JRA-VANコラム
将来のダート王参戦も? シリウスSを分析する
最終週を迎える中京競馬場での代替開催。今週は土曜にシリウスSが組まれている。1400mで行われていた時代にはブルーコンコルド(南部杯)など後のG1馬が優勝馬に名を連ねており、2007年に2000m戦になってからも(本年は1900m)、ワンダーアキュート(JBCクラシック)やアウォーディー(同)、オメガパフューム(東京大賞典)がここで重賞初制覇。G3のハンデ戦とはいえ、今後の大レースへ向けて見逃せないレースだ。そんな一戦をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。
過去10年の人気別成績を見ると、1~3番人気が複勝率50.0~60.0%、4~7番人気が同20.0~40.0%。ハンデ戦ではあるが、8番人気以下の馬券圏内好走は2頭にとどまる。単勝オッズでは20倍以上になると苦しく、人気サイドなら単勝3~6倍台、穴なら10倍~14倍台あたりがおもしろい。
年齢別では5歳馬が最多の7連対をマークし、次いで6歳馬の5連対。ただ、どちらも該当馬が多いため、好走確率はさほど高くない。3、4歳馬が複勝率30%以上を記録しているため、まずは若い馬から軸候補を探り、もし他のデータでマイナス材料を抱える馬ばかりであれば5~6歳馬へと検討を進めるのが良さそうだ。
牡・セン馬のハンデ別成績をみると、勝利が多いのは53~56キロで計9勝、一方で複勝率が高いのは57.5キロ以上の重ハンデ馬だった。馬単や3連単を購入する際は、重ハンデ馬より53~56キロあたりから1着候補を選びたい。なお、牝馬は2頭しか出走がなく、2010年に56.5キロを背負ったラヴェリータが2着に入っている。
前走クラス別では、中央G3組や、3勝クラス組、オープン特別組の好走が多い。中央G3組は3着以内に入った10頭中9頭がハンデ56キロ以上で、残る1頭は3歳のケイアイレオーネ(53キロ)。56キロ以上【2.3.4.14】複勝率39.1%、55キロ以下【1.0.0.7】同12.5%と大きな差がついている。
また、好走確率が低いオープン特別組でも、前走で1~2番人気に推されていた馬にかぎれば【1.3.5.14】複勝率39.1%になるため要注意。前走3番人気以下だった馬は【1.0.0.52】に終わっている。
表4で好走確率が高かった前走3勝(1600万)クラス組の好走馬は表5の5頭で、前走はすべて1着。また5頭とも5~6歳馬で、条件クラスを脱出するのにやや時間を要した馬が好走している。そしてもうひとつ、前走がダート戦初出走だったアウォーディーや、ダート転戦後2連勝を飾っていたウェスタールンドなど、ダートより芝で多くのキャリアを重ねていた馬が5頭中4頭を占めている。芝からダートに転じ、一流馬への階段を上がりはじめたような馬がいれば見逃せない。
今年のシリウスSは、例年の阪神ダート2000mではなく、中京ダート1900mで代替される。そこでその中京ダート1900mと、レース数の多い中京ダート1800m、そして例年シリウスSが行われる阪神ダート2000mの脚質成績を比較してみた。
その結果、連対率や複勝率は中京ダート1900mと1800mでほぼ似たような数字となった。しかし1900mでは逃げた馬がやや勝ち切れない傾向にあり、脚質別の1着馬占有率は、中京ダート1900mと阪神ダート2000mが近い値になっている。基本的には、優勝馬の半数以上を占め、連対率や複勝率も高い「先行」が有利なコースである。
ただ、この中京ダート1900mで行われたレースはこれまで条件戦ばかり。一般的に、オープン・重賞は条件戦より差しが決まりやすくなる傾向があることには注意が必要だ。
最後に、中京ダート1900mにおける騎手、種牡馬成績も掲載しておきたい(勝率順)。騎手では和田、川田、浜中、武豊の上位4名、種牡馬ではカネヒキリとマンハッタンカフェが連対率や3着内率、回収率も高く、それぞれ騎乗馬や出走馬がいれば注目したい。
以上、シリウスSの傾向をまとめてみた。ハンデ戦だからといって人気薄の馬や、軽ハンデの馬ばかりを買うのは避けたいレースで、人気順なら8番人気以内、単勝オッズでは20倍未満が目安。ハンデは1着候補なら53~56キロ、3連複の軸なら重ハンデ馬から選ぶのが良さそうだ。表4や表5で記した前走クラス別の傾向も踏まえて予想にあたりたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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