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JRA-VANコラム

牝馬の上位独占か!? 宝塚記念を分析する

2021年6月24日 14:00配信
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日曜に阪神競馬場で中央競馬の上半期を締めくくる大一番、宝塚記念が行われる。一昨年にはリスグラシュー、昨年はクロノジェネシスと近2年は牝馬が優勝。過去10年でも8年で3着以内に入っており、牝馬の活躍が目立っている。今年は牝馬3頭が人気になりそうで、上位独占なるかに注目が集まる。今回は2011年以降・近10年のレース傾向から馬券で狙えそうな馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 宝塚記念の人気別成績(過去10年)

まず表1は宝塚記念近10年の人気別成績。1番人気馬は12年オルフェーヴルら2勝をあげ、連対率50%・複勝率60%はトップだ。2番人気馬は昨年のクロノジェネシスら2勝、3番人気馬も一昨年のリスグラシューら2勝。以下、6番人気馬が2勝、7・8番人気馬が1勝ずつ。なかでも6番人気馬の複勝率50%は1番人気馬に次いで高い。

9~12番人気馬は2・3着馬が3頭ずつ。昨年は12番人気モズベッロが3着に激走し、3連単18万3870円の波乱となった。馬連は5000円以上の配当が半数の5回、3連単で18万円以上の配当は昨年を含む4回と波乱含みの一戦といえる。

■表2 宝塚記念過去10年における牝馬の3着以内馬一覧

表2は過去10年で3着以内に入った牝馬一覧と芝2200m以上の重賞実績。冒頭で述べたように一昨年リスグラシュー、昨年クロノジェネシスと近2年優勝しており、10年中8年で3着以内に入っている。牝馬はのべ【3.2.4.11】で連対率25.0%・複勝率45.0%と優秀だ。

これら3着以内馬9頭は4歳もしくは5歳馬で、ショウナンパンドラを除く8頭は芝2200m以上でG1連対か重賞勝利実績があった。ショウナンパンドラにしても前年のエリザベス女王杯に出走しており、全馬芝2200m以上の重賞を経験していた。

■表3 宝塚記念の年齢別成績(過去10年)

表3は年齢別成績。5歳馬が18年のミッキーロケットら過半数の6勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。昨年を除いて毎年1頭は3着以内に入っており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。3着以内馬15頭中7頭は6番人気以下の伏兵だった。

4歳馬は昨年のクロノジェネシスら3勝。3着が6回と多く、複勝率は5歳馬に次いでいる。これら4・5歳馬で大半の9勝をあげている。6歳馬は11年アーネストリーの1勝のみ。7歳以上の馬は18年に2着に好走した香港馬ワーザーのみと不振傾向にある。

■表4 宝塚記念の枠番別成績(過去10年)

表4は枠番別成績。黄色で強調したように大外の8枠に入った馬が過半数の7勝をあげている。牝馬による3勝もすべて8枠での勝利だった。阪神芝2200mは1コーナーまでの距離が長く、荒れていない外を通れるアドバンテージが大きいのではないだろうか。ただし、例年なら4週開催の最終8日目に行われるが、今年は変則開催で2週開催の最終4日目に施行される。今年は傾向が変化するかもしれないので、直前まで馬場傾向を見極めたい。

■表5 宝塚記念の前走レース別成績(過去10年)

表5は前走レース別成績。出走数が抜けて多い天皇賞・春組が18年ミッキーロケットら4勝をあげており、昨年は2・3着馬が該当している。一昨年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。

大阪杯組は17年サトノクラウン、昨年のクロノジェネシスと2勝。一昨年2着キセキ、昨年1着のクロノジェネシスは前走大阪杯で2着。17年サトノクラウンは前走大阪杯で6着に敗れていた。逆に前走大阪杯で1着だった馬は一昨年アルアイン4着、昨年ラッキーライラック6着と敗れている。

他では鳴尾記念組からは15年ラブリーデイが勝利するも、16年以降は好走馬なし。クイーンE2世C組は一昨年リスグラシューが勝利。連対馬2頭は前走3着以内に入っていた。目黒記念組は16年マリアライトが優勝。3着以内馬2頭はともに前走2着だった。なお、ドバイシーマC組からは勝ち馬が出ておらず、2・3着止まりとなっている。

■表6 天皇賞・春組の前走着順別成績(過去10年)

表6は天皇賞・春組の前走着順別成績。意外なことに、前走3着以内馬からは連対馬が出ていない。一方、黄色で強調したように前走4着以下からの巻き返しが目立っている。京都外回りの芝3200mと阪神内回りの芝2200mでは求められる適性に大きな違いがあるということだろう。

今年は春の天皇賞が阪神で行われたが、1000mの距離短縮は変わらず、前走4着以下からの巻き返しには注意したい。

■表7 ノーザンファーム生産馬の前走着順別成績(過去10年)

表7は出走数が抜けて多いノーザンファーム生産馬の前走着順別成績。ノーザンファーム生産馬はのべ【6.5.4.51】で、15年以降・近6年続けて勝ち馬を出しており、連対率16.7%・複勝率22.7%。この組の好走馬15頭中12頭は前走で4着以内に入っていた。なかでも前走1着馬よりも前走2~4着馬の複勝率がそれぞれ高い点は注目しておきたい

<結論>

■表8 今年の宝塚記念の出走予定馬(6/23時点)

今年の出走予定馬は表8のとおり。

今回は昨年の優勝馬クロノジェネシスとデビューから6連勝で大阪杯を制したレイパパレの初対決が注目されているが、そこに前走天皇賞・春で見せ場十分の3着だったカレンブーケドールを加えた牝馬3頭が上位人気を占めそうだ。

これら3頭の中ではクロノジェネシスを最上位に評価したい。ノーザンファーム生産馬で今年5歳。前走ドバイシーマCで2着に敗れたが、次走で香港クイーンE2世Cを制するラヴズオンリーユーには先着を果たした。昨年は大阪杯からの臨戦で勝利、今年も前走から3か月と間隔を空けての出走で、実力を発揮できるのではないか。

レイパパレは重馬場だった前走の大阪杯で4馬身差の快勝。6戦無敗で未知の能力を感じさせるが、表2で示した芝2200m以上の経験がない点は不安だ。前走激走の影響も気にかかる。

カレンブーケドールの天皇賞・春は、道中2~3番手につけて2周目の4コーナーでは早めに先頭に立つ強気の競馬で3着。たしかに見せ場十分だったが、力を出し切った感はあった。前走天皇賞・春3着以内馬の不振傾向からもやや評価は落としたい。

上記3頭以外ではアリストテレスの巻き返しに期待したい。前走の天皇賞・春は4着に敗れたが、3走前に不良馬場で勝利したアメリカJCCの影響が残っていたのではないか。近3走はいずれも力の要る馬場で、今回時計が速い馬場になれば巻き返す可能性は高い。芝2200mでは3戦2勝、2着1回と得意の距離だ。

他では馬場が渋れば、昨年の宝塚記念、前走の大阪杯同様にモズベッロの台頭には注意しておきたい。一昨年、昨年2着のキセキは7歳で年齢的に厳しいと見る。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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