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JRA-VANコラム

意外なほど堅いハンデG2・アルゼンチン共和国杯を分析

2022年11月3日 16:00配信
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2021/12/28 中山11R ホープフルS(G1) 1着 キラーアビリティ (Photo by JRA)

今週末はG1シリーズの中休み。ただ、土日ともに重賞が2レースずつ組まれており、G1週と変わらず忙しいファンも少なくないだろう。その中から取り上げるのは、日曜に東京芝2500mで開催されるアルゼンチン共和国杯。昨年はオーソリティが連覇を達成し、その次走のジャパンCでも2着に好走を果たした。今年もここを勝って、のちのG1好走につなげられる馬は現れるのか。大物誕生も期待される一戦を、過去10年の結果から傾向を分析していきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。過去10年の1着馬のうち9頭は1~3番人気から出ている。残りの1頭は13年のアスカクリチャンだが、7番人気といっても単勝12.7倍なら人気薄というほどではない。また、2、3着にも上位人気馬が入ることが多く、2着は1~4番人気から、3着も1~3番人気から、いずれも7頭ずつが出ている。この通り、アルゼンチン共和国杯はハンデ戦ながらも堅い傾向が見られ、それはレース全体で単勝回収率29%、複勝回収率47%という数字にもしっかり反映されている。

■表2 牡牝・年齢・所属別成績

表2は牡牝別、年齢別、東西の所属別の成績を表したもの。まず牡牝別(セン馬は牡馬に含む)だが、過去10年で牝馬の出走は3回と非常に少なく、好走例もない。事実上、牡馬によるレースと考えてよさそうだ。年齢別では基本的には若い馬ほど好成績で、特に3歳は出走した4頭がすべて好走を果たしている。好走例が多い4歳と5歳を比較すると、5項目すべてで4歳のほうが上。好走例があるのは6歳までで、7歳以上にとっては難しいレースとなっている。所属別の好走率はほぼ互角で、関東馬と関西馬をフラットに扱っていいだろう

■表3 ハンデ別成績(4歳以上・牡馬)

表3はハンデ別成績。表2で確認したデータを受けて、今回は「4歳以上の牡馬」に対象を絞っている。

軽ハンデ馬の一発に期待する向きもあるだろうが、前述したようにアルゼンチン共和国杯はハンデ戦ながら堅いレース。実際、54キロ以下で勝った4歳以上の牡馬は見当たらず、成績を合算しても【0.1.2.51】、複勝率5.6%、複勝回収率27%と振るわない。ただし、前走が条件戦だった馬に限れば【0.1.2.12】、複勝率20.0%、複勝回収率97%と、このケースは可能性を残す。逆に、前走がオープンクラスだと【0.0.0.39】で、非常に厳しいデータが残っている。

つまり、条件戦上がりの馬を除き、4歳以上の牡馬の好走はハンデ55キロ以上に限られるということになる。その中でも58キロ以上は【1.0.0.11】とやや苦戦しているが、今年は57.5キロがトップハンデのため考慮しなくていい。また、55キロも2、3着には多く来ているが1着がない。となると、4歳以上の牡馬で1着馬候補を探すのであれば、ハンデ56~57.5キロの中からということになりそうだ。

■表4 前走クラス別成績

表4は前走クラス別成績。1着馬を多く出しているのは前走G1とG2で、いずれも4勝ずつをマークしている。特に前走G1は好走率も高く、該当するだけで有力な存在となりうる。一方、前走G2は好走例は多いものの、好走率自体は凡庸で、しっかりとした取捨が求められそうだ。同じ重賞でも前走G3は3着1回だけと苦戦。唯一好走したのが3歳のセダブリランテス(17年3着)というところにも、このレースにおける3歳馬の相性のよさが垣間見える。重賞以外にも好走例があり、前走で条件戦を使っていた馬がなかなか優秀な成績を収めていることは押さえておきたい。

■表5 前走G1出走馬の各種データ

表5~8の項では、前走クラス別成績を補足するデータを見ていきたい。

表5は前走G1出走馬に関するデータ。前走着順別は意外な傾向が出ていて、G1で1~5着に入っていた馬より、6着以下に敗れていた馬のほうが好成績を収めている。ただし、前走着順より前走人気のほうがデータの直結度は高く、好走例があるのは前走G1で1~9番人気に収まっていた馬だけ。前走G1出走でも、そこで10番人気以下の支持にとどまっていた馬は割引が必要だろう。

