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JRA-VANコラム

弟に触発されてブレイクか!? 横山和生騎手を分析する

2021年8月23日 16:00配信
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2021/7/18 函館11R 函館記念(G3) 1着 8番 トーセンスーリヤ

横山和生騎手は2011年に競馬学校騎手過程第27期生としてデビュー。同期には杉原誠人騎手や藤懸貴志騎手らがいる。13年に年間(中央、以下同様)で39勝を挙げたが、その後は勝ち星が伸び悩んだ。18年にはエルムSをハイランドピークで制し、重賞初制覇を飾ったものの、この年の勝利数はわずか9だった。しかし、19年は17勝、20年は30勝と勝ち星数が上向き、今年はすでに52勝(表1参照)をマーク。8/15開催終了時点でリーディング7位につけている。キャリアハイとなる年間勝ち星数はまだまだ伸びていきそうだ。そこで今回は横山和生騎手の今年の成績を詳しく調べた。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 2021年JRA平地騎手成績・トップ10(8/15開催終了時点)

リーディング全体の傾向としては、C・ルメール騎手を筆頭に栗東所属の騎手が勝ち星を量産している。現在、全国5位で東のトップである横山武史騎手は、横山和生騎手の弟。横山武史騎手は昨年、関東リーディングに輝き、今年はエフフォーリアに騎乗して皐月賞を勝つなど、一足先にブレイクした。和生騎手は弟のこうした大活躍に触発されたのかもしれない。7月の函館記念をトーセンスーリヤで制するなど、夏の北海道で存在感を出し、全国リーディング7位につける活躍を見せている。6位の吉田隼人騎手、9位の戸崎圭太騎手らとともに、今年は最後まで関東リーディングの座を競うことになりそうだ。

■表2 横山和生騎手の2021年・厩舎別成績(8/15開催終了時点)

表2は横山和生騎手の2021年・厩舎別成績。栗東の安田隆行厩舎の馬でトップの7勝を挙げ、さらに2着が9回で連対率は34.8%と優秀だ。基本的にはローカル場所で騎乗依頼を受けることが多いようだ。2位は美浦の小野次郎厩舎。前述したトーセンスーリヤは同厩舎の管理馬だった。また、3位安田翔伍厩舎、4位昆貢厩舎、5位長谷川浩大厩舎、6位森田直行厩舎、7位石橋守厩舎と栗東の厩舎が並んでいるのが特徴。関西馬に騎乗して結果を出している。10位の勢司和浩厩舎は、かつて(11年3月~16年10月)自身が所属していた。フリーになった現在でも、よく騎乗依頼を受けているようだ。

■表3 横山和生騎手の2021年・脚質別成績(8/15開催終了時点)

表3は横山和生騎手の2021年・脚質別成績(TAEGET frontier JV基準)。注目すべき点はマクリの成績が7勝2着4回3着2回で、勝率36.8%・連対率57.9%・複勝率68.4%、単複回収率がともに100%以上と優秀であること。特に勝ち星数の7はルメール騎手や川田将雅騎手、横山武史騎手らに比べて明らかに多いのだ。7勝の内訳を見ると、新潟ダート2500mと小倉芝2000mでそれぞれ2勝。札幌ダート1700m、小倉ダート1700m、新潟ダート1800mでそれぞれ1勝を挙げている。最近の勝利は8/14(土)に行われた札幌11Rの3勝クラス・羊蹄山S(7番人気ホウオウトゥルース)だ。

基本的にマクリは最後の直線が短いコースで決まるもので、中央場所よりもローカル場所で見かけることが多いだろう。しかし、それでもマクリが決まるケースはそう多くはない。そもそもジョッキーの腹がすわっていないと難しい作戦であり、積極的に狙う立ち回りでないような気がする。というのも、3~4コーナーで大外を回って追い上げるので、通る距離は他の馬よりも長くなる。仮に最後の直線入り口で先頭に立つことができても、早めにいい脚を使ったことで、ゴール手前で止まってしまいやすい。

したがって、マクリはスパートするタイミングが難しい上に、馬に余分な負担がかかる可能性がある。失敗したときに良くない印象を持たれてしまうリスクがありそうだ。にもかかわらず、今年これだけマクリを決めている横山和生騎手は、ペース判断・操縦技術に優れ、度胸があるのではないかと想像できる。

■表4 横山和生騎手の2021年・コース別成績(8/15開催終了時点)

表4は横山和生騎手の2021年・コース別成績。上位15番目までのコースと、10回以上の出走があったコースの成績を付け加えた。最も勝ち星を挙げているのは函館ダート1700mだった。今年のエルムSでは7番人気オメガレインボーで2着に入っており、得意なコースであることがうかがえる。2位に小倉ダート1700m、4位に小倉芝2000m、7位に小倉芝1200mがランクイン。横山和生騎手が夏に小倉へ行くかは微妙だが、行った際は注目したい。そして、5位に札幌ダート1700m、8位に札幌芝1500mがランクイン。今夏の札幌開催は残り少ないが、このコースでどれだけ成績を伸ばせるか。中央場所に戻ってからは東京ダート1600m(9位)や中山ダート1200m(10位)では目が離せない存在になりそうだ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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