JRA-VANコラム
秋競馬開幕! 秋華賞トライアル・紫苑S分析
秋華賞トライアル・紫苑S。オープン特別として行われていた2015年までは本番・秋華賞にほとんどつながらないレースだったが、2016年にG3の重賞に昇格すると状況は一変。以降の5年間で秋華賞優勝馬2頭、2着馬3頭を出す有力なステップレースとなった。今回はその紫苑Sを、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。集計期間は重賞昇格後の5年間とした。
表1は過去5年の人気別成績で、1番人気が【2.1.1.1】。昨年のスカイグルーヴこそ9着に敗退したが、他の4頭は馬券に絡んで複勝率80.0%、単複の回収率も100%超と信頼の置ける成績を残している。また、8番人気以下の好走馬は昨年のパラスアテナ(10番人気2着)の1頭だけ。単勝オッズでは16倍以上の馬が【0.1.0.52】と苦戦しており、7番人気以内・単勝16倍未満を目安としたい。
なお「1番人気の馬券圏外敗退」と「8番人気以下からの好走」が同時に起きた昨年は稍重馬場で、勝ち時計2分2秒1。他の4回は良馬場で、優勝馬の走破タイムは2分を切っていた。
枠番別の成績をみると8枠が【3.1.2.7】で複勝率46.2%の好成績。馬番では9番以内【0.3.3.39】複勝率13.3%に対し、10番より外が【5.2.2.31】同22.5%と、中から外よりの枠を引いた馬が優勢だ。秋の中山開幕週、距離損のない内枠が良さそうだとも考えてしまいがちだが、内にこだわると的中から遠ざかりそうな点には注意したい。
前走クラス別では、中央G1に出走していた馬が複勝率31.8%をマーク。3着以内馬15頭中7頭と半数近くを占めており、まずはこのG1組を中心視したい。また、数は少ないが前走2勝クラス出走馬が勝率、連対率ではG1組を上回り、複勝率もほぼ互角の好結果を出している。
前走G1組の好走馬は表4の7頭で、いずれも前走ではオークスに出走していた。その7頭すべてオープンで3着以内の経験があり、フェアリーポルカ以外の6頭にはオープン勝ち、重賞連対、G1で3着以内のいずれかの実績があった。
また、7頭中3頭はオークス5着以内かつ紫苑S1番人気。この「オークス5着以内+紫苑S1番人気」を満たす馬は【1.1.1.0】。「オークス5着以内+紫苑S2番人気以下」だった馬は【0.0.0.2】で、昨年のマジックキャッスルが6番人気4着、そしてウインマイティーが2番人気で6着に敗退した。残る4頭は本競走5~7番人気。表1にあった5番人気以下の好走馬6頭中4頭はこのオークス組から出ており、いずれもオークス掲示板外から巻き返している。
前走オークス以外からの好走馬は計8頭。うち6頭はこの紫苑Sで4番人気以内の支持を受けていた。この組の4番人気以内馬は計【3.1.2.7】複勝率46.2%で、前走オークス組の4番人気以内馬【1.1.1.4】同42.9%を上回っている。
前走の着順・タイム差についてみると、前走で2勝クラスを勝ってきた馬は【1.0.1.2】複勝率50.0%。1勝クラス1着なら、2着に0.5秒以上の差をつけていれば【1.1.0.1】同66.7%になる。
前走で敗れていた馬は、1着馬から0.1秒差以内なら複勝率37.5%と優秀だ。しかし0.2秒差以上で敗れた馬は【0.1.0.27】同3.6%止まり。唯一2着に食い込んだ昨年のパラスアテナは、前走・ラジオNIKKEI賞で1番人気に支持されていた。重賞で1番人気に推されるほどの馬でなければ、前走では負けても接戦に持ち込んでいることが好走条件だ。
以上、重賞昇格後の紫苑Sの傾向をまとめてみた。前走オークス組が中心になるレースだが、今回1番人気以外なら5~7番人気とやや穴っぽい馬が多く好走していることがポイント。オークス以外の組なら、前走時のタイム差もみて取捨を考えたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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