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JRA-VANコラム

スプリントの新王者が誕生する高松宮記念を展望する

2022年3月24日 16:00配信
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2022/1/30 中京11R シルクロードステークス(G3) 1着 3番 メイケイエール

ここ数日、全国各地で桜の開花宣言も聞かれるようになってきた。中央競馬では今週末から春のG1シーズンがスタートする。開幕戦となるのは高松宮記念。今年の出走登録20頭に芝1200mのG1勝ち馬はおらず、どの馬が勝っても新しい短距離王者の誕生となる。そんな春のスプリント王決定戦を、過去10年のデータから展望していこう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。過去10年の1~3着馬延べ30頭中20頭を1~3番人気が占めており、有力馬がしっかり馬券圏内を確保していることが見て取れる。ただし、1番人気は勝率20.0%、連対率30.0%など水準に満たず、やや心許ない。本当に優秀な数値を残しているのは2、3番人気だ。上位人気馬が3着以内を占めているぶん、穴馬の出番は控えめ。とはいえ、20年に繰り上がりではあるもののモズスーパーフレアが9番人気1着したほか、10番人気以下も4頭馬券になって複勝回収率119%。穴馬が来るときには、かなりの人気薄が突っ込んでくる傾向が見られることにも注意しておきたい。

■表2 枠番別成績

過去10年のうち、半分の5回は稍重~不良で行なわれている高松宮記念。今年も週末に天気が崩れるという予報もある。そこで、表2の枠番別成績では「良」と「稍重~不良」に分けたものを掲載した。

まず言えるのは、馬場を問わず1枠が振るわないこと。それでも良では3着が1回あるが、稍重~不良では1頭も好走していない。一方、7、8枠は馬場状態によって結果が変わってくる。良では合わせて【0.1.1.27】と苦戦しているのに対し、稍重~不良では【2.3.1.24】と出番が増える。外枠を引いた馬に関しては、当日の馬場状態に応じて微調整を施したいところだ。

■表3 牡牝別・年齢別・所属別成績

表3は牡牝別・年齢別・所属別の成績。牡牝別(セン馬は牡馬に含む)では牡馬の好走率がやや高いものの、明確に有利と呼べるほどの差ではない。牡牝は概ね互角と考えていいのではないか。年齢別では4~6歳の連対率、複勝率がほぼ同等。ただし、6歳の1着は昨年のダノンスマッシュだけで、2着どまりのケースが目立つ。7歳以上は15年に香港のエアロヴェロシティが勝った例があるだけで、日本馬の好走はない。所属別では8勝の関西馬が、1勝の関東馬を勝利数では圧倒。ただし、複勝率では関東馬がわずかながら上回っており、複勝回収率は200%にも達する。2、3着に関東所属の穴馬が突っ込むパターンには注意しておきたい。

■表4 4角通過順別成績

表4は4角通過順別成績で、上半分が今走、下半分が前走のものを表している。まずは今走、すなわち高松宮記念のほうから見ていくと、4角1番手から5~6番手までが安定した好走率をマーク。ある程度は前に行ったほうが3着以内に入りやすい傾向が見られる。7番手以降になると好走率を落とし、10番手以降から勝った馬は1頭もいない。ただし、10~12番手の複勝回収率261%は侮れず、差し馬の激走には注意したい。さらに後ろの13番手以降から好走したのは、延べ50頭で14年2着のスノードラゴンだけとなかなか馬券圏内には届かない。

続いて前走に目を転じると、前走4角1番手の好成績が際立つ。特に回収率が高いことから、前走で逃げていたというだけでも警戒すべきかもしれない。2番手以降に関してはあまり特徴が見られないが、13番手以降の苦戦は明確。前述した今走のデータを考えても、極端に後ろから行く馬には厳しいレースとなっている。

■表5 前走レース別成績

表5は前走レース別成績。近年では前哨戦を使わずにG1に直行する馬が普通になってきたが、高松宮記念の好走馬は大半が前哨戦を走っている。過去10年、シルクロードS、阪急杯、オーシャンSのいずれかが前走という馬で、合わせて8勝、2着7回、3着9回を記録。今後は高松宮記念でも直行馬が増えてくるのかもしれないが、現時点では前哨戦を使うローテーションが主流となっている。この3レース以外で複数の馬が好走を記録している前走は、前年末の香港スプリントのみ。あとは、散発的な状況となっている。

