JRA-VANコラム
七夕賞の連軸・相手候補の考え方について
先週、夏の福島開催がスタートし、重賞はラジオNIKKEI賞が行われた。今週の重賞もハンデ戦の七夕賞が組まれている。いつものように過去10年のデータを分析して、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は七夕賞の人気成績(過去10年、以下同様)。1番人気が【2.1.1.6】とあまり強くなく、2017年ゼーヴィント(1着)以降はすべて4着以下に敗れている。ハンデ戦ということもあるせいか、1番人気の信頼度はあまり高いレースではない。複勝率の40.0%は他の人気順よりも比較的いい成績だが、連対率は30.0%で2、3、5番人気と同じだった。1~5番人気で見た場合、成績は【8.5.1.36】となり連対馬の65%を出していることになる。1番人気の信頼度は高くないが、連軸馬は5番人気以内から選ぶのが最適と言えるだろう。
一方、6番人気以下の成績は【2.5.9.86】。単勝回収率152%、複勝回収率154%と馬券的にもかなり魅力的だ。特に7番人気は【0.3.2.5】と複勝率は50.0%もある。10番人気以下の激走も多く、11番人気と14番人気からそれぞれ勝ち馬が出ている。連軸馬は5番人気以内から選びたいが、相手の馬は6番人気以下から積極的に探してみたい。
表2は七夕賞を1~5番人気で好走した馬。具体的にどんな成績を持っていた馬が好走したのかを調べることにする。前走レースは鳴尾記念が最も多く、次にエプソムCが多い。前走着順はバラバラで6着以下から巻き返した馬も4頭いた。
注目したい実績(備考)は過去1年以内に芝1600~2500mのG2以上で5着以内か、オープンクラスの福島芝2000mで連対、というもの。17年2着マイネルフロストを除く13頭にはその実績があった。
表3は七夕賞を6番人気以下で好走した馬。表2と同じように前走成績と注目したい実績(備考)を記した。前走レースは米子S組が2頭いるだけで、あとはすべて違うレースだった。1000万(現2勝)から海外のG1までクラスも幅広い。前走着順は10着以下だった馬が8頭もいた。仮に前走大敗している馬であっても、悲観する必要はないことがわかる。
注目したい実績は過去1年以内に3勝クラス以下の芝・ダート1600m以上を勝っているかどうか。昨年7番人気で2着に入ったロザムールを含め、9頭がこの実績を持っていた。表2の該当馬とは違い、比較的最近オープンクラスに上がった馬にチャンスがあるというわけだ。
その他では13年2着トレイルブレイザー(過去にG2を2勝)のように目立つ重賞実績を持つ馬が穴になるパターン、18年3着パワーポケットや15年3着マデイラのように近走不振続きの馬がいきなり激走する例もあるので、相手選びは非常に難しいレースだ。
【結論】
それでは今年の七夕賞を占っていくことにする。出走予定馬は表4の通り。
出走予定馬の前走成績と、注目すべき実績を記した。過去1年以内に芝1600~2500mのG2以上で5着以内もしくはオープンクラスの福島芝2000mで連対実績(備考1)、または過去1年以内に3勝クラス以下の芝・ダート1600m以上で1着の実績(備考2)があった馬をチェックした。
過去1年以内に芝1600~2500mのG2以上で5着以内かオープンクラスの福島芝2000mで連対実績がある馬は何頭かいたが、レース当日上位人気に支持されそうな馬としてヒートオンビートとアンティシペイトに注目してみたい。後者は備考2の実績も持っており、仮に6番人気以下であっても狙えるタイプだ。
相手候補となる、過去1年以内に3勝クラス以下の芝・ダート1600m以上で1着の実績があるのはエヒト、エヴァーガーデン、フォルコメン、プリマヴィスタ、ヤマニンデンファレ。フォルコメンは前走ダービー卿チャレンジトロフィーで結果を出してしまったが、他4頭は3勝クラスを勝ってから今回で3戦目以内と、まだ重賞経験は浅い。あまり人気はなくても、狙ってもいいタイミングだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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