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【連載】第1回やさしく学ぶヨーガスートラ:「今」に意識を置くということ
日本でもヨガを実践することが一般的になってきた今、ヨガのエクササイズ的な要素以外に、心や思考に作用する“ヨガの教え”にも興味を持つ方が増えています。
この連載では、ヨガの教え=ヨガ哲学を体系的に学べる『ヨーガスートラ』を、ヨガインストラクター養成校の講師・インストラクターたちが、リレー形式で解説していきます。
ヨガとは、心に対する理解を深めていくもの
一般的には「ヨガ」という言葉から、リラックス、美と健康、ポーズ・・・といったようなイメージを持たれる方が多いかと思います。もちろんヨガにはそういった効果が期待できますが、それはほんの一部です。
そもそも本来のヨガとは、「心」に対する理解を深めることで、感情に振り回されずに、今の自分ができることに向かって、心を込めて行動していくことを目的として編み出されたもの。
そのように行動していくための指標として編纂されたのが、『ヨーガスートラ』なのです。
この本の文章は短く、必要最低限の意味しか記されていません。それだけで伝えきれない部分は、伝える側が自分の「経験」というビーズを繋げて、幅を持たせることでよりわかりやすく説明していきます。
このように、スートラは実践なくして伝えられず、伝えられた側もその知識を正しく理解し、実践していきながら納得していくものなのです。
今回は冒頭で語られる2つの文章をご紹介します。
第1章1節:アタ ヨーガーヌシャーサナン
(さあヨガを始めましょう)
第1章2節:ヨーガスチッタヴリッティニローダハ
(ヨガとは心の反応を収めることです)出典元:ヨーガスートラ
これが体得できれば、ヨガの最終目標に到達したといわれます。そう簡単にいかないからこそ、繰り返しの練習が必要なわけですが…。
変えられない過去や未来に無意識に心を反応させない
私がインドを旅していた時のことです。ブッダガヤという街で10歳くらいの女の子に「何かちょうだい」とせがまれ、私はそのときつけていたバングルを渡しました。
しばらく嬉しそうにしているのですが、すぐに「これは嫌い。他のものをちょうだい」と言い出します。
「もっともっと」とモノを求めてなお満たされないその子といると、悲しみや苦しみが沸いてきました。そのうち彼女はいなくなりましたが、私の心はこの体験に反応し続け、しばらく辛い気分でした。
こんな風に過去を思い出しては何度も辛い思いをしたり悩んだりする経験が、皆さんもあるのではないでしょうか。
ヨガが今の感覚に集中することを教えるのは、変えられない過去やまだ見ぬ未来へ無意識に心を反応させて、今を見失わないようにするためでもあるのです。
池に小石を投げると水面に波紋が広がるのと同じで、出来事に対して心の波が起こるのは自然なことです。
ですから、それを抑える必要はありません。その反応をさらに大きい波にしないようにすることが大切なのです。
心の反応を収めるためには、注意深く自分の心を観察する必要があり、反応の瞬間をとらえるために「今」に意識を置いておく練習が大切です。
つまり、常に「今」にきちんと意識が置けていれば、その人はヨガをしているということです。
さあ、しっかり足の裏に意識を置いて立ってみましょう。あなたが今日、自分のなすべきことを、心を込めて行うことができますように。
出典:LAVA Life Vol.31
監修:Mayumi
ヨガスクールFIRSTSHIP講師
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