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JRA-VANコラム

3連単100万円以上の大波乱G1の特徴とは?

2022年4月4日 16:00配信
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2022/3/27 中京11R 高松宮記念(G1) 1着 2番 ナランフレグ

先々週行われた高松宮記念は8番人気ナランフレグが優勝。3着に17番人気キルロードが激走し、3連単278万4560円の大波乱となった。忘れた頃に飛び出すG1での3連単100万円以上の超特大馬券。今回のデータde出~たでは、2012年以降のG1において3連単100万円超となったレースをピックアップし、そのレース傾向ならびに激走馬の特徴などを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 3連単100万円以上となったG1一覧(2012年以降)

表1は2012年以降の平地G1において、3連単100万円以上となったレース一覧。ナランフレグが勝利した今年の高松宮記念を含めて計9回飛び出している。この間の平地G1数が235鞍で、約3.8%の割合となっている。14年、16年、20年のように一度も出ない年もあるが、平均すると一年に一度あるくらいの確率となっている。一番左の開催日に注目すると春季の3~5月で7回と集中。秋冬よりも春季のG1シーズンで多く飛び出している

単勝万馬券となったのは12年の天皇賞(春)における14番人気・1万5960円のビートブラックのみ。他の8レースの勝ち馬は3~10番人気で単勝配当は780~6490円だった。なお、2014年のフェブラリーSでは単勝272.1倍の16番人気コパノリッキーが優勝したものの、2番人気馬が2着、1番人気馬が3着に入り、3連単94万9120円と100万円超にはなっていない。

この中で12年の天皇賞(春)のみ特殊なケースで、圧倒的な1番人気(単勝1.3倍)に推されたオルフェーヴルが11着に敗れたことも3連単100万超になった大きな要因だった。上位3頭の人気の合計は19と9レースの中で唯一20を切っている。

全9レースにおいて合致するのは、①1番人気馬が馬券圏外に敗退、②10番人気以下の人気薄が1頭は3着以内に激走、ということ。12年天皇賞(春)以外では、①1,2番人気馬が馬券圏外に沈む、②3着以内馬の人気の合計が24以上、ということだ。人気の合計が35と最大となった15年のヴィクトリアMでは3着に18番人気ミナレットが激走し、3連単2070万5810円とJRAG1史上最高配当が飛び出している。

■表2 3連単100万円以上となったG1・9レースの単勝オッズ成績

表2は表1で示した3連単100万円超のG1・9レースにおける単勝オッズ成績。9レースすべて1番人気馬は3倍を切る単勝オッズだったが、いずれも4着以下に敗れている。単勝オッズ7倍未満の20頭は一頭も馬券に絡んでおらず、これも3連単100万馬券の大きな要因だ。

一方で、単勝20倍以上の馬が5勝しており、計17頭馬券に絡んでいる。全レースで10番人気以下の馬が好走しているが、その中で最も単勝オッズが低かったのが13年NHKマイルCで勝利したマイネルホウオウの34.3倍。9レースすべてで34.3倍以上の人気薄が馬券に絡んでいるということだ。

■表3 3連単100万円以上G1・9レースにおけるノーザンファーム生産の3着以内馬一覧(2012年以降)

これまではレース傾向を示したが、これからは好走馬の特徴を探っていく。表3は9レースの中で3着以内に入ったノーザンファーム生産馬一覧。18年日本ダービーにおけるワグネリアンら3勝をあげており、計10頭が馬券に絡んでいる。12年天皇賞(春)の2頭は2・3番人気だったが、その他の8頭はすべて5番人気以下だった。またすべて1600m以上で1200m戦では馬券に絡んでいない。

18年日本ダービーで3着に激走したコズミックフォースは前走でプリンシパルSを勝利していたが、ダービーでは単勝オッズ223.7倍の16番人気とまったくの人気薄だった。1600m以上のG1で大波乱を想定する場合、ノーザンファーム生産馬には注目しておきたい

■表4 3連単100万円以上G1・9レースにおける前走からの斤量増減別成績(2012年以降)

表4は9レースにおける前走からの斤量増減別成績。斤量増の馬が6勝、増減なしの馬が3勝をあげているが、注目は斤量減の馬。勝ち星こそないものの、2着が4回で連対率・複勝率40%と非常に高い。先日の高松宮記念でもロータスランド(前走京都牝馬S56kg1着→高松宮記念55kg)で2着と好走している。

2012年以降のG1・235レースでも、複勝率で斤量増15.0%、増減なし20.4%、斤量減25.3%となっている。G1では常に斤量減の馬に注意しておきたい

■表5 3連単100万円以上G1・9レースにおける前走から継続騎乗or乗り替わり比較(2012年以降)

表5は9レースにおける前走から継続騎乗か乗り替わりかの比較。2012年以降のG1・235レースでは継続騎乗の方が複勝率は高いのだが、表5では乗り替わりの方が複勝率は高くなっている。また単勝回収率・複勝回収率でも大きな差が出ている。

継続騎乗で3着以内に入った14頭中13頭は9番人気以内。一方、乗り替わりで好走した13頭中11頭は10番人気以下の人気薄だった。前走からの乗り替わりが人気面でマイナスに作用し、波乱の要素となっているのではないか。大波乱を見込むG1では乗り替わりはむしろ新しい面を引き出す上で歓迎といえるだろう。

■表6 3連単100万円以上G1・9レースにおける10番人気以下の前走脚質別成績(2012年以降)

最後に表6は9レースにおいて10番人気以下の前走脚質別成績。計12頭が3着以内に入っているが、前走逃げ・先行馬で過半数の7頭を占めている。前走逃げた馬で連対した3頭はいずれも12番人気以下、前走先行して3着以内に入った4頭はいずれも14番人気以下だった。

12年の天皇賞(春)を14番人気で勝利したビートブラックは前走の阪神大賞典で先行して勝ち馬と4秒差の10着と大敗。しかし、天皇賞では途中からハナに立つ形になり、4馬身差の快勝。人気薄でも前走で前に行った馬の激走は常に気をつけておきたい。

3連単100万馬券を獲るコツはその買い目を入れておくことなのだが、闇雲に買っていたのでは難しい。1番人気馬が危険と思われるG1では人気薄もカバーして、いつか3連単100万馬券を手にしたいものだ。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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