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【インタビュー】「若者はここにいた!」『VALORANT』初のブリティッシュバーHUBでのパブリックビューイングは大成功!【HUB 舟橋英誉さんインタビュー】
ブリティッシュバー「HUB」にて開催されたタクティカルシューティングゲーム『VALORANT』の公式大会「VALORANT Challengers Japan(VCT)」のパブリックビューイングが行われました。
コラボドリンクやステッカープレゼントなど関連サービスも充実
東京と大阪、福岡の3都府県で行われ、東京は1月28・29日、2月1~5、8~10日の10日間をHUB高田馬場店で、2月19日(日)〜20日(月)の2日間をHUB西武新宿駅前店で開催。大阪はHUB京阪京橋店、福岡はHUB福岡大名店で行われ、上記の開催日の全日で行われました。
このパブリックビューイングはCyberZが展開するパブリックビューイングサービス「GG BASE」を使用し行われています。上記の店舗ではコラボドリンク「ファーストブラッド」を販売し、購入した方にステッカーのプレゼントも行われました。ちなみに各店舗300枚を用意していましたが、HUB高田馬場店では3日間ですべてはけてしまったとのことです。
折角なので、パブリックビューイングの様子を取材しようと思ったところ、最初の取材予定日である2月10日は、全国で大雪の天候となり、やむなく延期に。2月20日のPlay OffのパブリックビューイングにHUB西武新宿駅前店へ向かうことになりました。
取材予定時間は18時からとなっており、時間通りに店舗に向かうと、入り口でスタッフに現在満席で入れないとのこと。取材の趣旨を伝えると入れて貰えました。まさか、18時から満席になっているとはつゆとも思わず、パブリックビューイングの盛況さがうかがえます。
ちなみにこの日は、Crazy Raccoon対SCARZ戦とSengoku Gaming対FENNELの2試合があり、入店時には1試合目のCrazy Raccoon対SCARZ戦が終わっており、2戦目のSengoku Gaming対FENNELの試合が始まっていました。会場は結構な賑わいですが、スポーツのパブリックビューイングと違ってかなりじっくりと観ている感じ。店内が沸くのも勝敗が決した時よりも、スーパープレイが出た場面でした。
店舗ではパブリックビューイングを体験するだけでなく、お客さんの声やVCTのパブリックビューイングを企画したHUBの企画開発部の人にも話を聞くことができました。
バーに取り込みたい若者の居場所はeスポーツだった!
今回のパブリックビューイングについて、HUB 販売企画開発部 事業提携課課長 舟橋英誉さんに話を聞いてきました。
——今回、HUBで『VALORANT』の公式大会のパブリックビューイングを企画した経緯を教えてください。
HUB 販売企画開発部 事業提携課課長 舟橋英誉氏(以下:舟橋):『VALORANT』のパブリックビューイングの企画は店舗の従業員からの提案でした。我々は良く店舗に行くので現場のスタッフと話をすることがあるのですが、アルバイトのスタッフからぜひやりたいと言う声をいただきました。
その時はeスポーツのことも『VALORANT』のこともそこまで詳しくわかっていなかったのですけど、調べてみたらさいたまスーパーアリーナで1万人以上の観客を集めるイベントを開催しているほどの人気があり、驚きました。社内でも話題にしてみたら、隠れファンと言うか、『VALORANT』やeスポーツが好きな社員が何人も出てきたのです。
それであれば、やってみようかと思い、イベントを運営しているRAGEに話をもっていったのです。その時はタイミング的にうまくまとまらなかったんですけど、その後、RAGEを運営するCyberZさんがパブリックビューイングサービス「GGベース」のリリースがあり、RAGEさんから話を振っていただきました。
——もともとサッカーなどでパブリックビューイングの経験の土壌はあったわけですよね。
舟橋:そうですね。fansta(ファンスタ)というパブリックビューイングのスポーツバーを探すアプリに参加しており、JリーグやA代表の試合などのパブリックビューイングを行っていました。Jリーグは2004年から行っているので約20年のパブリックビューイングのノウハウはありました。サッカーとeスポーツの違いはあれど、そこまで差異はないと思っていました。先日のワールドカップではテーブルをすべて取っ払い、オールスタンディングで300人のお客さんに来ていただきました。
——『VALORANT』のパブリックビューイングはJリーグと比べてどうでしょうか。
舟橋:『VALORANT』のパブリックビューイングは本当にたくさんのお客さんに来ていただけています。Jリーグはパブリックビューイングの文化が定着するまでそれこそ数年、十数年かかっていますけど、eスポーツはいきなり始めてこれだけの来客があるのは本当に驚きです。