■表6 前走G2出走馬の各種データ

表6は前走G2出走馬に関するデータ。まずチェックしたいのは出走間隔で、オールカマーなど中4週以上で出走できるG2から臨んだ馬が好走例の大半を占めている。対して、中3週以内は【0.1.0.28】と大苦戦。該当馬のほとんどは京都大賞典組で、出走例も多いだけに注意しておきたい。

そのほか、前走着順は1~5着、前走人気は1~5番人気なら悪くない成績を残している。前走6着以下や前走6番人気以下にも好走例はあるが、好走率は落ちる。特に前走10着以下だと厳しく、巻き返したのは13年3着のルルーシュだけ。しかも、同馬は前年の勝ち馬であり、その実績も大きかったのだろう。前走G2の場合、最低でも9着までには入っておきたいところだ。

■表7 前走オープン特別・リステッド競走出走馬の各種データ

表7は前走オープン特別・リステッド競走出走馬に関するデータ。この組の絶対条件とも言えるのが前走で1~3番人気に支持されていることで、4番人気以下だった馬の好走例は見当たらない。

また、この組には前走距離が芝2000m(=今回延長)か芝2600m(=今回短縮)のどちらかに出走例が限られるという特徴があり、好走の可能性は明らかに芝2000m(=今回延長)のほうが高い。加えて、斤量が今回減であることも満たしておきたい条件と言える。

■表8 前走3勝・2勝クラス出走馬の各種データ

表8は前走3勝・2勝クラス出走馬に関するデータ。この組がなかなかの成績を収めているのは前述した通りで、条件戦上がりだからと侮っては痛い目に遭いかねない。

まず、前走着順は1~3着が条件。厳密にいえば前走2着には好走例がないのだが、3着がよくて2着が駄目という理屈もなさそうなので、ここでは3着までとしたい。なお、前走3着から好走した2頭はいずれも3勝クラスを使っていた。

また、前走が条件戦ということもあってこの組に該当する延べ25頭の斤量はすべて今回減だったのだが、その斤量減の幅にも注目したい。斤量減が1.5キロ以内と比較的小さい幅に収まった馬が【1.2.2.0】とすべて好走を果たしているからだ。2キロ以上の斤量減にも好走例はあり、消し材料とはならないが、この点もチェックしておきたい。

【結論】

今年のアルゼンチン共和国杯はフルゲート18頭に対して22頭が登録。最大4頭に除外の可能性があることに気をつけながら、前走クラス別で有力と思われる馬を紹介していきたい。

まずは前走G1組で、該当馬はキラーアビリティとシルヴァーソニックの2頭だが、後者には除外の可能性がある。この組の場合、前走1~9番人気だと有望で、両馬ともに前走8番人気のためこの条件をクリアしている。特にキラーアビリティは唯一の3歳馬という点でも注目に値する1頭だ。

前走G2組は7頭が該当。しかし、うち4頭は相性が悪い前走京都大賞典で、これは割引せざるをえない。残りの3頭は中4週以上での出走。また、表6の項で述べた前走G2組の目安である1~5着以内と1~5番人気も満たしておきたい。となると、浮上するのはオールカマーで4番人気5着だったテーオーロイヤル。2頭しかいない4歳馬のうちの1頭という点も前向きな材料と捉えられる。

前走G3組は3頭が該当するものの、この組は基本的に苦戦の傾向がある。ハンデから挙げるとすればユーキャンスマイル(57キロ)とヒートオンビート(56キロ)の2頭だが、前者は好走例がない7歳。5歳の後者のほうが可能性は高いかもしれない。

前走オープン特別・リステッド競走組も、前走G2組と並ぶ7頭がエントリー。表7の項で述べた通り、この組は前走1~3番人気であることが条件で、これを満たすのはいずれも6歳のボスジラとハーツイストワール。ただし、両馬ともに前走距離は芝2600mで、この組の好走が少ない今回短縮に合致。また、ボスジラは斤量が今回増となることも懸念材料となるため、押さえるとしたら今回減のハーツイストワールのほうか。

最後に、アルゼンチン共和国杯で侮れない前走3勝・2勝クラス出走組。該当するのはカントル、ブレークアップ、レインカルナティオの3頭で、いずれも3勝クラス1着からの臨戦で前走着順はOK。年齢も4~6歳で好走圏内にある。惜しむらくは斤量減の幅が1.5キロ以内に収まった馬がいないことだが、3頭ともチェックはしておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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