JRA-VANコラム
実績馬か上がり馬か、外国馬の出番は? ジャパンCを占う!
今週は日曜日に東京競馬場でジャパンCが行われる。いつものように過去のデータを分析し、今年のレースを占っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1はジャパンCの前走レース別成績(過去10年)。前走天皇賞(秋)組が6勝、2着2回、3着7回と好走馬の数では他の組を圧倒している。勝ち馬と3着馬に関しては過半数を占めており、馬券を組み立てる上で同組をどう取捨するかが最も重要となる。実は前走天皇賞(秋)組よりもはるかに高い好走率を誇るのが、前走秋華賞組だ。ただ、今年の出走予定馬に前走秋華賞組はいないので、今回は深堀しないことにする。あとは前走京都大賞典組から勝ち馬が2頭出ている。前走凱旋門賞組の好走馬2頭はいずれも日本馬だ。あとは前走アルゼンチン共和国杯組など、別路線から2着馬が特に多く出ている。
表2はジャパンCの年齢別成績(過去10年)。好走馬30頭中29頭が5歳以下であり、6歳以上の馬にはかなり厳しい結果が出ている。勝率は若干4歳が有利。連対率と複勝率は3歳が優勢だ。表1で前走秋華賞組が好成績と述べたが、前走神戸新聞杯組や前走菊花賞組からも好走馬が出ていて、前走エリザベス女王杯組の好走例は2013年2着のデニムアンドルビー(3歳)だった。この点からも3歳馬が好成績というのが良く分かる。
表3は前走天皇賞(秋)組の前走着順別成績(過去10年)。前走天皇賞(秋)1着馬の成績が【1.0.3.1】で意外と勝ち切れていない。複勝率80.0%はかなりの好成績だが、天皇賞(秋)→ジャパンCと連勝したのは20年アーモンドアイだけだった。一方、17年のキタサンブラックは1番人気で3着と敗れた。前走2~5着からも好走馬が出ていて、前走6~9着の馬が巻き返した例もある。前走10着以下は勝ち馬こそ出ていないが、2着1頭、3着2頭がいるので侮れない。天皇賞(秋)は重要な参考レースだが、着順の優劣だけでは決められない面もある。
表4は前走天皇賞(秋)組の前走上がり3F(ハロン)順位別成績(過去10年)。前走上がり3ハロン1位は【2.0.3.4】で勝率・連対率22.2%、複勝率55.6%、単・複回収率は100%を超えた。15年ショウナンパンドラや21年コントレイルが勝利を飾っている。上がり3ハロン2位は【0.0.0.4】だが、同3位は【2.0.1.1】で勝率・連対率50.0%、複勝率75.0%の好成績だった。同4~5位も【2.0.0.9】と勝ち馬が2頭出ている。同6位以下は【0.2.3.20】と勝率・連対率が他よりも大きく下がった。つまり天皇賞(秋)で鋭い瞬発力を繰り出していた馬が狙い目というわけだ。表3の前走着順を見るよりも、上がりの順位を見た方が比較的わかりやすい傾向が出ている。
表5は2000年以降のジャパンCで好走した外国馬。近年は日本馬が強く、過去10年では外国馬の好走例がないため、期間を広げて調べてみることにした。合計5頭の好走馬がいたが、02年は中山芝2200mで行われたので、東京芝2400mで好走した馬は00年ファンタスティックライト、05年アルカセット、06年ウィジャボードの3頭ということになる。この3頭の共通点は3番人気以内に支持されていたこと。基本的に現役トップクラスが揃う日本馬に混ざっても高い評価を受けていた馬だけが好走していると言える。ちなみに過去10年では3番人気以内に支持された外国馬は1頭もいなかった。外国馬でも人気になる背景はいろいろあると思うが、基本的にはこれまでの実績が評価されていると考えられる。好走馬の実績を見ると、すでに世界トップクラスのレベルを誇る芝2400mのG1で連対実績があった馬ばかりだった。
【結論】
それでは今年のジャパンCを占っていくことにする。出走予定馬は表6の通り。
前走天皇賞(秋)組はカラテ、シャフリヤール、ダノンベルーガ、ユーバーレーベンの4頭。この中で前走最先着を果たしたのは3着だったダノンベルーガで、上がり3ハロンも優秀。勝ったイクイノックスに次ぐメンバー中2位となる32秒8という強烈な瞬発力を繰り出した。先週のマイルチャンピオンシップでは3歳のセリフォスが古馬を撃破してG1初制覇を達成。今週は同じ3歳のダノンベルーガに期待してみたい。
別路線組で注目を集めそうなのがヴェラアズール。前走京都大賞典で凄い瞬発力を見せて重賞初制覇を飾った。2走前のジューンSで2着に下したブレークアップも先日のアルゼンチン共和国杯を制しており、その評価がますます高まったと言える。経験不足な面はあるものの、芝に路線変更してから5戦3勝3着2回と底を見せていないのは不気味だ。
前走京都大賞典組の好走馬は3頭(表1参照)いて、16年サウンズオブアース、16年キタサンブラック、17年シュヴァルグランのいずれも過去に古馬芝2400m以上のG1で連対経験があった。ヴェラアズールはこうした実績は持っていないが、芝のキャリアが浅すぎるので仕方がない。これまでのデータでは判断が難しいタイプだ。
そして外国馬は今年4頭が出走を予定している。19年はゼロ、20年は1頭と近年は寂しいことが多かっただけに嬉しい話題と言える。ただ、東京芝2400mのジャパンCで好走するというのは、外国馬にとって依然難しいミッションだ。そもそも果たして3番人気以内に支持される馬がいるかどうか。芝2400mのG1で好走実績という意味ではパリ大賞典で連対したオネストとシムカミル、バイエルン大賞の勝ち馬テュネスが満たしている。この3頭はいずれも3歳馬。日本馬の場合は3歳馬が狙い目だが、外国馬に関してはプラス材料にはならないかもしれない。表5の外国馬は経験豊富な4、5歳しかいなかった。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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