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JRA-VANコラム

夏開催の2歳芝1200m戦で強い騎手、厩舎、種牡馬は?

2022年7月11日 16:00配信
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今週土曜に組まれているのは、2歳世代初の重賞となる函館2歳S(芝1200m)。このレースに関連して、今回は「夏開催の2歳芝1200mの騎手別・厩舎別・種牡馬別成績」を調べてみたい。集計期間は、過去5年(2017~21年)の夏開催に加え、今年分(7月3日まで)も対象とした。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 夏の2歳芝1200m・騎手別成績

表1は騎手別成績(着別度数順で10位まで。以下同)。夏開催の2歳芝1200mでもっとも勝っているジョッキーは誰かといえば、いずれも17勝を挙げている武豊騎手と福永祐一騎手。武豊騎手の成績で際立つのが、過去5年で小倉2歳Sを3勝していること(17年アサクサゲンキ、18年ファンタジスト、20年メイケイエール)。福永騎手は重賞勝ちこそないものの、勝率36.2%、単勝回収率113%という抜群の数値を記録している。そのほか、北村友一騎手や藤岡佑介騎手、川田将雅騎手も優秀な成績を収めている

■表2 夏の2歳芝1200m・騎手別成績(函館限定)

表2は函館に限った騎手別成績。最多の6勝で池添謙一騎手、横山武史騎手、藤岡佑介騎手の3人が並ぶ。ランキング順を分けたのは2着数の差だが、1位の池添騎手は6勝に対して2着が11回と倍近くあり、券種でいえば馬連に適した傾向が表れている。勝ち切りが多いのは勝率30.0%の藤岡佑騎手で、過去5年の函館2歳Sでも3回騎乗して1勝(19年ビアンフェ)、3着1回と結果を出している。そのほか、函館常連の丹内祐次騎手と勝浦正樹騎手に加えて、今年久しぶりに参戦している鮫島克駿騎手はいずれも単勝回収率が200%を超えており、騎乗馬がいるレースでは注目してみたい。

■表3 夏の2歳芝1200m・厩舎別成績

表3は厩舎別成績。まず記しておきたいのが、上位10厩舎のうち中野栄治厩舎を除く9厩舎が関西所属ということ。これは、小倉で2歳の芝1200m戦が多く組まれる影響が大きいものと思われる。実際、1位の西園正都厩舎は8勝中6勝を小倉でマーク。その小倉6勝中、7番人気で2勝、12番人気で1勝と勝ち鞍の半分を穴馬で挙げており、人気薄でもまったく侮れない。2位の音無秀孝厩舎も全6勝中5勝を小倉で記録し、好走率では西園厩舎を上回っている。以下、松永幹夫厩舎、安田隆行厩舎、斉藤崇史厩舎なども甲乙つけがたい好走率を残しており、2歳夏の芝1200mに出走があれば注目の存在だ。

■表4 夏の2歳芝1200m・厩舎別成績(函館限定)

表4は函館に限った厩舎別成績。最多の4勝を挙げているのが中竹和也厩舎で、18年のアスターペガサス、19年のビアンフェが2勝ずつという内訳。両馬とも函館2歳Sを勝っている。ちなみに中竹厩舎は15年にもブランボヌールで函館2歳Sを制しており、出走機会3連勝中だ。2位の清水久詞厩舎も、17年函館2歳Sを制したカシアスなど【3.5.2.2】と極めて堅実な成績を収めている。2度の着外もともに4着と凡走らしい凡走はなく、函館芝1200mに2歳馬を使ってきたら狙ってみたい厩舎だ。

■表5 夏の2歳芝1200m・種牡馬別成績

表5は種牡馬別成績。最多勝はキンシャサノキセキで、19勝中13勝を挙げた1番人気で勝率40.6%と優秀。反面、2番人気以下の成績はひと息で、単勝回収率42%にとどまる。本命視されている場合は信頼できるが、それ以外では慎重に取捨していきたい。2位のロードカナロアは全16勝が1~3番人気に限られる。ただ4番人気以下では、勝ち切れないものの複勝回収率93%と一定の警戒は必要だ。回収率が高い種牡馬は5~9位に並んでおり、そのなかでも興味深い傾向を示しているのが6位のミッキーアイル。好走の大半を記録している小倉では【8.2.1.8】、勝率42.1%、複勝率57.9%、単勝回収率477%、複勝回収率183%と圧巻で、小倉2歳Sでは20年にメイケイエール、21年にナムラクレアと連覇中。ところが、小倉以外では【0.0.1.16】とまったく振るわないため、とにかく小倉で狙っていくのがセオリーだ。

■表6 夏の2歳芝1200m・種牡馬別成績(函館限定)

表6は函館に限った種牡馬別成績。キンシャサノキセキ、ロードカナロア、ダイワメジャーという1~3位の順番は、表5で確認した全競馬場と同じ。このなかで注目すべきはダイワメジャーで、表5の好走率に対して表6の函館限定の数値が大幅に上昇する。また、ダイワメジャーの後継にあたるカレンブラックヒルも同様に函館で数値を上げており、親子2代に共通する傾向としてまとめて押さえておきたい。もう1頭、ジョーカプチーノも函館の成績が非常によく、覚えておきたい種牡馬だ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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