59配信
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近年、日本が飛躍的に力をつけ、世界一の座にも手が届きつつある卓球。

試合では、スピード、回転、コースの変化を組み合わせ、戦術を練り、その勝敗には、メンタル面も大きく影響する。選手たちは、わずか直径40mm、重さ2.7gのボールに人生をかけ、それぞれの物語を紡いでいる。

この連載コラムでは、さまざまな選手たちにインタビューし、そのプレーや人間性の魅力に迫る。

今回は、木下アカデミー所属で、Tリーグでは1stシーズンから木下アビエル神奈川でプレーしている15歳・張本美和選手。(インタビューは2023年8月16日にオンラインで実施)

(聞き手・文=山﨑雄樹)

前編・Tリーグ初優勝と今シーズンの意気込み~15歳のトッププレーヤーとして~


-まずは、今シーズンもTリーグが開幕しました。今シーズンの意気込みはいかがですか。

張本美和選手(以下、「」のみ)

「昨シーズンは念願の初優勝をすることができて、今シーズンも目標は変わらず、連覇をめざすことです。石川(佳純)さんが引退され、自分もチームのなかで1点(マッチでの勝利)を取らなきゃという気持ちが昨シーズンより大きくなりました。起用していただいたからには、頑張ろう、絶対に取ってやろうという気持ちが、さらに増えて、昨シーズンと同じようにすごく楽しいです」


-昨シーズンの優勝をあらためて振り返っていかがですか。

「プレーオフ・ファイナルでもありがたいことにダブルスとシングルスの2点、起用していただいて、シングルスはあとちょっとのところで負けてしまって(第3マッチで伊藤美誠選手に2-3で敗れる)、本当に悔しかったです。でも、(長﨑美柚選手との)ダブルスは、お互いに何度もマッチポイントを取ったり、取られたりという展開でしたが、勝つことができて、本当に嬉しかったです。忘れられない試合です。その結果、ビクトリーマッチの木原(美悠)選手につなげることができました。優勝した瞬間は、ベンチでハイタッチして『わーい』という感じでした。終わった後は、『優勝の御褒美で何かもらえないかなー』ということを話していました」


-1stシーズン(2019年2月20日・対日本生命レッドエルフ)、10歳のときに、地元仙台で森薗美月選手とのダブルスでTリーグデビューを果たしました。(1-2でそのシーズン、ベストペア賞に選ばれたチャンチェンチェン・ジャンホイペアに敗れる)

「あのときは、ただただ緊張が強かったことだけは覚えています。特に相手は日本生命さんでしたので、自分の最高のパフォーマンスをしても勝てるかどうかわかりませんでした。緊張と不安と、という印象が残っています。まさか1ゲーム目を取れるとは思っていませんでした。2ゲーム目に入るとフォア側に詰められました。1ゲーム目は私の年齢が低いこともあって、相手もやり辛さがあったのかもしれませんが、さすがに2ゲーム目からは実力の違いを感じました」


-Tリーグでの経験はどういきていますか。

「もちろん、どんな試合も自分の経験につながります。なかでも10-10になったときの1本勝負や最終ゲームが6-6からスタートすること、ダブルスが3ゲームマッチであることなど普段の試合と違って気持ちの部分も違います。『ここで1本取り切るぞ』、『簡単にミスができない』ということをより意識させられるので、すごくいい経験をしています」


-『ここで1本取り切るぞ』という場面で意識していることは、どんなことですか。

「選手によって違いますが、私はブロックももちろんできるのですが、どちらかというと攻めるタイプで、大事な場面では攻められたくないので、短いサービスからの展開の方が好きですし、安心します。逆にレシーブのときは、例えば、(8月12日・対トップおとめピンポンズ名古屋での)ユエンシュエジアオ選手との試合を振り返ると、今、私と対戦するほとんどの選手は、私にチキータをさせないようなサービスを使う戦術が多いです。それだったら、私はチキータをしなくていいと思っています。焦ってチキータをして質が低くなったり、ミスをしてしまったりするよりは、ブロックもできるので、ツッツキでのレシーブを選びます。その分、次のボールをしっかり準備すればいいと考えています。ですので、今は相手に打たせてもいいと思っています。レシーブ時は、まず1本返さないと、という意識の方が強いです」


