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JRA-VANコラム

前年王者が貫禄を見せるのか? チャンピオンズCを展望する

2022年12月1日 16:00配信
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2021/12/5 中京11R チャンピオンズカップ(G1) テーオーケインズ (Photo by JRA)

昨年のチャンピオンCで、2着馬に6馬身差の圧勝を飾ったテーオーケインズ。前走のJBCクラシックを勝利して臨む今年は、連覇に向けて極めて順風にきている。しかし、他馬も指をくわえているばかりではないだろう。現行の条件となった2014年以降8年分のデータを調べ、レースを展望していきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。過去8年、1番人気は2勝と若干物足りないものの、連対率62.5%は悪くない。そのほか、2番人気が2勝、4番人気、6番人気、8番人気、12番人気が各1勝と、1番人気以外はすべて偶数人気から勝ち馬が出ている。偶然かとは思われるが、これは面白い傾向だ。

■表2 馬番別成績

表2は馬番別成績。なによりチェックしておきたいのは、14~16番枠に入った延べ21頭がすべて4着以下に終わっていることである。そのなかには1番人気2頭、2番人気1頭も含まれ、単勝1.4倍の圧倒的支持を集めながら4着に終わった20年のクリソベリル(15番枠)の例もある。上位人気馬や狙っていた馬が14~16番枠を引いた場合は、より慎重な選択が求められることになりそうだ。

■表3 牡牝・年齢・所属別成績

表3は牡牝・年齢・所属別成績。牡牝別では、出走例の大半を牡馬(セン馬)が占め、今年の登録馬18頭もすべて牡馬となっている。年齢別では、3~6歳がいずれも2勝ずつをマーク。そのなかでは6歳の回収率が非常に高いことと、4歳の好走率がやや低いことが特徴と言えそうだ。所属別では、東西の出走例に差があるものの、好走率は大差ない。地方馬や外国馬が出走した例もあるが、好走例はなく、今年は登録自体がなかった。

■表4 前走クラス別成績

表4は前走クラス別成績。なお、地方や海外のレースに関しては、クラスを問わず、それぞれ「地方」「海外」として合算している。驚いたことに、チャンピオンズCになって以降の過去8年の1着馬はすべて前走で地方のレースを走っていた。ということは、前走で中央のレースを走っていた馬は必然的に2、3着までということになる。なお、前走でG1に出走し、3着に入った馬が1頭いるが、これはJBCクラシックが京都で開催された18年のサンライズソア。イレギュラーなものと考えるべきで、通常はG3を走っていた馬が前走中央組の主力となっている。

■表5 前走地方出走馬の各種データ

※京都開催の18年JBCは集計対象外

表5は前走で地方のレースに出走した馬に関する各種データをまとめたもの。前項で、過去8年のチャンピオンズC1着馬はすべて前走で地方戦を使っていることを述べた。では、具体的にどのレースかといえば、いずれも地方交流G1のJBCクラシックと南部杯の出走例、好走例が多い。両レースを比較すると、前走JBCクラシック組は1着馬4頭を含む計7頭の好走馬を送り出し、好走例が最多。一方、前走南部杯組は1着馬2頭を含む計5頭が好走し、好走率ではJBCクラシック組を上回っている。

前走人気は、前走の地方戦で1~4番人気なら大きな差はなく、5番人気も高い回収率を記録。しかし、6番人気以下にとどまっていた馬の好走例はなく、ここに大きな溝が横たわっている。

前走着順で注目したいのは、前走1着の回収率があまり高くないところ。好走率もそこまでのアドバンテージはなく、やや過剰人気と判断してもいいかもしれない。好走率と回収率のバランスを考慮すると前走2~4着が狙いやすそうなゾーンとなりそう。また、前走5着や前走6~9着にも好走例があり、ひとケタ着順に収まっていればチャンスは残される。

■表6 前走中央出走馬の各種データ

※前走レースは出走2走以上のみ掲載

表6は前走で中央のレースに出走した馬に関する各種データをまとめたもの。出走例が多いのは東西の前哨戦にあたる武蔵野SとみやこSだが、どちらも好走率が高いとは言えない。そのほかの好走馬は、エルムSと京都開催となった18年のJBCクラシックから3着馬が1頭ずつという苦しい状況だ。

ただし、前走で中央戦に出走していた馬のなかでも、4角を1、2番手で通過していた場合は話が変わってくる。合算して【0.2.4.9】、複勝率40.0%、複勝回収率196%という成績を残し、2、3着候補として侮れない存在となりうる。

■表7 中京ダート1800m実績別データ

表7はチャンピオンズCの舞台となる中京ダート1800mの実績別成績で、それぞれ「複勝率50%以上」「同50%未満」「未出走」だった馬の成績を比較している。手堅いのは「複勝率50%以上」で、好走例の多さでも他を圧倒している。「複勝率50%未満」だと好走率がかなり落ちるが、好走した3頭(15年1着サンビスタ、17年1着ゴールドドリーム、17年3着コパノリッキー)には、前年もチャンピオンズCに出走という共通項がある。同様に「未出走」も苦戦傾向が見られるものの、単勝オッズが5倍以内なら【2.3.0.2】と悪くない成績を収めている。

【結論】

以上のデータ分析を元に、今年のチャンピオンズCで有力と思われる馬を紹介していこう。なお、登録18頭のうちケイアイパープルとラーゴムの2頭は回避の予定と伝えられており、残りの16頭は全馬出走可能とみられる。

まずは好走例の多い前走地方戦出走馬から。昨年の覇者テーオーケインズはJBCクラシック1番人気1着からの臨戦。中京ダート1800mも2戦2勝とコース実績もあり、年齢もまだ5歳。あとは14~16番枠を引かないように祈るだけかもしれない。

JBCクラシック組では、2番人気2着だったクラウンプライドも中京ダート1800mは1戦1勝。しかし、オーヴェルニュは6番人気の支持にとどまっており、好走条件を満たせなかった。

南部杯で3番人気3着だったシャマルも侮れない。中京ダート1800mは未出走で、1600mも前走が初出走と適性は未知数ながら、短距離の交流重賞で好走を続けてきた勢いはある。スピードが生きる馬場や展開になればアッと言わせるかもしれない。もう1頭、今年のジャパンダートダービーを制したノットゥルノは前走の日本テレビ盃が4番人気7着と案外な結果に終わったものの、今回の分析データ上の致命的なキズはなく、好走の可能性は残されている。

一方、前走中央戦出走馬は苦戦傾向にあることを確認した。前走で4角1、2番手だった馬がいれば面白いところだが、唯一該当するレッドソルダードは前走がリステッド競走で、これは過去に好走例がない。となると、いずれも中京ダート1800mで2戦2勝のグロリアムンディとハピのコース適性に期待をかけるところだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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