JRA-VANコラム
来春のクラシック候補誕生か!? サウジアラビアロイヤルCを分析する
2歳馬によるG3競走・サウジアラビアロイヤルC。暮れの2歳G1へ向けたステップレースという位置づけだが、ここ3年の優勝馬はグランアレグリア(朝日杯FS3着、桜花賞1着)、サリオス(朝日杯FS1着、皐月賞2着、日本ダービー2着)、そしてステラヴェローチェ(朝日杯FS2着、皐月賞3着、日本ダービー3着)と、いずれも2歳G1のみならず翌春のクラシックでも好走している注目の一戦だ。そんなサウジアラビアロイヤルCの傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。集計対象は過去6回のサウジアラビアロイヤルCのほか、2014年に同条件の重賞として行われたいちょうSを含む7回とした。
過去7年、1番人気は【2.3.1.1】で複勝率85.7%。馬券圏外に敗退したのは2014年・第1回いちょうSのサトノフラム(10着)のため、現名称のサウジアラビアロイヤルCになってからは6年連続で馬券に絡んでいる。続く2~4番人気も安定しており、人気順では4番人気以内の馬、単勝オッズなら10倍未満の支持を受けた馬が中心になるレースだ。
前走クラス別では、新馬戦や未勝利戦を勝ち上がってきた馬が3着以内馬21頭中18頭を占めている。対して前走1勝クラス以上の馬は【0.1.2.29】複勝率9.4%止まりだ。ただ、このうち単勝6倍を切る支持を集めた馬は2017年2着のステルヴィオ(1番人気、単2.6倍)1頭だけ。10倍未満まで広げても計6頭に過ぎないため、今年もし前走1勝クラス以上から上位人気に推される馬がいれば念のため注意はしておきたい。
前走新馬戦組で注目したいのは、その新馬戦からのレース間隔だ。中9週以上開いた馬が【4.1.1.1】で複勝率は85.7%。このうち3番人気以内に支持された馬はすべて馬券に絡み、4番人気以下だった2017年のスワーヴエドワード(8番人気)だけは17着に敗退した。今年も前走新馬戦から中9週以上かつ今回3番人気以内を満たす馬がいれば馬券候補からは外せない。
新馬戦から中8週以下だった馬は、前走のコースによって成績に大きな差が出ている。サウジアラビアロイヤルC(東京)と同じ左回りコースで勝ち上がってきた馬は【0.4.1.2】複勝率71.4%。前走が右回りコースだった馬は【0.1.0.6】同14.3%で、昨年2番人気5着のキングストンボーイ、2018年2番人気5着のシャドウエンペラー、2014年1番人気10着のサトノフラムといった人気馬も馬券圏外に敗退した。
最後に表5は前走未勝利戦組の好走馬6頭である。この未勝利戦組のうち、前走でサウジアラビアロイヤルCと同距離の1600m戦に出走していた馬は、2着馬とのタイム差がカギを握っている。2着に0.4秒以上の差をつけていた馬は【1.0.2.5】複勝率37.5%を記録するのに対し、0.3秒以下だった馬は【0.0.0.7】。着差でいえば2馬身半以上の差で勝ってきた馬が狙いになる。
前走が別距離の未勝利戦だった馬は、本競走と同じ芝1600mでの連対実績が必要だ。別距離組のうち、芝1600mで連対実績があった馬は【2.0.1.0】と全馬が馬券に絡む一方で、この距離での連対実績を持たない馬は【0.0.0.7】と好走がない。
以上、サウジアラビアロイヤルCの傾向をまとめてみた。表1で記したように人気馬が安定しているレースだが、その中でもより信頼性が高い馬をいかに見つけ出せるかがポイントになる。前走クラスや距離、コースなどによって好走確率に大きな違いが出るため、各馬をしっかりと見極めて取捨を決めたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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