-お話をきいていて、トップ選手として戦術・戦略についてしっかりとした考えを持ち、それをきちんと伝えられることと、15歳という年齢とのギャップにあらためて、驚かされます。15歳という年齢であれば、強引にでもチキータをしたくなると思うのですが、冷静に客観的に考えられるようになったのはいつ頃からですか。

「今年に入ってからだと思います。去年から(WTTなどの)国際大会に多く出場するようになりましたが、私自身も強くなかったですし、対戦相手も、私がどういう選手がわからないので、ただただ自分の好きなようにプレーすればいいという感じでした。今は、(プレーの)動画も見られますし、チキータの対策もされます。そういったときに頑固にチキータをやり続けることは難しいです。それまで、シニアの大会ですごくいい成績というものを出すことはできていなかったのですが、考えを変えてから成績が出始めました(4月のWTTフィーダーアンタルヤ、6月のWTTコンテンダーチュニスで優勝)」


-さて、今シーズンも木下アビエル神奈川には強力なメンバーが揃っています。なかでも、平野美宇選手・長﨑美柚選手・木原美悠選手はどんな存在ですか。

「すごく大きい存在でもあり、近い存在でもあります。ついこの間まで、『いつか同じレベルで一緒に戦いたいな』と目標とする選手たちでしたが、格上の選手に勝てるようになって、考え方が変わりました。今は、個人戦では、目標というより『倒すぞ』という気持ちの方が大きいです。でも、Tリーグという団体戦ではチームワークが大事になりますので、時には先輩方を頼っています。経験も私より多いので、たくさんのことを学んでいます」


-また、私も実況させていただいて感じることですが、木下アビエル神奈川のファンやサポーターの方はスローガン(応援ボード)を掲げるなど、熱い応援やかわいい応援が目立ちます。張本選手自身もSNSなどを通して紹介されていますね。

「一番、力になっています。ファンの方がいないと、試合もできないですし、皆さんが観てくださるからこそ、『やるぞ!』という気持ちがより生まれます。応援されると背中から押されている気持ちになり、後押しにはすごく感謝しています」


-サポーターの方から贈られたシュシュ(髪留め)を付けて国際大会にも出られていましたね。

「ベージュの!かわいかったですし、ありがたかったので、使わせていただきました!」


-あらためて、今シーズンの目標をきかせてください。

「チームとしては連覇が目標です。個人では、正直に言うと…、起用されたときは絶対に勝つこと、無敗が目標でしたが、1回負けてしまって(8月11日・日本生命レッドエルフの森さくら選手に2-3)、叶わなくなってしまいました。どんなコンディションでも、相手に苦しいボールを打たれても、耐えるという力が私には足りないと思っています。その部分で成長して、勝利につなげたいです」


(後編はプレースタイルや兄・智和選手についてうかがっています)


【プロフィール】

張本 美和(はりもと みわ)

2008年6月16日生まれ。宮城県仙台市出身。父・宇さんや母・凌さん、兄・智和選手の影響で2歳のときに卓球を始める。全日本選手権ではホープス・カブ・バンビの部、カデットの部、ジュニアの部で優勝し、全国中学校体育大会でも優勝に輝いている。世界ユース選手権では、15歳以下では団体・シングルス・ダブルス(エジプトのハナ・ゴーダ選手とのペア)・混合ダブルス(松島輝空選手とのペア)の4冠に輝き、木原美悠選手と組んだ19歳以下のダブルスで優勝。シニアの大会でもWTTフィーダーアンタルヤ(2023年4月)、WTTコンテンダーチュニス(2023年6月)で優勝。Tリーグでは、1stシーズンから木下アビエル神奈川でプレー。戦型は右シェークハンド両面裏ソフトのドライブ攻撃型。チキータとバックハンドが持ち味。


【著者プロフィール】

山﨑 雄樹(やまさき ゆうき)

1975年生まれ、三重県鈴鹿市出身。立命館大学産業社会学部を卒業後、20年間の局アナ生活を経て、現在は、フリーアナウンサー(圭三プロダクション所属)として、Tリーグ(Lemino・AmazonPrimeVideoなど)や日本リーグ(LaboLive)、全日本選手権(日本卓球協会・卓球TV)など卓球の実況をつとめ、「日本一卓球を愛するアナウンサー」と呼ばれる。また、小学生、中学生と懸命に卓球に打ち込んだが、最高成績は県4位、あと一歩で個人戦の全国大会出場はならず。その後、愛好家として、40歳のときにプレーを再開し、全日本選手権(マスターズの部・ラージボールの部)に出場した。

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