JRA-VANコラム
弥生賞ディープインパクト記念の注目馬は!?
今週日曜日に弥生賞ディープインパクト記念が行われる。従来の正式レース名称は「報知杯弥生賞」だったが、今年から「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」になった。2019年に死去したディープインパクトの功績を称えて改称された。
ディープインパクト自身も2005年、弥生賞に出走して見事に優勝。ここで重賞初制覇を飾り、その後偉大な成績を残した。また、同レースにおける産駒の成績も非常に良い。過去10年で5頭の優勝馬を出している。今年の弥生賞ディープインパクト記念にも産駒のサトノフラッグが出走を予定している。そこで今回は同馬に注目し、レースの勝算について考えてみることにした。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
最初に弥生賞ディープインパクト記念の種牡馬成績(過去10年)を調べておきたい(表1参照)。冒頭に述べたようにこのレースはディープインパクト産駒の成績が非常に良い。【5.1.2.13】で連対率は28.6%、複勝率は38.1%だ。また、単勝回収率317%、複勝回収率103%と配当的にも魅力的な数字が出ている。
2位にランクインしたネオユニヴァース産駒の成績は【1.2.0.7】。連対率・複勝率が42.9%もあり、こちらも優秀だ。ちなみに同馬は現役時代、弥生賞ではなくスプリングSを勝ち皐月賞を制した。弥生賞は、現役時代に皐月賞を勝利している種牡馬と相性がいいとも言えるかもしれない。
7位にランクインしたハーツクライ産駒も【0.3.0.5】で好走率は高い。勝ち馬は出ていないが、このレースとの相性は良さそうだ。
続いて過去の弥生賞に出走したディープインパクト産駒を掘り下げることにする。全出走馬の成績と母父を調べた(表2参照)。過去10年では5頭の優勝馬と2着馬1頭、3着馬2頭が出ている。母父はフレンチデピュティを中心としたヴァイスリージェント系がとにかく強い。合計5頭が出走し、その内4頭が勝利している。2019年は8番人気のメイショウテンゲンが優勝。この年は重馬場でかなり時計がかかり波乱となったが、血統的には順当な結果だったと言えるかもしれない。
今年出走を予定しているディープインパクト産駒はサトノフラッグ。血統表を見ると母父がNot For Sale。これはCaro(カロ)→Grey Sovereign(グレイソヴリン)に遡る系統だ。残念ながらヴァイスリージェント系ではない。だが、12年の弥生賞で3着に好走したアーデントの母父KaldounはCaroの仔。つまりグレイソヴリン系だ。よってサトノフラッグも好走馬が出ている配合ということになる。また、ディープインパクト×Not For Saleの配合と言えばダノンファンタジー(阪神ジュベナイルフィリーズ)が思い浮かぶ。JRAのG1馬を出した実績があるわけだ。
サトノフラッグの戦績にもしっかりと触れておきたい。ここまで3戦2勝の成績。前走は1月に行われた中山芝2000mの1勝クラスを勝利した。そこで同時期・同条件のレースを制した馬を調べた(表3参照)。2010~2017年は寒竹賞という特別戦が該当した。勝ち馬は次走弥生賞に出走するケースが多いものの、結果は芳しくなかった。16年のタイセイサミットが惜しくも弥生賞で4着だった。しかし、14年のバウンスシャッセは次走フラワーCを優勝した。1月・中山芝2000m・1勝クラスのレースレベルが低いとは言い切れない。
その証拠に18年の平場戦1着オウケンムーンは次走共同通信杯を優勝。19年のエングレーバーは次走きさらぎ賞8着だったが、その次のプリンシパルSで2着と好走した。そこで今年のサトノフラッグはどうなるかという話になる。
前走の勝ちタイムは2分01秒4(良)。馬場差はあるものの、過去10年では速い時計だ。2着馬につけた着差は0.5秒。これは過去10年で最大だ。上がり3ハロンは35秒3でメンバー中1位。14年以降の勝ち馬はほとんど上がり1位をマークしているが、悪くない結果だろう。
今年の弥生賞ディープインパクト記念のメンバーを見ると、前走G1のホープフルS出走馬がライバルとなりそうだ。ワーケア(父ハーツクライ)やオーソリティ(父オルフェーヴル)、ブラックホール(父ゴールドシップ)といった実績馬たちとの力関係がカギだ。血統・戦績面から考えて、サトノフラッグの勝機も十分あるとみたい。
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