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JRA-VANコラム

昨年に続いて中京開催となるシルクロードSを展望する

2022年1月27日 16:00配信
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2021/6/13 札幌11R 函館スプリントステークス(G3) 1着 14番 ビアンフェ

高松宮記念へとつながるG3・シルクロードSは、京都競馬場が改修中のため昨年に続いて中京開催となる。いつものように過去10年のデータを参照するが、異なるコースを一緒に扱うことはできない。そこで今回は、京都開催の12~20年の9年分のデータを元に、中京開催の昨年がどのような結果になったのかを確認し、今年のレースを展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績(12~20年)。1番人気の成績があまりよくなく、好走は2勝と2着1回の計3回。単複の回収率も30%台にとどまっている。対して、9年間で4勝の2番人気以下、5番人気までは概ね水準以上の回収率を記録。この通り、京都開催では1番人気を除く上位人気馬が好成績を収めていた。ただし、これは1、2着に限った話。3着には1~6番人気が1頭も入らず、すべて7番人気以下が記録。しかも、そのうち7頭は10番人気以下という珍しい傾向が残っている。

では昨年はどうだったかといえば、4番人気のシヴァージが1着、3番人気のライトオンキューが2着、2番人気のラウダシオンが3着。一方、1番人気のモズスーパーフレアは17着に敗れている。3着に人気薄が飛び込むことはなかったものの、1番人気以外の上位人気が強い傾向は中京開催の昨年も引き継がれる結果となった。

■表2 牡牝別・年齢別成績

表2は牡牝別と年齢別の成績を表したもの(12~20年)で、セン馬は牡馬に含めている。牡牝の比較では、京都開催では若干牝馬のほうが高い好走率を記録。ただし、中京開催の昨年は牡馬が1~3着を占める結果となった。左右の回りが異なることや、最後の直線が平坦の京都、急坂の中京といったレイアウトの違いも影響しているのかもしれない。

年齢別では7歳以上が苦戦しているものの、4~6歳なら大差ない好走率を記録。単勝回収率も同程度だが、複勝回収率では差がついており、5歳の104%や6歳の189%は目を引く。昨年は1、2着に6歳、3着に4歳が入った。5、6歳の穴馬が3着に入ることはなかったが、年齢傾向としては京都開催と概ね同様と言っていいのではないか。

■表3 ハンデ別成績

表3はハンデ別成績を牡牝に分けて表したもの(12~20年)。牡馬から見ていくと、牡馬の1着馬6頭はハンデ56.5キロ以上から出ていることがわかる。そこで「牡馬56.5キロ以上」と「牡馬56キロ以下」に分けた成績を出してみると、前者は【6.3.2.22】、勝率18.2%、複勝率33.3%、単勝回収率83%、複勝回収率114%とやはり優秀だ。一方、後者は【0.3.5.66】、複勝率10.8%、複勝回収率93%という成績。好走率のわりに複勝回収率が高く、京都開催では56キロ以下で人気薄の牡馬が2、3着に入るケースが少なくなかったことが見て取れる。

一方、牝馬の好走は53キロ~55.5キロに限られる。そのなかにあって54キロの好走例がまったくないのは無視できないが、牝馬のハンデはこの範囲が基本と考えたい。このゾーンよりハンデが重くても、軽くても、京都開催の12~20年で好走した牝馬はいなかった。

牡馬が1~3着を占めた中京開催の昨年はどうだったかというと、順に56キロ、57.5キロ、57キロのハンデを背負っていた。56.5キロ以上の牡馬がしっかり2頭馬券になったのは京都開催と同じだが、56キロ(以下)の牡馬が勝ったのは異なる結果と言える。

■表4 前走クラス別・レース別成績

表4は、前走クラス別と前走レース別の成績をそれぞれ表したもの(12~20年)。前走レース別では、好走例があるオープンクラスのみ掲載している。

前走G1の好走馬3頭はすべて牡馬で、いずれもハンデ57キロ以上という共通項がある。なおかつ前走のG1で9番人気以内なら【2.1.0.1】。このデータに含まれない昨年も、2着のライトオンキュー、3着のラウダシオンはハンデ57キロ以上で、なおかつ前走のG1では9番人気以内だった。

前走G2は【2.0.1.12】という成績だが、2勝はいずれもダンスディレクターがマーク。あとの好走は3着1回だけで、数値としては前走G1やG3と大差ないが、実際には見た目ほどの成績ではないかもしれない。昨年出走の2頭も4着以下に終わっている。

前走G3の好走馬は、5頭とも京阪杯を使っていた。その京阪杯で勝つか、負けてもタイム差が0秒5以内だった馬は【3.2.0.2】の好成績。昨年1着のシヴァージも、0秒2差5着の京阪杯以来の出走だった。

重賞以外では、淀短距離Sの好走例が圧倒的に多い。しかし、オープン特別時代は【1.5.3.17】だったのに、リステッド競走に指定されてからは【0.0.1.10】と直結度が大幅に下がっている。昨年も4頭出走して8着が最高と不振傾向が継続しているのは気になるところだ。

淀短距離S以外のオープン特別・リステッド競走は合わせて【1.0.2.38】と苦戦。昨年も【0.0.0.4】という結果に終わっている。数少ない好走馬3頭は前走で1、2番人気に推されており、これは最低条件とみなしたい。

なお、前走3勝クラスにも好走例はあるが、今年は登録がなかったため割愛する。

【結論】

今年のシルクロードSは、フルゲート18頭のところ23頭がエントリー。そのなかから今回分析したデータをもとに有望と思われる馬を紹介していこう。

前走G1は3頭で、いずれもスプリンターズSに出走。このうちジャンダルムとビアンフェはハンデ57キロ以上の牡馬(セン馬)で、前走9番人気以内という好走条件にも合致する。ただし、ジャンダルムは今年で7歳と好走率が下がる年齢に差し掛かってきた。年齢的には5歳のビアンフェのほうが有力と言える。

もう1頭は牝馬のメイケイエール。スプリンターズSでは最先着(4着)を果たし、人気も9番人気以内だった。ハンデ55キロも牝馬の好走ゾーンに合致する。前走G1組は牝馬の好走例がなく、中京開催の昨年も3着に入れなかったが、まったくのノーチャンスではないだろう。

前走G2はカレンモエが該当。この馬も牝馬で、ハンデは好走ゾーンの55キロとなった。父のロードカナロアは12年の勝ち馬で、母のカレンチャンともども中京芝1200mでG1を勝っている。これまで重賞4戦で2着3回と惜敗が続いているが、両親譲りの適性をここで爆発させたいところだ。

前走G3は京阪杯組のみが好走。京都開催で3勝を挙げ、中京開催の昨年も勝った好相性の前走だ。ただし、今年出走の2頭は京阪杯で0秒9差の敗戦を喫しており、好走条件を満たせなかった。

前走オープン特別・リステッド競走では淀短距離S組が最多好走も、リステッドに指定された19年以降は苦戦。今年登録の5頭も、好走がない、あるいは好走率が非常に低い年齢やハンデに該当している。

淀短距離S以外のオープン・リステッド競走組は前走1、2番人気が条件。ラピスラズリS1番人気1着の5歳牝馬エーポスは、ハンデ55キロで有望な存在となりそうだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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