JRA-VANコラム
今年も牝馬が勝ちそう!? オールカマーを占う!
今週は日曜日に中山競馬場でオールカマーが行われる。秋のG1シリーズに向けて重要な一戦だ。今回もいつものように過去10年(新潟で行われた2014年は除く、以下同様)のデータを分析し、今年のレースを占っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は過去10年のオールカマーで3着以内に好走した馬の一覧。人気や性別、年齢に加えて、とある3つの条件を満たしているかどうかをチェックした。1つ目(※1)は同じ年に芝1800~2200mの重賞で3着以内に入っているかどうか。該当していればその成績を記した。2つ目(※2)は過去の中山芝重賞の実績。1着ならば◎、2~3着ならば〇、4着以下ならば△の印をつけた。3つ目(※3)は同じ年に芝1600m以上のG1に出走していれば□、それがもし宝塚記念であれば■の印をつけた。これらのポイントに注目して過去の好走馬を見ていきたい。
まず年齢面では4歳と5歳が非常に強い。毎年2頭以上が3着以内に入り、2018~20年にかけては3年連続で上位を独占中だ。
年齢傾向をもう少し詳しく述べるため、表2にオールカマー出走馬の年齢別成績を記した。3着以内の頭数は4歳が11頭、5歳が12頭、6歳が3頭、7歳以上が1頭。4~5歳が圧倒的に強い。4歳と5歳の比較では、勝率はほぼ互角だが、連対率や複勝率は4歳の方がだいぶ優勢だ。
表1に戻り4歳が上位を独占した18年を見ると、1着レイデオロ、2着アルアイン、3着ダンビュライトは※1、※2、※3すべてにおいて該当実績があった。同じ年に別定のG2以上で好走し、なおかつ過去に中山芝重賞で1着というハイレベルな実績もあった。これは理想的な実績と言えるものであり、本競走においては間違いなく有力となる。ただ、上位人気になるのは必至。3番人気以内には入る可能性が高そうだ。
4歳馬で配当妙味を求めるのであれば、※1の実績はないが、※2や※3の実績がある馬が面白い。19年はグレイルが3着、12年はユニバーサルバンクが3着、11年はゲシュタルトが2着といずれも6番人気で好走した。
5歳馬も※1の実績がない馬が意外と勝っている。13年は9番人気ヴェルデグリーンが1着だった。16年ゴールドアクターは前年に有馬記念を制し、17年ルージュバックは前年に毎日王冠1着、3歳時にオークス2着と実績上位の馬だったが、本競走と同じ年に芝1800~2200mの重賞で3着以内の実績はなかった。
20年センテリュオや19年スティッフェリオも5歳でオールカマーを制したが、両馬の※1の実績はハンデ戦のG3だった。なおかつ過去に中山芝の重賞で勝ったことはなかった(※2)。にもかかわらず実績上位の人気馬よりも先着したのだ。
6歳以上で3着以内に入った馬は、11年アーネストリー、15年ミトラ、16年サトノノブレス、17年ステファノスで最近3年は好走例がない。※3で記した同年の宝塚記念出走馬も、11~16年までは毎年好走していたが、近年はそうでもなくなってきた。いずれにしても6歳以上は、※1、※2、※3の実績は高いレベルが要求される。アーネストリーは宝塚記念を勝っており、同じ年の芝1800~2200m重賞の好走実績は必須だろう。
【結論】
それでは今年のオールカマーを占っていこう。出走予定馬は表3の通り。
まず注目の4歳馬はウインキートス、ウインマリリン、レイパパレと3頭がエントリー。この中では今年の大阪杯を制し、宝塚記念では3着に入ったレイパパレが実績最上位。データ的には中山が初めてという点は、特に気にならない。レース当日は1番人気に支持される可能性が高そうだ。しかし、人気に応えてすんなり勝てるかどうか、というのが本競走の大きなポイント。近年の傾向からは、他の馬の単勝に惹かれるし、狙ってみる価値は十分ある。
ウインマリリンは今年の日経賞を優勝。距離が2500mのレースだったので※1の実績には該当しなかったが、中山の重賞を勝ったという点は大きな評価ポイントだ。
5歳馬はキングオブコージ、ランブリングアレー、ロザムールがエントリー。この中では※1と※2の実績があるランブリングアレーとロザムールを上位に取り、勝機も十分あると見たい。
6歳以上の馬の中ではグローリーヴェイズとステイフーリッシュが有力か。グローリーヴェイズは中山が初めてだが、実績は上位。ステイフーリッシュは20年の本競走で3着の実績がある。勝ち切るイメージは薄いが、2~3着候補として軽視はできないだろう。いずれにしても今年は4~5歳の牝馬の層が厚い。昨年のセンテリュオに続き、牝馬が勝つ可能性が高いのではないだろうか。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。