JRA-VANコラム
波乱のハンデ重賞・七夕賞を分析する
今週は福島競馬場でサマー2000シリーズの開幕戦・七夕賞が行われる。かつては1番人気馬が勝てないレースとして有名で、1979年から2004年までなんと26連敗を喫していた。その後は1番人気馬も4頭が勝利を飾っているものの、3連単の配当は過去10年のうち9回(3着同着が1回あり10通り)が8万馬券以上と、荒れ模様であることに変わりはない。そんな波乱の一戦をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去10年、1番人気は【2.1.2.5】。2005年に26連敗で止まってから数年に一度は勝利を収めているが、ここ10年の連対率30.0%、複勝率50.0%は1番人気馬としては物足りない。その一方で、10番人気以下の馬が【3.1.5.54】と9頭も馬券に絡み、単複の回収率も非常に高い。2桁人気馬の3勝(過去10年)は、JRA重賞としてはフェアリーSと並んでトップ。また、馬券圏内9頭は京阪杯(10頭)に次ぐ2位である。
年齢別では【2.1.1.7】の4歳馬が複勝率36.4%の好成績。3着以内の好走馬数が多いのは5、6歳馬で、10番人気以下で馬券に絡んだ9頭中7頭もこの5、6歳馬だった。7歳以上のベテラン馬は劣勢だ。
ハンデ別の成績をみると、51キロ以下の軽ハンデ馬は連対なし(今年は該当馬不在)。57~58キロを課された馬の連対率が高い。ただ、56キロ以上を背負った2桁人気馬は【0.0.0.14】に終わっているため、大穴狙いなら55キロ以下の馬から激走候補を探したい。
枠番別(中山代替の2011年を除く)の成績は、4枠が複勝率43.8%、そして6枠が同33.3%。その間の5枠は勝利こそないものの複勝率は27.8%と高いため、この4~6枠に注目したい。しかし、すぐ外の7枠は【0.0.0.18】。馬番7番は【0.1.3.5】で複勝率44.4%を記録しており、「七夕賞」というレース名にちなんで買うなら、7枠よりも馬番7番のほうが良さそうだ。
前走クラス別では、中央G3組【6.4.2.58】と、オープン特別組(L含む)【3.3.5.27】で3着以内馬31頭中23頭を占める。ただ、G3組は馬券圏外に敗れた馬も多く、勝率~複勝率はさほど高くない。対してオープン特別組は複勝率が高く、回収率も優秀だ。
なお、条件戦組で好走した2頭は、2017年3着のソールインパクトが前走芝2400m、2018年3着のパワーポケットが前走ダート1600mと、芝2000mの七夕賞とは距離が400m違うレースに出走していた。今年はこういったタイプの登録馬は不在である。
前走オープン特別からの3着以内好走馬は表6の11頭。この組で注目したいのは前走着順と本競走での人気で、どちらも「4以内または10以下」が狙いになる。前走着順は11頭中7頭が4着以内で、3頭が10着以下。前走5~9着で好走したのは1頭のみだった。また、七夕賞での人気は4頭が4番人気以内、6頭が10番人気以下で、5~9番人気の好走馬はやはり1頭にとどまる。なお、この組は5歳馬から8歳馬までが好走しているが、中では5歳馬が【2.2.1.1】で複勝率83.3%と抜群だ。
表7は前走中央重賞組の好走馬17頭である。このうち、2014年以降の10頭中8頭に共通するのが、七夕賞よりもグレードが上のG1やG2で3着以内の実績を持っていたことだ。残る2頭、2014年3着のマイネルラクリマは前年の本競走優勝馬、そして2016年2着のダコールは前年の新潟大賞典優勝馬だった。G1やG2での好走歴がなければ、本競走と同じ芝2000mのG3優勝実績くらいは欲しい。
【結論】
七夕賞は前走G3組とオープン特別組で好走馬の3分の2以上を占めており、特にオープン特別組が好成績を残している。今年の注目は、まずオープン特別(表6)の福島民報杯(L)を勝ってきたマイネルサーパス。福島芝は【2.1.0.0】の好相性で、昨年のこの時期にはラジオNIKKEI賞で2着の実績もあるだけに、この組の好走条件「今回4番人気以内」も恐らくクリアできるだろう。
ほかに、オープン特別組で好成績を残す5歳馬としてバレリオや、「前走10着以下」かつ「今回10番人気以下」になりそうなアウトライアーズあたりに一発の可能性がある。前走重賞組では、昨年の金鯱賞(G2)3着で表7をクリアするエアウィンザーを挙げたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。