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JRA-VANコラム

サマー2000シリーズの結末はいかに? 新潟記念を展望する

2021年9月2日 16:00配信
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2020/10/3 中京10R 関ケ原ステークス 1着 8番 ショウナンバルディ

2021年の夏競馬も今週末で終わり。重賞は3レースが組まれており、今回は日曜日に行なわれる新潟記念を取り上げよう。年齢は3歳から7歳まで、性別も牡馬、牝馬、セン馬が揃い、ハンデ重賞らしく多様なメンバーが登録してきた。サマー2000シリーズの行方も左右するこのG3を、過去10年のデータから展望したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績(※9番人気は12年に同票数の馬が2頭いたため11頭)。複勝率ベースで見ると、1番人気から9番人気までほぼ横一線で、4番人気だけエアポケットのように好走がないものの、ひとケタ人気に収まっていれば3着以内に入る確率は互角と考えていいのではないか。ただし、10番人気以下の好走率は一気に下がり、極端な激走は意外と少ないことも特徴といえる。

■表2 年齢別成績

表2は年齢別成績。主力となるのは4、5歳で、好走率はほぼ互角。6、7歳は好走率を落とすものの、6歳は単勝、7歳は複勝の回収率が100%以上と激走傾向を示す。やや意外な印象を受けるのが3歳で、18年にブラストワンピースが1番人気に応えて勝ったものの、好走例はこれが唯一。ほかに2頭いる1番人気馬はいずれも10着以下に敗れるなど、全体的には苦戦とみていいのではないか。

■表3 ハンデ別成績(牡馬・4歳以上)

表3はハンデ別成績。なお、3歳は前述のブラストワンピース(54キロ)、牝馬も13年1着のコスモネモシン(6歳・52キロ)がそれぞれ唯一の好走例となっているため、ここでは「牡馬(セン馬を含む)・4歳以上」を集計対象とした。表3を見ると、好走率が高いのは56キロから57キロにかけてのゾーン。ここよりハンデが軽くても重くても、少し数値を落とす傾向が見られる。

■表4 前走クラス別成績

表4は前走クラス別成績。主力をなすのは前走G3出走馬で、21頭が好走と圧倒的な数を誇る。この組に関しては、次の表5の項で改めてデータを見ていきたい。同様に、4頭が好走している前走3勝クラス出走馬については表6の項でもデータを確認する。

前走GⅠ出走馬は、そのGⅠで5着に入っていた18年のブラストワンピース(前走日本ダービー)と19年のユーキャンスマイル(前走天皇賞・春)が勝利。前走のG1で掲示板に載っていればチャンス十分とみたい。もう1頭の好走例は18年2着のメートルダールで、前走G1組では唯一の同距離(大阪杯)からの臨戦だった。

あとは前走オープン特別出走馬で3着に入った馬が2頭おり、いずれも13番人気の穴馬だった。前走で掲示板を外し、人気になっていたわけでもなく、年齢は6、7歳と、一般的には狙いづらいタイプ。ただし、新潟1着の実績を持つ共通点があり、適性を活かした格好だったか。

■表5 前走G3出走馬の各種データ

表5は、前走G3出走馬に関する4つのデータをまとめたもの。まず、前走の競馬場を「中央開催(東京、中山、京都、阪神)」と「ローカル(前記以外の6場)」に分けると、ローカルを使っていた馬が好走の大半を占める。また、前走からの出走間隔を「中7週以内」と「中8週以上」に分けたものでは、中7週以内が大きくリード。このふたつのデータには深い関連があり、夏競馬のG3に出走していた馬(≒ローカル、中7週以内)のほうが、春競馬のG3以来の出走となる馬(≒中央開催、中8週以上)より有利と言い換えることもできる。

前走比の斤量では「今回増」の成績が優秀。「増減なし」は好走率としてはまずまずといったところだが、好走例はもっとも多い。「今回減」は13年にコスモネモシンが10番人気1着に激走したのが唯一の好走で、全体としては苦戦。前走G3組に関しては、斤量減はあまり効果がないようだ。

前走4角通過順の傾向も興味深い。「3~9番手」が優秀な成績を残す一方、「1、2番手」や「10番手以降」だった馬の成績はもうひとつ。前走で前すぎず、後ろすぎずの競馬をしていた馬が好走しやすいようだ。

■表6 前走3勝クラス出走馬の各種データ

表6は、前走3勝クラス出走馬に関する3つのデータをまとめたもの。この組の場合、前走人気は「1~3番人気」、前走着順は「1着」であることは絶対条件としても過言ではなさそう。これを満たしたうえで、前走の競馬場が「中央開催」であれば有望な存在になりうる。

【結論】

新潟記念で主力となる前走G3出走馬は、今年も8頭がエントリー。このうち、表5の項で確認した好走率が高い条件である「前走ローカル」「中7週以内」「斤量今回増」「前走4角3~9番手」をすべて満たす馬は1頭もいなかった。

斤量が今回増ではないものの、好走例が多い「斤量増減なし」には該当し、ほかの3つを満たしている馬にはショウナンバルディとプレシャスブルーの2頭がおり、年齢的には5歳のショウナンバルディがより有望。とはいえ7歳には激走傾向があるだけに、プレシャスブルーにも注意しておきたい。

前走で函館記念を勝ち、ここで4着以上に入ればサマー2000シリーズ優勝となるトーセンスーリヤは、前走4角通過順が2番手。逆にクラヴェルやサトノアーサーは10番手以降と後ろすぎるが、ほかの条件は悪くない。展開を味方につけることができれば好走しても不思議はない存在だ。前走G3組では、エプソムCに続く重賞連覇を狙うザダルも人気の一角を形成するだろう。前走が中央開催(東京)かつ中11週という2点がネックとなるが、その実力でデータを覆したいところだ。

前走G1出走の3頭はいずれも掲示板を外しており、同距離の2000mだった馬もいない。また、前走3勝クラス組の2頭は、ともに前走3番人気以内という条件を満たせなかった。

あとは前走オープン特別組。この組の好走率はそれほど高くないが、新潟1着の実績を持つ馬には要注意だった。そこで、前走リステッド組を含む4頭の戦績を確認すると、新潟で【3.1.1.1】と好相性のパルティアーモは注目の存在となりそうだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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