■表6 前走シルクロードS出走馬のデータ

表6は「前走シルクロードS出走馬」の前走人気別と着順別の成績。シルクロードSで6番人気以下だった馬の好走はなく、人気に関しては1~5番人気には収まっておきたい。

着順も似たような傾向で、好走の大半は1~5着馬から出ている。唯一の例外は、19年にシルクロードS15着→高松宮記念2着のセイウンコウセイで、同馬は17年の高松宮記念勝ち馬である。

■表7 前走阪急杯出走馬のデータ

表7は「前走阪急杯出走馬」の前走人気別と着順別の成績。まず、阪急杯で1番人気に推されていた馬の成績はかなり良好。以下、好走があるのは2~4番人気までで、5番人気以下だった延べ21頭は馬券圏外というシビアな傾向が出ている。

着順も近い傾向を示しており、1着の成績がよく、2~4着ならまずまず。巻き返したのはただ1頭、19年に阪急杯7着→高松宮記念1着のミスターメロディだけとなっている。ただし、20年のクリノガウディーは阪急杯7着→高松宮記念1位入線4着降着だったことを無視するわけにはいかない。基本的には4着までには入っておきたいが、ミスターメロディが阪急杯1番人気、クリノガウディーも同3番人気で、上位人気だった馬の逆襲には気をつけておいたほうがいいかもしれない。

■表8 前走オーシャンS出走馬のデータ

表8は「前走オーシャンS出走馬」の前走人気別と着順別の成績。1番人気の好走率はまずまずだが、2、3番人気だと3着まで。以下、4、5番人気や6~9番人気の好走はないのに、10番人気以下だった馬が本番で2頭好走しているのは目を引く。

着順の傾向は注目に値する。気をつけたいのはオーシャンS1着馬で、出走した8頭はすべて本番で馬券圏外に終わっている。むしろ2着馬のほうが狙いやすく、4~9着馬の好走例もある。複勝回収率の高さを考慮しても、1着以外のひとケタ着順に収まっている馬には注意を払っておきたい。

■表9 芝1200mG1の最高着順別成績

表9は、過去に出走した芝1200mG1の最高着順別成績。当たり前かもしれないが、芝1200mG1で最高1着がある馬、最高2着がある馬の数字が抜けており、好走率がより高いのは後者だ。今年の出走馬には芝1200mのG1馬がいないことを考えても、2着の実績を持つ馬は例年以上に有力とみるべきかもしれない。しかし、3着の実績はあまり活きないのか、芝1200mG1未出走馬とさほど変わらない複勝率にとどまる。

【結論】

前哨戦を使った馬の好走が多い高松宮記念。まずは3つの前哨戦G3を使ってG1奪取に挑む馬から見ていきたい。

前走シルクロードSの場合、そこで1~5番人気かつ1~5着であることが条件となることを表6の項で確認した。今年これを満たすのは2番人気1着のメイケイエール。2着のシャインガーネットは7番人気というのがデータ上のネックとなる。

前走阪急杯の場合、そこで1番人気や1着だった馬の成績が優秀。となると1番人気1着のダイアトニックは有望ということになるが、気になるのは7歳の年齢だ。表3の項で見た通り、7歳以上で好走したのは香港のエアロヴェロシティだけで、日本馬は1頭もいない。衰えぬ走りでデータを覆すことはできるか。そのほか、好走の目安は4番人気以内、4着以内だが、両方を満たす馬はいない。

前走オーシャンSの場合、1着馬が本番で不振ということを述べた。今年1着だったジャンダルムは7歳という年齢との戦いともなり、ふたつの逆風を跳ね返せるか。好走例があるのは、2~3番人気および10番人気以下で、2~9着だった馬。該当するのは3番人気9着のファストフォースと、8歳馬だが12番人気8着のダイメイフジの2頭となる。

前哨戦を使わなかった馬では、もちろんレシステンシアも忘れてはならない。芝1200mG1で2着の実績を持つ唯一の出走予定馬で、表9のデータを考慮するとスプリントG1での初戴冠の可能性は十分にあるだろう。

また、前走で4角1番手の馬がいればデータ上では注目だったが、今年の登録馬20頭に該当馬はなし。そのほか、芝1200m戦初出走となるグレナディアガーズ、サリオス、ロータスランドの3頭に関しては、前回の記事を参照していただきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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