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JRA-VANコラム

真夏のマイル重賞・関屋記念を展望する

2022年8月11日 16:00配信
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2022/3/19 中京10R 豊橋ステークス 1着 1番 ディヴィーナ

今週末の重賞は、いずれも日曜日に古馬重賞の関屋記念と小倉記念が組まれている。今回はサマーマイルシリーズの第3戦となる前者の傾向を過去10年のデータから調べてみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。1番人気の3勝は標準的だが、複勝率80.0%と安定して走っており、軸としては信頼できそう。一方、2番人気は1勝を除いてすべて4着以下に終わり、3番人気の成績も水準に届かない。その下の4~8番人気はいずれも複勝回収率80%以上を記録しており、特に4番人気は人気別で最多の4勝を挙げるなど抜群。いわゆる中穴までしっかり目を配らせておきたい。反面、10番人気以下は延べ75頭が走って3着以内に入った例がなく、極端な人気薄の激走は期待しづらい。補足としてオッズ的な目安を記しておくと、単勝20倍以上は【0.0.1.85】。穴っぽい馬を狙うにしても、10倍台には収まっていることが条件になりそうだ。

■表2 枠番別成績

表2は枠番別成績。過去10年の出走頭数(取消・除外前の頭数)は、フルゲートの18頭立てが6回、17頭立て、16頭立て、15頭立て、12頭立てが各1回で、多少のバラつきがある。そのため馬番と完全に呼応するわけではないが、大まかな傾向は見て取れる。まず言えるのが、7枠が4勝、8枠が3勝と、1着馬は外枠から出る年が多いこと。この7、8枠についてデータを少し掘り進めると、1番人気は【3.1.0.0】とほぼ完璧で、2~4番人気でも【4.1.0.4】の好成績。前項で不振と述べた2、3番人気だが、この人気から勝った2頭がいずれも8枠だったことは記しておきたい。さらに、5~9番人気も【0.3.1.8】と馬券に絡んでくる。7、8枠の馬がひとケタ人気に収まっていれば、ノーマークとはしないほうがいいだろう。

■表3 牡牝・年齢・所属別成績

表3は牡牝別、年齢別、東西の所属別の成績をそれぞれ表したもの。「牡牝別」では、牝馬の好走率が牡馬(セン馬を含む)を凌駕している。回収率の差はなく、妙味までは備えないが、安定して走っているのは牝馬だ。「年齢別」では、勝率と連対率は4歳、複勝率は3歳がトップの数値を記録。以下、年齢を重ねるほど数値が落ちていく傾向が見られ、基本的には若い馬が有利と考えられる。「東西の所属別」では、東西ともに5勝ずつで1着の数は互角。3着も5回ずつだが、2着は関西馬が9回と大きく偏っており、そのぶん連対率および複勝率で関西馬に軍配が上がっている。

■表4 前走クラス別成績(前走は平地のみ)

表4は前走クラス別成績。なお、前走が障害戦だった1頭は対象外とし、平地戦を走っていた馬のみを集計している。

出走例、好走例が多いのは前走G1組と前走G3組。なお、前走G1組は後述する表5、前走G3組は表6の項でそれぞれ改めてデータを紹介する。次いで出走例が多いのは前走オープン特別組だが、好走率としてはもうひとつ。また、2019年に新設された格付けである前走リステッド競走組は、まだ好走例がない。なお、これらの組は合算して表7の項で別途データを見ていく。

前走3勝クラス組は出走例が最少ながら、好走率はなかなかのもの。ただし、好走した2頭のうち、16年1着のヤングマンパワーはすでに重賞を勝っていた馬で、前年の関屋記念でも3着。4歳夏のクラス再編で降級し、1600万下(現3勝クラス)を勝ってきたものの、いわゆる条件戦上がりの馬とは同一視しづらいところがある。同馬を除いた前走3勝クラス組の成績は【0.0.1.5】となり、強調するほどの数字ではない。

そのほか、前走G2組は好走例がない。ただし、該当する8頭中6頭は関屋記念で10番人気以下の評価にとどまっていたことは留意すべきか。ふたケタ人気馬の好走がないのは表1の項で述べた通りで、関屋記念で有力視されるような馬はあまり採用しないローテーションなのかもしれない。

