JRA-VANコラム
昨年は大波乱! 中京開催のローズSを展望する
今週末は土日月の3日間開催で、日曜に中京競馬場で秋華賞の前哨戦となるローズSが行われる。昨年に続く中京開催で、昨年は3連単100万円超の大波乱となった。秋華賞の舞台に駒を進めるのはどの馬か、昨年のローズSならびに2018年以降に中京芝2000mで施行された重賞から今年のローズSを展望していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は昨年のローズSにおける3着以内馬一覧。昨年は1番枠から道中2番手を進んだリアアメリアが2着に2馬身差をつけて快勝。2着ムジカは直線で外を伸びてきたが、3着オーマイダーリンは馬場の内から進出していた。前半1000m通過60秒9と平均からやや遅いペースで、上位3頭いずれも上がり34秒台前半。上がり最速は4着デゼルの33秒8だったが、4コーナー後方で3着にクビ差届かなかった。
今年のローズSも開催2週目の施行で、開幕週が土日ともに良馬場で行われたために内の傷みは少ないだろう。ちなみに開幕日9月11日(土)の芝2000m戦(1勝クラス)では、1分59秒4と速い勝ち時計が出ていた。昨年の1・3着のように内をうまく捌けた馬が台頭する可能性が高いだろう。
人気順では勝利したリアアメリアが3番人気。2着ムジカが14番人気、3着オーマイダーリンが11番人気はともに人気薄で、3連単113万9000円の大波乱となった。なお、1番人気に推されたフアナは11着、2番人気クラヴァシュドールは5着にそれぞれ敗れている。
表2は昨年のローズS3着以内馬の前走成績。リアアメリアは前走オークス4着で約4か月ぶりの休み明けだったが、人気薄で激走した2・3着は前走1勝クラスを走っていた。また、ムジカはローズSがデビュー10戦目、オーマイダーリンは11戦目だった。昨年の傾向からすると、前走クラスを問わず、キャリアが多くても問題ないといえる。
ここからは2018年以降の中京芝2000m重賞のべ13レースでのレース傾向を見ていこう。表3は枠番別成績。1~5枠の馬が全13勝中11勝をあげている。外の6~8枠からは8枠が2勝をあげているが、2勝はともに2番人気以内での勝利だった。
1~5枠の中でも5枠が最多の4勝をあげており、勝率・複勝率トップ。4枠も複勝率31.8%と優秀で、4・5枠は単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。最内の1枠も複勝率27.8%と高いものの、3着以内馬5頭はすべて5番人気以内の馬だった。
表4は中京芝2000m重賞の脚質別成績。黄色で強調した逃げ馬が勝率・連対率・複勝率いずれもトップ。逃げて勝利したのは今年の金鯱賞でのギベオン、鳴尾記念でのユニコーンライオン。10頭中最低人気で単勝227.3倍でのギベオンの逃げ切り勝ち、ユニコーンライオンの3馬身半差快勝は記憶に新しいところだ。
中京芝2000mではスタートから早々に隊列が決まり、スローペースになるケースがある。思い切ってハナに行った馬の残り目には注意しておきたい。
先行馬が最多の6勝をあげており、差し馬は逃げ馬に次ぐ複勝率25.0%。なお、追い込み馬は1勝のみで、連対率・複勝率ともに最も低い。
表5は中京芝2000m重賞の前走人気別成績。勝ち星は前走で下位人気だった馬までバラけているものの、複勝率ではほぼ前走上位人気だった馬から高い傾向にある。前走1~3番人気の馬はすべて複勝回収率で100%を超えており、期待値が高い。
昨年のローズSはリアアメリアが前走オークスで8番人気だったものの、ムジカは前走2番人気、オーマイダーリンは前走1番人気だった。
※1勝もしくは2連対以上を掲載。
最後に表6は中京芝2000m重賞の種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒がギベオン(21金鯱賞)らダントツの6勝をあげており、複勝率37.8%と高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を大きく超えている。また3着以内に2頭好走するケースが目立ち、今年の3回(愛知杯・きさらぎ賞・金鯱賞)を含む5回と多い。昨年のローズSでも1・3着が同産駒で、今年も注意しておきたい。
また、勝ち星こそないものの、エピファネイア産駒は昨年のムジカ、今年の金鯱賞のデアリングタクトと2着2回で連対率100%と好相性。人気薄であっても、チェックが必要だ。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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