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JRA-VANコラム

待望の重賞初制覇! 岩田望来を分析する

2022年3月14日 16:00配信
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2022/2/19 阪神11R 京都牝馬ステークス(G3) 1着 7番 ロータスランド

岩田康誠騎手の次男である岩田望来騎手は、2019年にJRAの騎手(藤原英昭厩舎所属)としてデビュー。初年度はJRAで37勝を挙げ、20年は76勝。21年は88勝をマークして、全国リーディング6位の成績をあげた。同5位は美浦の横山武史騎手であり、岩田望来騎手は関西(栗東)期待の若手の筆頭格と言っていい。ただ、重賞にはあまり縁がなく、なかなか勝利することができなかった。エフフォーリアの主戦としてG1でも大ブレイクした横山武史騎手とは非常に対照的だ。同期である菅原明良騎手、団野大成騎手、斎藤新騎手、亀田温心騎手は昨年までにJRAの重賞を勝ったているだけに、岩田望来騎手が何故勝てないのか不思議でもあった。

しかし、今年2月19日に阪神芝1400mで行われた京都牝馬Sで、5番人気のロータスランドを勝利に導き、待望のJRA・重賞初制覇を果たした。少し時間はかかったが、岩田望来騎手にとっては大きな勝利になったことだろう。今年はすでにJRAで32勝(3月6日開催終了時点)を挙げ、全国リーディング2位につけている。重賞でもバリバリ活躍する年になるかもしれない。そこで今回は岩田望来騎手のここまでの成績を振り返ってみることにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。

■表1 岩田望来騎手のJRA・クラス別成績(2019年3月2日~22年3月6日)

表1は岩田望来騎手のJRA・クラス別成績。データの集計期間は2019年3月2日から22年3月6日まで(以下、同様)となっている。重賞成績は【1.6.4.89】で、勝率1.0%、連対率7.0%、複勝率11.0%という数字は、他のクラスの成績に比べると確かに低い。平場戦と特別戦との成績を比較すると極端に大きな差はないが、重賞だけは不思議と苦しんでいた。

勝率はオープン特別(L)が12.0%、未勝利と3勝クラスが10.9%と高く、連対率はオープン特別(L)が24.0%でトップ。複勝率は32.7%の3勝クラスが最も高かった。全体的には3勝クラスの成績が非常にいい印象だ。新馬や未勝利の単勝回収率がともに100%を超えている点も注目だ。

■表2 岩田望来騎手の3勝クラスの人気別成績

表2は岩田望来騎手の3勝クラスの人気別成績。1番人気が【7.2.6.6】で勝率33.3%、2番人気が【3.2.3.2】で連対率50.0%、複勝率80.0%と1、2番人気の時の成績が素晴らしい。単勝回収率は1~4番人気で100%を超えており、複勝回収率も1~2、4番人気が100%を超えている。上位人気馬に騎乗した時の信頼感が高い。3勝クラスは常に多頭数で、実力伯仲の混戦になりやすい、というイメージがあるので、軸馬選びの際に知っておくといいデータかもしれない。

■表3 岩田望来騎手のJRA・重賞の人気別成績

表3は岩田望来騎手のJRA・重賞の人気別成績。5番人気での好走は、京都牝馬Sのロータスランドのほか、21年アイルランドトロフィー府中牝馬Sのアンドラステ(2着)、同年チャレンジCのペルシアンナイト(3着)がある。5番人気だけみれば勝率14.3%、連対率28.6%、複勝率42.9%という成績はいい。3勝クラスの成績と比較すると明らかだ。3番人気の複勝率30.0%も悪くない。1~2番人気は、複勝率以外は成績ひと息という感じだが、騎乗機会数自体がまだ少ない印象だ。騎乗回数が増えれば、ガラリと成績が変わる可能性はある。

■表4 岩田望来騎手の厩舎別成績

続いて表4は岩田望来騎手の厩舎別成績。やはり所属している藤原英昭厩舎の馬に最も多く騎乗し、34勝を挙げている。次に多く勝っているのが野中賢二厩舎で、以下池江泰寿厩舎、友道康夫厩舎と続く。6勝を挙げている高野友和厩舎は勝率や連対率、複勝率が非常に高い。関東の厩舎では戸田博文厩舎の騎乗回数が多い。美浦は高木登厩舎や、加藤征弘厩舎、国枝栄厩舎の好走率が高い。

■表5 岩田望来騎手の競馬場別成績(芝)

表5は岩田望来騎手の競馬場別成績(芝)。まだ札幌と函館で騎乗したことが一度もないのは意外だった。夏は小倉で騎乗していることが多く、なかなかいく機会がないのだろう。今のところJRA全10場の芝では阪神の騎乗が最も多い。ただ、勝率や連対率は中京が最も優秀。複勝率は小倉が34.0%と最も高い。

■表6 岩田望来騎手の競馬場別成績(ダート)

表6はダートの競馬場別成績。芝同様、中京の成績が非常にいい。勝率・連対率・複勝率すべてにおいてトップの数字だ。また、ダートにおける岩田望来騎手の脚質別成績を調べたところ、逃げが【31.8.9.41】で勝率34.8%、連対率43.8%、複勝率53.9%、単勝回収率219%、複勝回収率120%という数字だった。勝率がかなり高く、2着や3着の回数に比べて、1着の回数がかなり多い印象を受ける。ダートでハナを奪って、そのまま押し切るというのが、岩田望来騎手の勝ちパターンの一つになっている。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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