あと、年齢が若いですね。Barとしては若年層の取り込みが急務だったんですけど、いろいろやっても中々若者にリーチすることができませんでした。それが『VALORANT』のパブリックビューイングをやったら、これだけの若者に集まっていただけて「ここにいたのか!」って思いました(笑)。
あと、eスポーツ観戦の方々はJリーグ観戦の方々に比べて良くフードを食べてくれますね。
——現在は東京で2店舗、大阪、福岡の4店舗での開催ですが、今後は増やしていく予定なのでしょうか。
舟橋:もちろん考えています。東京での店舗数を増やしていきたいです。今回のパブリックビューイングの話が出たあと、名古屋の方からなんで名古屋を飛ばすんだってクレームがきました。
今度は東名阪の10店舗以上でやってみたいですね。今年は「Masters」が日本で開催されるので、会場に入りきれないお客さんが集まる場としても提供していきたいと考えています。昨年の北欧だと深夜から早朝にかけての配信でしたし、今行われている南米だと丁度朝から昼間の時間帯になってしまいます。
そうなるとコーヒーを出した方がいいのかお酒を出した方がいいのか迷いますね。実際はお酒の方が出ましたけど。それで今回は東京なのでBarに適した時間での配信も行われると思いますので、そこも対応していきたいと思っています。
——パブリックビューイングを行うことの弊害などはありますか。
舟橋:そこはあまりなかったですね。パブリックビューイング目的じゃない人が来店すると付いていけないこともありますが、新宿であれば近くに数店舗あるので、そちらに移動してもらうことで対応させてもらっています。
Jリーグの時もそうなのですけど、敵チーム同士が店内にひしめきあっていても険悪な感じにはなりませんし、むしろ試合後はお互いを称え合って飲んでいますね。問題があるとしたらeスポーツは試合の長さですね。HUBは明確な営業時間を持っているわけではないので、営業時間の融通は利くのでいいのですが。
——客の入りとしてはどうでしょうか。
舟橋:それはすごく良くなりました。今日もウィークデイ(月曜日)ですが、これだけのお客さんに入っていただいています。
——今回は『VALORANT』でしたが、他のタイトルも考えているのでしょうか。また、何か特別な企画なども考えているのでしょうか。
舟橋:他のタイトルもやってみたいですね。もともとスタッフからの提案と言うこともあり、スタッフのやる気の度合いが違うんですよね。会社からの企画をこなす場合は、スタッフにとって魅力的でないものもあり、どうしてもやる気にむらが出てしまいます。
eスポーツのパブリックビューイングはスタッフが前向きで活気に溢れています。やりたいこととしては、eスポーツの関係者を呼びたいですね。JリーグではOB選手を呼んでファンミーティングのようにパブリックビューイングを行うこともありますので、eスポーツでもOB選手や関係者などを呼んで盛り上げていければと思います。
——最後にまだパブリックビューイングに来ていない『VALORANT』ファンにメッセージをお願いします。
舟橋:ひとりで観るよりも多くの人と観た方が楽しいと思います。すでにパブリックビューイングで知り合った人同士が仲良くなっているようですし、コミュニティが作れればいいなと思っています。HUBは地下にあることが多く、飲み屋としては恐めで入りにくい部分もあるかもしれません。決してそんなことはないので気軽に入っていただきたいですね。
——ありがとうございました。
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eスポーツは若年層にファンやプレイヤーが多く、それに関わることで若年層にリーチできると散々言われてきました。しかし、これまではコロナ禍もあり、SNSや動画配信などネット上での関わりが中心で、そうは言ってもイマイチ実感ができなかった人が多いのではないでしょうか。
今回のパブリックビューイングをやったことで舟橋さんが感じた「若者はここにいたのか!」というのはまさに、百聞は一見にしかずを体感した言葉だと感じます。
現在日本では『リーグ・オブ・レジェンド』をはじめ、『PUBG Mobile』や『シャドウバース』、そして『レインボーシックス シージ』に『ストリートファイター6』などのプロリーグが行われています。それらが、どこかのBarに行けばパブリックビューイングで観られるという状態になれば、どこにいたかわからない若者たちが定期的に集まってくるのではないでしょうか。一日も早くそうなって欲しいところです。
【岡安学 プロフィール】
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)
Twitter:@digiyas
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)
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