JRA-VANコラム
前走G1出走馬の争いか? 京都大賞典分析
今年は阪神競馬場の芝2400mで代替される京都大賞典。1着馬には天皇賞(秋)への優先出走権が与えられるステップレースだが、間隔をとって本競走と同距離のジャパンCへ向かう馬のほうが近年は多くみられ、今年も2000mを超える距離での実績馬が多数登録してきた。この京都大賞典過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。
過去10年、1番人気は【3.1.2.4】複勝率60.0%でまずまずといったところ。2~6番人気はいずれも複勝率30.0%以上、そして7番人気は連対率20.0%で、この7番人気以内で3着以内馬30頭中28頭を占める。残る2頭、2013年のヒットザターゲットと2019年のドレッドノータスはともに11番人気で優勝。この2頭は芝2000mで重賞勝ちがあり、2000mを超える距離のオープン・重賞では馬券に絡んだ経験がなかった。
年齢別では4、5歳馬が8連対ずつ。勝率は5勝を挙げる5歳馬がやや高く、連対率や複勝率は4歳馬が好成績を残している。この4、5歳勢が中心で、6~7歳は計【2.2.5.39】連対率8.3%、複勝率18.8%と劣勢だ。
※出走取消を挟む馬を除く
前走クラス別では、中央競馬のG1に出走していた馬が【6.5.8.23】。3着以内馬の約3分の2を占め、複勝率45.2%をマークする。中でも前走5着以内馬が複勝率58.3%と優秀だが、6着以下だった馬でも同40.0%と、オープン特別やG3、G2組を大きく上回る成績を残している。
その他では3勝クラス組が【0.1.1.3】複勝率40.0%で、馬券に絡んだ2頭・2018年2着レッドジェノヴァと2019年3着シルヴァンシャーは連勝中の4歳馬。レッドジェノヴァは2走前に芝2600m、シルヴァンシャーは前走と3走前に芝2400mと、どちらも芝2400m以上のレースを含む連勝中だった。昨年は芝2000mで2連勝中の4歳馬・カセドラルベルが出走したが10着に敗退している。
前走G1組の前走レース・着順別成績をみると、宝塚記念で5着以内に入っていた馬が【3.1.2.2】で複勝率75.0%と抜群だ。前走6着以下だった馬は宝塚記念組が【3.1.3.9】複勝率43.8%、その他のレースが計【0.3.2.9】同35.7%と、5着以内だった馬ほどの差はついていない。
表5は前走G1(中央)6着以下から巻き返して馬券に絡んだ12頭で、前走2桁人気・2桁着順だったアルバートのような例もある。このうち、優勝したヒットザターゲット、サトノダイヤモンド、グローリーヴェイズには「宝塚記念組の5歳馬」という共通点があった。前走G1・6着以下の馬全体では複勝率40.0%(表3)だったが、このうち5歳馬は【3.2.1.4】同60.0%の好成績だ。
【結論】
前走G1組、中でも宝塚記念組の好走が多い京都大賞典。特に好走確率が高いのは宝塚記念で5着以内だった馬で、今年の該当馬はキセキ1頭だ。ただ、本馬は7歳という年齢が気になるところ(表2)。そこで同レース8着の5歳馬・モズベッロに注目したい。表5本文で記したように、前走G1・6着以下から巻き返して勝利を飾っているのは宝塚記念組の5歳馬のみ。昨年の日経新春杯以来となる勝利を手にするチャンスはありそうだ。
その他では前述のキセキのほか、4~5歳の前走G1組・アリストテレスやオセアグレイトあたりが有力。穴っぽいところでは芝2400mで条件戦連勝中の4歳馬・アイアンバローズと、芝2000mの重賞ウイナー・ロードマイウェイの名前を挙げたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。