JRA-VANコラム
前走からの斤量増減がカギ! キーンランドCを分析する
今週日曜は札幌競馬場で芝1200m重賞のキーンランドCが行われる。秋の大一番、スプリンターズSに向けても注目の一戦だ。今回のデータde出~たではキーンランドCをピックアップし、2017年以降近5年のレース傾向ならびにCコース替わりだった先週の芝レース傾向から馬券で狙えそうなタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まず表1はキーンランドC近5年の3着以内馬一覧。2年連続で3着以内に入ったのがナックビーナス、ダノンスマッシュ、エイティーンガールの3頭で、リピーターが多いレースといえる。一昨年2着ライトオンキューも19年は僅差の4着で、札幌芝1200mへの適性の高さを示していた。
重馬場の一昨年は勝ちタイムが1分10秒6、良~稍重でも1分9秒台と遅い時計の決着となるキーンランドCは、高速決着となる小倉芝1200m戦とは明らかに適性が異なる。時計の掛かる馬場への適性が明暗を分けるレースだ。4コーナーでの通過順では近3年は10番手以下の馬が1頭ずつ馬券に絡んでおり、差し傾向となっている。
人気順では1番人気馬が【2.0.0.3】で19年ダノンスマッシュら2勝も、1着か4着以下かがハッキリしている。以下、3・5・12番人気馬が1勝ずつ。2着馬は7番人気までにおさまっているが、3着馬は9番人気馬が3頭と目立っている。
性別では牝馬が【3.2.4.21】で昨年のレイハリアら3勝をあげ、複勝率30.0%と優秀だ。19年以外は毎年2頭ずつ3着以内に入っており、複勝回収率も100%を超えている。今年も牝馬には注目しておきたい。
表2は枠順別成績。勝ち馬はすべて5枠・6枠から出ており、ともに連対率が高い。また、中~外の4~8枠の好走馬が多いのに対して、内の1~3枠からは2枠の3着1回しか馬券に絡んでいない。近5年では明らかに内枠不利のレース傾向が出ている。
表3は年齢別成績。4歳馬が一昨年のエイティーンガールら2勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。5歳馬は18年ナックビーナスが勝利し、複勝率は4歳馬に次いで高い。3歳馬は昨年のレイハリアが優勝。6歳馬は連対馬が出ておらず、不振傾向にある。なお、7歳以上で3着以内に入った2頭はともに9番人気以下の伏兵だった。
表4は前走人気別成績。黄色で強調した前走1番人気馬が17年エポワスら3勝をあげ、連対率・複勝率ともに優秀だ。3着以内馬5頭はいずれも前走で札幌か函館のレースを使われていた。また、健闘が目立つのが前走10番人気以下だった馬。昨年のレイハリア(前走葵S13番人気1着)が勝利し、3着3回。好走した4頭中3頭は牝馬だった。
表5は前走からの斤量増減別成績。増減なしの馬が19年ダノンスマッシュら4勝をあげ、連対率・複勝率ともに高い。昨年は2着エイティーンガールが該当し、毎年1頭は3着以内に入っている。
斤量減の馬は昨年のレイハリアが勝利し、連対率・複勝率は増減なしの馬に次いで高い。なお、出走数最多の斤量増の馬からは連対馬が出ておらず、3着2回にとどまっている。
最後に表6はCコース替わりだった先週の芝レース14鞍の脚質別成績。土曜の開催前に降った雨の影響があったにせよ、水分を含んで土日通して非常に時計が掛かっていた。先週日曜の札幌記念は勝ちタイムが2分1秒2。4コーナー3番手以内の馬で上位3着までを独占したように、差しが効きにくい馬場状態だった。全体的にも逃げ・先行馬の好走が目立っており、Cコース2週目となる今週その傾向に変化があらわれるか、注意しておきたい。
<結論>
※フルゲート16頭
表7で今年のキーンランドCの注目馬を挙げてみた。
人気になりそうなウインマーベルは古馬初対戦で、札幌・函館では連対なしが気になるところだ。ジュビリーヘッドは函館スプリントS、青函Sと近2走2着続きで、前走は1番人気。前走函館も表4の分析で示した好走条件に合っており、引き続き期待できる。
これまでのデータから推奨したいのがエイティーンガールとヴァトレニの2頭。エイティーンガールは近2年のキーンランドCで好走しており、この条件への適性が非常に高い。牝馬、前走10番人気以下、前走と斤量増減なしと条件が揃っており、今年も期待できる。
ヴァトレニは前走自身初の芝1200m戦だった青函Sでジュビリーヘッドらを破って勝利。札幌芝はこれまで3戦3勝、前走函館芝でも勝利し、洋芝適性が非常に高い。4歳馬かつ前走から斤量増減なしも買い材料で、重賞初挑戦でいきなり勝ち切ってもおかしくない。
他では表6で示した先週の逃げ・先行有利の馬場が今週も継続していれば、テンが一番速いレイハリアの残り目も考えられる。昨年の勝ち馬で、前走函館スプリントSでは4着と粘れており、当然注目しておきたい。ヴェントヴォーチェは高速スプリント戦が合うタイプで、今回は厳しいと見る。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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