■表5 前走G1出走馬の各種データ

表5は、前走G1出走馬に関する3つのデータをまとめたもの。「前走着順別」は、1~5着に入っていれば【2.1.1.4】で、G1で掲示板を確保していた馬はさすがに有望だ。とはいえ、6着以下に敗れていた馬にもチャンスは残される。「前走人気別」は、強豪が集うG1だけあって1~5番人気に推されていた馬の数は限られ、6番人気以下だった馬のほうが高い複勝率を記録しているぐらいだから、あまり気にしなくていいだろう。むしろチェックすべきは「斤量の増減」で、前走のG1より斤量減となる馬が優秀な成績を収めている。そのなかでも牝馬は【2.0.2.3】と好調で、G1帰りの牝馬がいれば狙ってみる価値はありそうだ。

■表6 前走G3出走馬の各種データ

表6は、前走G3出走馬に関する3つのデータをまとめたもの。「前走着順別」の傾向はなかなか興味深い。前走G3組は過去10年で5勝しているが、1~5着に入っていた馬は1勝のみで、6着以下に敗れていた馬が4勝を挙げているのだ。連対率や複勝率を見る限り、安定感では前走1~5着馬に分があるものの、6着以下に敗れていても侮ってはいけない。「前走人気別」は明確な傾向が出ている。前走のG3で6番人気以下だった延べ53頭のうち、好走したのは15年2着のマジェスティハーツだけ。同馬を除く大半の好走馬は前走のG3で1~5番人気に推されており、これはなるべく満たしておきたい。「前走距離別」では、今回短縮となる馬の成績がもっともよく、次いで同距離。しかし、今回延長は出走例が少なく好走例もない。また、前走人気と絡めたデータを挙げておくと、「前走1~5番人気かつ今回短縮」なら【3.1.2.5】と優秀で、「前走1~5番人気かつ同距離」でも【2.6.2.12】と安定した成績を収めている。前走G3出走馬に関しては、このあたりをチェックしておきたい。

■表7 前走オープン特別・リステッド競走出走馬の各種データ

表7は、前走オープン特別・リステッド競走出走馬に関する2つのデータをまとめたもの。表4の項で述べた通り、この組は関屋記念であまり結果を残していないのだが、それでも狙うのであれば、すべての好走例が該当する「前走1~3着」と「前走1~5番人気」の条件は満たしておきたい。

【結論】

今年の関屋記念の登録馬は15頭で、フルゲート18頭に満たないため全馬が出走可能となっている。この15頭のなかから、今回のデータ分析における好走条件に多く合致する有力馬を紹介していきたい。

前走G1組は3頭がスタンバイ。そのG1で1~5着に入っていれば関屋記念で有望な存在になるが、今年の3頭は該当せず。とはいえ、この組でもうひとつの有力なデータである「斤量今回減」には3頭とも当てはまり、特に牝馬のディヴィーナは見逃せない存在となる。もちろん、牡馬のイルーシヴパンサーダノンザキッドの2頭にもチャンスはあるだろう。また、いずれも4歳馬という点もセールスポイントとなる。

前走G2組は2頭が該当。過去10年の関屋記念では好走がないものの、そもそも10番人気以下の評価にとどまる馬が多かったのも事実である。今年出走予定のスカイグルーヴとワールドバローズの前走はいずれも京王杯SCで、前者は2着、後者も4着と悪くない走りを見せており、データを覆して好走に結びつけたいところだ。

前走G3組は4頭。そして、この組でぜひとも満たしておきたい条件が、そのG3で1~5番人気に推されていること。該当するのは京都金杯で2番人気だったピースワンパラディと、エプソムCで3番人気だったザダル。この2頭では、距離が今回短縮となるザダルをより重視したい。

前走オープン特別・リステッド競走組は、関屋記念であまり結果を出していない。狙うのであれば前走で1~3着かつ1~5番人気を満たす馬で、今年該当するのは米子Sで1番人気1着のウインカーネリアン。ここで3着以内に入ればサマーマイルシリーズ優勝の条件を満たすだけに、力の入る一戦となりそうだ。

前走3勝クラス組ではエンデュミオンとゴールデンシロップが出走を予定。この組に限ったことではないが、表1の項で述べた人気、表2の項で述べた枠で好条件が揃うようなら警戒はしておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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