コラム
【世界ジュニア選手権】女子レビュー/島田麻央が日本女子最年少優勝の快挙 憧れの浅田真央さん超え14歳4ヵ月
日本から出場した2人の選手が、期待に応える活躍を見せた。
3月3日、世界ジュニア選手権(カナダ・カルガリー)の女子フリーが行われ、島田麻央が優勝、中井亜美が3位に入った。島田はショートプログラムで完璧な演技を披露し71・78点の自己ベストで首位に立つ。
迎えたフリーでも好調は変わらない。冒頭のトリプルアクセルを成功させると、続く4回転トウループこそわずかに回転不足となったが、コンビネーションジャンプを含め残りの5つのジャンプはすべて成功。フリーの得点は152・76点、合計では224・54点、この2つも自己ベスト。つまりずべてで自己ベストを更新、2位のシン・ジア(韓国)に23点以上の差をつけての優勝だった。
それだけにはとどまらない。フリーと合計得点は、シニアも含めて今シーズンの世界最高得点でもあった。
また、島田は14歳4カ月4日で優勝を飾った。これまでは2005年の世界ジュニア選手権で優勝した浅田真央の14歳5カ月6日が日本女子最年少記録であったが、それをも塗り替えて優勝であった。
浅田は島田の名前の由来ともなった憧れの選手だ。だから、演技直後の取材の場でも、記者会見でも、うれしさはひとしおだった。
「浅田真央さんは憧れの選手です。同じ位置に立つことができてうれしいです。この金メダルは、いちばんいろいろなことがつまったメダルになったと思います。すごい選手たちがとってきたメダルをもらえて、びっくりと、うれしい(の両方)です」
島田は早くから高難度ジャンプに挑み、トリプルアクセルや4回転ジャンプをプログラムに組み入れてきた。トリプルアクセルは国内外の大会で成功させ、4回転トウループは国際スケート連盟公認の大会ではまだ成功させていないが、国内の大会では成功させてきた。
ジュニアに上がった今シーズンは、ジュニアのカテゴリーの大会は出場したすべてで優勝。シニアの選手たちとともに参加した昨年12月の全日本選手権でも3位と表彰台に登った。
島田はジャンプに秀でていることのみならず、他の技術的要素でも優れた力を備えていることがこれまでも評価されてきたが、シニアの大会であらためてそれを示してみせた。
世界ジュニア選手権開幕を前に、優勝候補筆頭と目されてきた。その重圧に負けることなく、ショートプログラム、フリーともにその力を存分に発揮することができたのは大きな糧になる。
3位になった中井亜美も、見事な演技を見せた。トリプルアクセルを武器に台頭し、全日本選手権のフリーでは2本のトリプルアクセルを成功させ、島田に次ぐ4位となって脚光を浴びた。
今大会も期待を背負って臨んだ中、ショートプログラムでは島田同様にまったくミスのない演技を披露して3位と好スターを切る。
迎えたフリーでは、冒頭のトリプルアクセルこそ転倒したものの、そこで崩れることはなかった。その後のジャンプはすべて成功させ、103・12点でフリーでも3位となる。合計197・40点、3位で大会を終えた。
「残りの1回転で、いつもより軸が曲がってしまって」
トリプルアクセルの転倒の理由についてこのように触れた中井は、その失敗を「悔しい」と言いつつ、こう語った。
「そのあとのジャンプをすべて降りることができたのは、少し成長したかなと思います」
「もっと練習して、この舞台に戻ってきたいです」
演技直後は悔しさもにじませた中井だったが、笑顔も見せた。
島田と中井は現在、ともに中学2年生の14歳。誕生日の違いから、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックには、島田は出場する資格がなく、中井は出場することが可能だ。
その点で今後に違いはあるが、いずれにせよ2人とも14歳、今シーズンの活躍からしても、日本女子のこれからを担っていく、世界女子をリードしていく可能性を秘めた2人である。
世界ジュニア選手権の活躍は、そのポテンシャルを秘めていることをあらためて世界に伝える舞台でもあった。
text by 松原孝臣
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